新世紀エヴァンゲリオン
90年代初頭に爆発的にヒットした漫画・アニメで,今も続編が製作され続けている新世紀エヴァンゲリオン。
最近,劇場版の最初の作品のDVDをゲットしたので,観ていたら,90年代初頭ならではの事象が散見されたので,書き留めておきたい。
80年代後半から日本はバブルに向かって上昇を続けた。
モノが溢れ,金さえだせばなんでも手に入るようになった。
そしてバブルが崩壊し,巷に溢れたモノは,時代の瓦礫となった。
そこで,モノで満たされなかった「心」に感心が移り,
精神世界がブームになった。
癒し,チャネリング,ニューエイジ,ユング心理学,そして新宗教,etc.
モノを手に入れたいという欲望は失せて,癒されたいという欲望が台頭してきたのである。
実際に商売で失敗した人たちの悔恨が,若者のモノに対する不信感として表出した時代だとも言えるだろう。
前時代の人たちに言わせると,90年代初頭あたりから,男が軟弱になっていったといわれるようになっていった。
新世紀エヴァンゲリオンの主人公
碇 シンジ(いかり しんじ)が,あのように軟弱でエディプス・コンプレックスがあからさまなのは,まさに,その頃の男性ジェンダーの変化を象徴している。
精神的に癒されなくてはならない主人公シンジと,無機質の女性
綾波レイが中心にいるところが,70年代や80年代では考えられなかった設定である。
80年代後半からバブルを過ぎて,90年代半ばまでに,青少年にとっての女性観も変化していった。
90年過ぎまでは,ボディコンで生々しい女性がもてはやされていたのだが,生身からサイボーグのような無機的な女性像へと,時代の好みが移っていったのである。
90年前後の潮流変化の象徴のひとつが,森高千里だと思う。
生身のミニスカートやボディコンから,メイド服,そして,フィギア,など,様々にメディアミックスされたモリタカは,当時の男の,女性観を変化させていった。
マジンガーZにおけるヒロイン像や,デビルマンにおける
妖鳥シレーヌのような,敵であっても人間味溢れる生々しい色気を持つ女性像は,エヴァには出てこない。綾波レイのヌードが数回出てくるが,肉感的でありそうで,実は無感情,無表情で,無機質で,その色気は,いわば動くフィギアである。美少女フィギアが一般化していった時代のセンスだと言えるだろう。
映画においては,シーンの移り変わりは,まだ70年代,80年代を引きずっている。画面の移り変わり,シーンの展開,テンポ,リズムなどは,80年代っぽくて,転変が速く,退屈させない。マジンガーZやウルトラセブン,デビルマン,ガンダムなどで使われた手法の集大成でもある。これは,90年代以降の
宮崎駿やスタジオ・ジブリのアニメのテンポとは異なる。
他方,描かれている山々や都会の鳥瞰図などは,
宮崎駿のアニメにも多々見られる視点で,こういうパースペクティブは,マジンガーZやデビルマンでは描かれていなかった。70年代は,もっと,主人公主体の視点だった。
各シーンの絵や構図,設定には多くのヒネリがあって,精神性から物質まで,ありとあらゆる拘りが表現されている。わかる人にしかわからないような描写が多い。第3新東京市は,ユング心理学における自己の心理モデルそのものである。精神世界が流行した当時ならではの発想だろう。
登場人物の苗字が,第二次大戦の日本の軍艦の名前をもじってある。天城,葛城,綾波,伊吹,摩耶,日向,いずれも戦艦の名前から来ている。よほど詳しい軍艦マニアでなくては知らないようなマイナーな駆逐艦の名前までもが,登場人物の苗字に使われている。
個々の事物も徹底してマニアックな描写が取り入れられている。それまでのアニメでは,シーンの中で自動車や電車というと,漫画化された自動車であり電車であった。その事物が,ストーリーと直接関係がないとき,それはデフォルメされた一般概念として描かれていただけであった。
ところが,エヴァにおいては,冒頭の葛城が乗ってくるのは,
アルピーヌ・ルノーA310である。色もご丁寧に,アルピーヌのレーシングカラー,フレンチブルーだ。ガソリンエンジンを電気モーターに換装してあるという設定である。単なる街の描写で,路上に
白いコスモスポーツ(1970年代のスポーツカー)が駐車されていたりする。
また,鉄道も,90年当時の現役だった地下鉄やモノレール,さらには国鉄の
DD51の三重連が出てくるなど,実物車両を描写している。
これらは,自動車エンスーや鉄道オタクでなくてはわからない絵である。70年代から80年代の,モノを見ていた時代の名残で,モノの描写に拘るところは80年代のセンスだろう。とにかく,オタク趣味のオンパレードである。
こういう,なんでもかんでも取り入れて,あらゆる心象にミートして,あらゆるニーズに対応するように製作して,違うフィールドとリンクしながらビジネスを展開しようと考える映画作りも,まさに90年前後のバブル時代の発想だ。当時急速に流行りだした,メディアミックスの発想である。
ついでに言っておくと,綾波レイの瞳が赤いのは,PCゲーム化したときに,当時のゲーム機器の粗い画像(ドット絵)で,赤目のキャラとして設定できるようにとの配慮で,アニメ段階から赤くしておいたという。
そして,物語の展開は,誰にでもわかりやすいように,論理性を有しているのである。その後,アニメに限らず,作者が表現して説明する論理性よりも,観察者が自身の感性で推測するようなストーリー展開が主流になっていった。
80年代前半からブレイクした
村上春樹は,自身の小説が平易な文章で難解なストーリーであることに対して,「論理」ではなく「物語」としてテクストを理解するようにと言う。論理的に読解するのではなく,「物語を楽しむ」ことがなによりも重要なことだという。物語中の理解しがたい出来事や現象を,村上は「激しい隠喩」と言い,魂の深い部分の暗い領域を理解するためには,明るい領域の論理では不足だと言う。こういった発想が,アニメや映画にも影響を及ぼしていったのだろうか。90年代以降のアニメも,村上の言う「激しい隠喩」が多々含まれるようになっていったと思う。95年の
攻殻機動隊や,90年代後半からの宮崎アニメはまさにそんな感じがする。
そう考えると,新世紀エヴァンゲリオンは,アニメでは,まだ,「激しい隠喩」が映画に多用される以前の方法である。隠喩でも暗喩でもなく,直接表現を多用しながら,不可思議さや疑問を呈するように設計されている。
10年以上を経て振り返ってみると,ひとつのアニメ作品だけを観ても,当時の世相と時代背景を現していて,興味深い。そして,当時観たら斬新な表現,新しいセンスに見えたものが,今から振り返ると,それ以前の流れを汲んでいることがよくわかる。
時代とともに,あらゆる事物が変化していくわけだが,後になって振り返り,その時代を代表する作品を観ると,その時代変化の潮流の断面が見えて面白い。

昨日は,快速いい古都エクプレスに乗車した後,夙川,甲陽園へ向かいました。甲陽園を降りたあとは,目指すは北高です。ハイキングのような道のりをいくこと25分,北高に着きました。眺めがいいですね。これぞ,阪神間の超高級住宅地という感じです。
【ブログ内参照】
Train&Bus
高校訪問の「憂鬱」 2
夙川公園の紅葉
図 涼宮ハルヒの里 北高前から大阪方面を見下ろす

図 ゲームに関してSWOT分析の発表をする学生。
本日の「サブカルチャー・マーケティング講座」ではSWOT分析の発表がありました。4グループの発表です。明日は最終発表会です。
【参考】
サマーコース3日目
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このブログは開設以来本日でちょうど1年が立ちました。その1年の最後の日に,次の1年に向けてのことを述べましょう。
著作権がなぜあるのかを,根本から考えましょう。著作権を保護する必要があるのは,著作権所有者が,著作権侵害によって獲得するべき収入を得ることが得ることができなくなること,つまり収入獲得の機会損失が問題なんです。もし,違法コピーがもとで,売り上げ増加になるとどうなるでしょうか? その違法コピーは試供品としてプロモーションに役立ったことになるんです。
次の映像を見てください。
【Youtubeから】
YouTube - DVD涼宮ハルヒの憂鬱が何故北米で売れる?…(注)ただし,この映像自体違法性があるかもしれません。
ご覧になっていただけたでしょうか? 動画サイトがDVD販売増加に寄与したという実例なんです。
ちなみに,書籍の表紙画像やCD・DVDのレーベルの画像を掲載することは著作権侵害ですが,通常は,著作権をもつ出版社は,著作権侵害として書店の販売サイトを訴えることはありません。同じ論理で,映像の一部を掲載して,そこでDVDなどのアフィリエイトを行えばいいのではないでしょうか。
(注1)書店サイトでもamazonだけは,表紙画像は出版社または著者提供の物しか掲載しません。他の書店サイトは,厳密にいえば,勝手に表紙画像を掲載しているようです(少なくとも,私の著書の場合はそうでした)。
(注2)図書館のデータベースでは,本の表紙画像が出ることがありません。これは,図書館が貸し出すことに収入を得ていないから,表紙画像を使用すると,著作権者に不利益をもたらすと考えられるからでしょう。
【参考】
日本のポップカルチャーの未来は?
涼宮ハルヒの憂鬱 オフィシャルサイト

最近,ハルヒネタが少ないと読者の学生さんから苦情が着ておりますが,「涼宮ハルヒ」よりも優先して調査中なのが「セーラームーン」です。ネットで調べると,ルパン三世どころではなく,全世界的です。Youtubeで見ただけでも,Opは以下のものがあります。ちなみに,英語版はムーライト伝説を変形させています。ドイツ語版は全く異なる歌で,3種類あります。フランス語版も異なります。残りの国はムーライト伝説です。
・英語版/English
・ドイツ語版/German, Deutsch
・フランス語版/French
・スペイン語版/Spanish
・イタリア語版/Italian
・ポルトガル語版/Portuguese
・スウェーデン語版/Swidsh
・韓国語版/Korea
・中国語(北京/香港/台湾/シンガポール)版/Chinese
・ロシア語版/Russian
・タイ語版/Thai
【参考】
セーラームーン世界征服計画
さて,セーラームーンはなぜ全世界ではやったのでしょうか?西洋と東洋では理由が異なると思います。
西洋では以下の理由でしょう。
・西洋人に身近なギリシャ神話に基づいています。
・時々,ギリシア神殿が出てきて,西洋人の心のふるさとを揺さぶるのでしょう。
・Maercury, Venus, Mars, Jupiterなどそのままで西洋人に通じるキャラクターの名前です。
・キリスト教の影響を受けている思われます。男女の愛よりも戦士からセーラームーン(プリンセス)への愛が強く描かれています。そして,セーラームーンは的をも愛して,敵を超越するところが,救世主(the One,メシア)を想起させるのでしょう。
東洋では以下の点が人気があるのでしょう。
・東洋人の顔つきです。
・セーラー戦士たちがきれいなお姉様で描かれています。
・セーラー戦士の名前は惑星の名前にちなんでいるので,各国語版への対応は容易です。
そして,万国共通なのは勧善懲悪スタイルであることです。セーラームーンは語れば長くなりますので,この辺で,改めて書くことにしましょう。
【Youtube 主題歌】
YouTube - Sailormoon - ムーンライト伝説
YouTube - Sailor Moon English Opening
YouTube - Sailor Moon german opening
YouTube - Sailor Moon Opening 2 (German)
YouTube - Sailor Moon Opening 3 (German)
YouTube - Sailor Moon French Opening
YouTube - Sailormoon 実写版
【参考】
美少女戦士セーラームーン (アニメ) - Wikipedia
英語版のセーラームーンエピソードリスト
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私が子供の頃は,「魔法使い」がはやっていたようです。どうも「超能力」を備えた人間という設定のために,この頃の漫画・アニメは魔法使いにしていたんでしょう。
今回もWikipediaを読んでみましょう。おもしろいですよ。
【出典】
魔法使いサリー - Wikipedia
漫画の段階では,「魔法使いサニー」だったのですが,アニメ化するときに,名称の使用で日産自動車は「サニー」を許可したのに,家電メーカのソニーは「サニー」を使用することを認めなかったそうです。おもしろいネタですね。そういえば,似た話は,セーラー万年筆がの「セーラーV」という商標があったため,漫画の段階で「セーラーV」だったのをアニメ化するときには「セーラームーン」に変更したという話があります。
【出典】
美少女戦士セーラームーン - Wikipedia
では,みなさん,オープニングの主題歌でも見てください。
【Youtubeから】
YouTube - 魔法使いサリー
YouTube - Mahou Tsukai Sally 2 Opening
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