キング・クリムゾンは,時代に流されること無く文字通り先進的(=progressive)であり続け,独自の音楽性を追究し続けてきたバンドであり,プログレッシブ・ロックという特殊な音楽ジャンルの中においてさえも孤高の存在である。
●「クリムゾン・キングの宮殿(In The Court Of The Crimson King)」
1969年に発表された,キング・クリムゾンのファースト・アルバム。
プログレッシブ・ロックというジャンルを確立した記念碑的な作品で,その後のロック史にも多大な影響を与えた。
キング・クリムゾンというバンド名は,このタイトルから取られた。
このアルバムが発表される以前にも,ムーディー・ブルースやピンク・フロイドなど独創的な音楽を追求する先進的バンドはいたが,本作によってプログレッシブ・ロックの扉は大きく開かれた。
クラシックやジャズの要素を巧みに取り入れ,深遠なロックの世界を構築した。
また,作詞専門のメンバーであるピート・シンフィールドの歌詞は,抽象的・神秘的な世界観を見せており,特に「エピタフ」での,「“混乱”こそ我が墓碑銘」というフレーズはロック史に残るものである。
曲作りや演奏の面では,ロバート・フリップではなく,イアン・マクドナルドが主導権を取っている。
「21世紀のスキッツォイド・マン」ではギターのリフを前面に押し出したヘヴィなサウンドを,「風に語りて」や「エピタフ」「ムーンチャイルド」ではメロトロンやフルートを駆使した幻想的なサウンドが聴かれる。
印象的なアルバム・ジャケットを手掛けたのは,画家のバリー・ゴッドバー。
「ビートルズの『アビイ・ロード』をチャート1位から蹴落としたアルバム」として紹介されることが多かったが,現在ではそれはローカル・チャートでの話で,全英ナショナル・チャートでは最高5位(全米チャートは28位)というのが通説となっている。
また,このアルバムを聴いたザ・フーのピート・タウンゼントは「恐ろしいほどの傑作」と評した。
楽曲「クリムゾン・キングの宮殿」は,映画『トゥモロー・ワールド』の使用曲。バタシーパーク発電所と,空とぶ豚をバックに流れる。