「基礎数学の123」著者語る2 等比数列と指数関数

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 今回は等比数列と指数関数の関係について述べます。とりあげる場所は以下の部分です。

第3章 数列 第1節 数列
第5章 指数・対数関数,三角関数 第1節 指数関数と対数関数

1 そもそも数列をなぜ学習するのか?
 私がいつも参考にしている三省堂の教科書の一つである「高等学校の基礎解析」の第1章に数列が収録されています。この本の著者のひとりの森毅先生は「数列は,とにかく遊び感覚で数字の扱いに慣れればいいんだ」みたいなことを述べておられて,残りの章への関連を述べていません。せいぜい,数列の和が積分(リーマン積分)に関係するぐらいのことしか述べていません。
 それでは数列はなぜ学ぶのでしょうか? 関数のx軸(入力側)の離散化,コンピュータ科学の言い方をすれば標本化(サンプリング)です。したがって,数列と関数の関係を意識するべきなんですね。本当は高等学校でここまで意識させてほしいのですが,現状では無理なので,大学あるいは専門学校入学後にそういう教育をするしかありません。

2 等比数列と指数関数
 等比数列の式は以下のように書きますね。高等学校と異なって,n=0から始めることにします。ここでnは整数です。
An=A0・r^n
 もう少し関数ぽく書き直すと
A(n)=A(0)・r^n
となり,A(0)は初項といいますが,関数的な考えであれば初期値ともいえますね。こんどはnを実数全体に拡張してxと書くことにしましょう。
A(x)=A(0)・r^x
 これは指数関数の世界ですね。rは指数の底,xは指数といいますね。あれ? 高等学校の教科書の形で書くと
f(x)=a^x
 となりますね。aは指数の底,xは指数。前の係数はありません。A(0)の部分は重要で,実際のデータ,たとえば指数関数的に増加する人口を表す場合なら,A(0)の部分は人口調査開始時の人口になります。初期値ですね。

3 バクテリアの増加で指数関数を表現しました。
 「第5章 指数・対数関数,三角関数 第1節 指数関数と対数関数」ではバクテリアの増加を例にあげて説明しています。底は2,指数部分は時間tです。時間tをつかっているので,自然な形で実数の指数がわかるかと思いましたが,読者の方から,「わかりにくい」という声を聞きました。等比数列から指数関数へのつながりが悪いのでないかと思い,現在,接続する方法を検討中です。
 高等学校の教科書ではn乗根から分数指数をつまりn乗根は1/n乗であることを定義にしています。しかし,n乗根を数値的に確かめることが高校生ではできないのが残念です。最近だとパソコンやスマホあるので,こういう手段を提示することも重要です。なお,n乗根を求めるときは1/n乗します。この関係はしっかり教える必要があります。
 √は1/2乗
 n√は1/n乗…しかし2乗根(平方根)の場合は,左肩に2と書きません。

4 累乗? べき乗?
 高等学校では,「累乗」と言葉を使いますが,高等学校を卒業すると,「べき乗」しか使いません。昔「冪(べき)」という漢字が当用漢字(現在の常用漢字)に入っていないので,当時の文部省が「冪乗」を「累乗」に置き換えたと言われています。一方,多項式では「降べきの順」や「昇べきの順」という言葉は残っているので,一貫性のなさを感じます。

【ブログ内参照】
指数・対数関数や三角関数のトラウマの方は三省堂の「高等学校の基礎解析」を読みましょう。 | オブ脳@kcg

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