景気悪化と失業??就職?転職?

景気悪化と失業??就職?転職?

多くの報道にあるように,景気悪化とともに,失業率が上がっており,日本社会は停滞したままである。良く言えば成熟社会なのだが,失業率や大卒の就職難などが報道されるが,抜本的な対策はなされていない。

その一方で,IT業界は10年に一度とか20年に一度などと言われるような,業界構造の再編が進んでおり,東京など首都圏では,一部分野から回復の兆しが出てきている。コンピュータ・IT分野はやはり強い。当たり前だが,ITはもはや人類社会のインフラだから,仕事は増えこそすれ,減ることは無いからである。

ところが,今なお,多くの誤解がまん延していて,いまだにIT業界は3Kだとか,それは理工系の仕事だとか思われている。これについては,声を大にして誤解を解いておきたい。

コンピュータプログラマの仕事はキツくて,徹夜も多く,若者がなりたがらないなどと言っていたのは,20世紀の最後までくらいである。ここ10年くらいは,業界も改善が進んでおり,9時5時で終わる会社も多い。もちろん,給与や年収も良い会社が多い。特に,地方のソフト会社などでは,NHKのニュースでも報道されていたように,日常は普通は9時出社の5時退社で,産休と育児休暇で合わせて3年というところもある。

また,ある会社では,深刻な人材難であるために,文系大学卒を採用し,地元の専門学校に行かせてITを学ばせているという話もあった。会社が学費を払ってくれるのだからありがたい話である。

つまり,それほど技術者を優遇しないと,企業が成り立たないくらい,人が足らない状況が継続している,ということである。

ITの分野は,現時点ですでに開発されている技術が業界に知られると,その技術が普及するまで10年程度かかるという定説がある。
携帯電話の技術自体は70年代に開発され,実際は80年代後半に実用化されたが,それが一般市民に普及したのは90年代の後半である。
この事例ひとつ見てもわかるように,現時点ですでにある技術と,それが普及するまでの時間にはタイムラグがある。今後の10年程度,というスパンで物事を見れば,次に何が起こるかが現時点でわかっていることがいくつもある。家電は今後,もっと組込みシステムが拡張すようになり,インターネットと繋がるようになる。自動車はハイブリッドから完全に電気自動車化されていくので,そこにも多くのITが必要となる。これらはすべて,今後,IT関連の技術者がもっと必要になっていくということを示している。

ITはすでに社会のインフラになっており,どの国においても,IT・コンピュータがなくては社会が成立しない。国中のコンピュータが止まると,その国が瓦解してしまうところまで普及した。

ところが,多くの教育機関で,「ITは工業の一種であり,理工系の技術者だけが専従するものだ」と,いまだに思い込んでいる。多くの大学が工学部という名で情報やITを取り上げているのがその証左だ。だから,人材難が社会問題になるのである。一般の文系大学で,「君はITは無理だ」と洗脳されきっているのではないかと疑いたくなるくらい,人々は現実を知らない。

IT分野はまだまだ人材難で,多くの仕事がある。異業種からの転職も常に歓迎されている。文系出身者でも,ある程度のITの基礎知識を持った人は歓迎される。

IT革命と言われたほぼ10年前,いやもっと前から,IT分野で必要とされるのは何も理工系の卒業生だけではない。いわゆる文系,人文系や社会科学系の人たちこそ,活躍できるITの分野がたくさんある。私立文系卒は,かつては日本の高度経済成長を支えたが,あのときは,なんでもいいから人が必要だったというだけだ。今,IT分野で人が必要なのは,まさに文系の視野でITができる人たちなのである。

プログラムを制作するのは,ある種の言語能力であり,論理構成力であるから,プログラマーもSEも,実は文系のアタマが必要なのだ。また,近年では,文章力が要求されるような仕事も増えてきている。卑近な例だと,ホームページやWebサイトを構築するのには文章力やデザインセンスなど,まさに文系のセンスが必要なことくらいはご理解いただけるだろう。それだけではない。企業の情報システムなどは,まさに社会系のセンスがあれば,理解しやすいものであることなど,他方面にわたって,「従来の人文系・社会系の知識やセンス,+プラスIT」という人材が必要となっている。

大卒の就職率の悪化や失業率の悪化など暗いニュースが多いが,私立文系を卒業して,就職がないと嘆く人たちは,大卒後,KCGで数年学んでITの基礎を知り,そういった分野の就職を目指したら良い。将来,生涯にわたって,職にあぶれる,職を失うというようなこととは無縁になるだろう。ひところ流行したダブルスクールでも良いと思う。文系大学で何かを学んで,それプラスITを身につけると,パワフルになる。

つまり,どうして大卒新卒として,就職難に喘がないといけないのか,筆者からみると,独りよがりで閉塞しているに過ぎないような気もする。せっかく文系の勉強をして知識を身につけたのだから,もうすこし視野を広げて考えてみればどうか。

大学の数が増え,大卒が増えたが,多くの大卒が,昔の高卒の仕事に従事している。大手スーパーやチェーン店の店員として大卒が就職できたと喜んでいる例もあるのは,一体,何のための大学だったのかと疑わざるを得ない。彼らは,大学の被害者なのではないかとさえ思えてくる。

大事なことは,自分が,仕事のスキルを身につけることである。残念ながら日本では,「仕事のスキルを身につけることのできる大学」は,いまだに極めて少ない。でも,そうなってしまっているなら,今からでも遅くはない,知識に加えて,スキルをゲットし,両方を得ればよいのである。

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