新CPU発売! Core i5 Core i7 LGA1156 今までとの違い

Intel の 新CPU,本日(2009/9/8)より発売開始!

Core i5 750 2.66GHz 4コア(HTなし) L3キャッシュ8MB TDP 95W ターボブースト時3.2GHz
Core i7 860 2.80GHz 4コア(HTあり) L3キャッシュ8MB TDP 95W ターボブースト時3.46GHz
Core i7 870 2.93GHz 4コア(HTあり) L3キャッシュ8MB TDP 95W ターボブースト時3.6GHz

これら3つCPUはソケットも新型で LGA 1156 となります。
Core i7とCore i5の違いは HT(ハイパースレッディング)「あり」か「なし」ぐらい?。他は動作クロック以外大差ありません。(多分)

性能や価格でいうと Core i5 750 2.66GHzは Core i7 920 2.66GHz と同じぐらいか少し劣る程度で価格は,5,000円以上安い。

チップセットは P55となり ノースブリッチがありません。

ノースブリッチとは・・・ 既存のIntel系のコンピュータの構造で説明します。

Pentium 4の後半から Core 2 Duo/Quadまで系 CPUソケットはLGA 775の構造は

[CPU]
  | FSB
[G45などノースブリッチ] = メモリコントローラ装備(デュアルチャンネル) 特に速度が必要なPCI Express 装備(主にグラフィックボード用)
  | DMI
[ICH10などサウスブリッチ] = HDD,USB,PCI,PCI Expressなどその他速度があまり必要としないその他周辺機器との接続用

CPUから見たら,メモリもPCI ExpressなどなにからなにまでFSBを通ります。そのためボトルネックになります。(ただしDMA転送という,FSBを介さずに周辺機器とメモリ間のデータを転送する方式もあります。)
速度は800MHzとか1066MHz とか1333MHzと1600MHzとかがあります。基本的にCPUのベースクロックと同じ。

Core i7 900系 CPUソケットはLGA 1366の構造は

[CPU] = メモリコントローラ装備(トリプルチャンネル。実はFSB)
  | QPI
[X58ノースブリッチ] = 特に速度が必要なPCI Express 装備(主にグラフィックボード用)
  | DMI
[ICH10などサウスブリッチ] = HDD,USB,PCI,PCI Expressなどその他速度があまり必要としないその他周辺機器との接続用

FSBのかわりにQPIとなり速度も速くなりました。またメモリコントローラをノースブリッチからCPU内蔵に変えたのでCPUからメモリへダイレクトに見に行くことができるのでアクセス速度が大幅にアップしました。ちなみにAMDのCPUは以前からこのパターンです。ただし,DMA転送の効率はQPIを経由するので低下していると思われる。(憶測ですが・・・。実質問題がないレベルだとは思いますが。)

・・・つまりノースブリッチとはCPUと直接高速につなぐチップで高速な周辺機器とつなぐためのものです。CPUを北(上)にすると 普通上のほうにあるチップだから、ノース(北)ブリッチといわれています。
 サウスブリッチとは下にあることがおおいので、サウス(南)ブリッチと言われます。サウスブリッチには,その他の周辺機器を全部つなぎます。

さて 今日発売が開始されたCPUのソケットタイプがLGA 1156 の構造はというと

[CPU] = メモリコントローラ装備(デュアルチャンネル。実はFSB)特に速度が必要なPCI Express 装備(主にグラフィックボード用)
  | DMI
[P55などサウスブリッチ相当] = HDD,USB,PCI,PCI Expressなどその他速度があまり必要としないその他周辺機器との接続用

となります。

今回のCPUはノースブリッチに相当するものがCPUに内蔵されてます。
そのためCPUから高速に接続するためのFSBやQPIを装備する代わりにDMIを装備してサウスブリッチに直結できるというシンプルな構成になります。
 P55は実質的に ICH10 相当品なのかもしれません。(機能的には同等)
 DMIはFSBやQPIよりもずーっと低速です。FSBやQPIはマザーボード上の配線(電子回路にとっては非常に長距離)を高速で通信するとノイズや消費電力や信頼性の点で不利になります。ノースブリッチがない分マザーボードのコスト的・信頼性的にも有利になります。などなど利点は多いです。(今まで主流だった LGA 775 マザーボードより単純な構造になります。)

Core i5にはほかにも2コア+グラフィックチップ内蔵や Core i3 の2コア + グラフィックチップ内蔵なども販売されるそうです。LGA 1156はメインストリーム(今後の主流の方式)となるそうです。

これからコンピュータを購入する時はどのタイプのなのか注意してみないとCPUのアップグレードなどで困るかもしれません。ただし ややこしいことにCore i7は900系が LGA 1366と800系が LGA 1156の2種類存在することになります。LGA 1156にはCPUにグラフィックを内蔵しているものとそうでないものも混在していくことになり乗せ換えはややこしくなりそうです。
旧型のLGA 775も当分販売されるそうです。そのうちCore 2ブランドは消えて LGA 775 はPentiumとCeleronのみになるかもしれません。

LGA 1156はCore i3 Core i5 Core i7ブランド混在
LGA 1366はCore i7 Core i9 となるでしょう。

LGA 1366はハイエンドCPUおよびサーバ用CPU Xeon系の互換CPU用になります。LGA 1366は そのうち6コアCPU(Core i9)とか2CPU対応(Xeon)とかが普通に出るかもしれません。

ただ 新ソケットの LGA 1156 も実は一時的なもので 数年後には LGA 1155 になるそうです。LGA 1155は LGA 1156と互換性があるものだそうです。ただしアーキテクチャが大幅に変わるそうです。(LGA 775やLGA 1366も減る一方です。)

用語の補足:
TDP: Thermal Design Power 熱設計電力。最大どれぐらいまで発熱するかの目安。この値でどれぐらい冷却が必要かが分かる。最大消費電力みたいなものだが厳密には消費電力ではない。消費電力の目安にはなる。
LGA: Land Grid Array マザーボードにあるCPUソケットの一種。マザーボード側にピンがあり,花をたてる剣山みたいな感じ。CPU側はピンがない代わりに丸い電極がある。正確にはソケットとは呼ばないらしい。LGAの後ろの数字はピンの数を表す。775な775個のピン数。1156なら1156本のピンがある。
QPI : Quick Path Interconnect CPU と ノースブリッチ間以外にCPU-CPU 間の通信にも使われる。マルチCPU用インタフェース。CPUの汎用の高速な通信手段。
FSB: Front Side Bus CPU と ノースブリッチ間の通信に使われる。
DMI: Direct Media Interface ノースブリッチとサウスブリッチを接続するもの。LGA 1156ではCPUとチップセット間の接続に使われる。

参考:
インテル、「新Core i7」「Core i5」の機能や搭載パソコンを紹介(IT Pro)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090909/336827/

新型CPU&マザーの深夜販売に約150人、ただし「Windows 7の予行練習? みたいな」(+D PC User)
http://plusd.itmedia.co.jp/pcuser/articles/0909/08/news021.html

後藤弘茂のWeekly海外ニュース 消え行くLGA1366パッケージのCore i7
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/kaigai/20090727_304653.html

おまけ:
AtomのCPUは ノースブリッチ・サウスブリッチのパターン以外にノースブリッチとサウスブリッチを1つにまとめた システムコントローラというものがあります。

[CPU]
  | FSB
[ノースブリッチ] = メモリコントローラ装備。PCI Express装備。
  | DMI
[サウスブリッチ] = その他全てと接続。

[CPU]
  | FSB
[システムコントローラハブ] = メモリコントローラ装備。PCI Express装備。その他全てと接続。

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