marine について

現在,コンピュータ・ITは,既存の全ての分野に広がって様々に応用されています。本学では,海洋,漁業,船舶など,魚探やGPSとビッグデータ解析などのIT化を,マリンITと称して幅広くとらえています。船舶のIT化から漁業,水産,アマチュアの釣り,など,複数名で執筆を担当して,幅広く情報発信していきます。

施工箇所を整える

まず施工する箇所の下準備として腐敗箇所のリペアからはじめます。船首を囲っていたFRP板は邪魔なので大胆にカットして船首をスッキリしました。次に梁の腐敗した木材を取り除き,空いてしまった穴に補強と防水の為にガラスマットを巻きつけて,FRP樹脂を塗布した角材を埋め込み,梁のサイドとボルトで固定しました。尚,更に積み重ねたり,トップコートを塗布する必要があるのでFRP樹脂はノンパラ樹脂を使用しています。


船首をスッキリ!


角材とFRPで穴を埋めて補強して・・・


下準備の完了!
(写っている人は作業仲間のKさんです。)

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施工計画

新に船首を施工するのに,まずは2つの目標を計画しました。
・アンカー台を新にステンレスで製作して右舷側から舳先に移設する。
・船首はキャスティングが出来るバウデッキ風にする。

しかし,船舶については素人同然なので,文献などを参考にして施工案を作成しましたが,アンカー台の設置でリブ,柱,キールなどを含めて施工するのに強度などに問題が無いか不安があったので船大工さんを紹介してもらい意見を聞く事にしました。
船大工さんの話では,「この船はFRPで補強されており,リブの数が他の船と比べて多いので強度は大きい。年数の割には床(デッキ)もしっかりとしている。また,船首はFRP一体成型で出来ており天板部分で左右のハルを引っ張っているのでハルが広がらず強度は問題ない。」,要は考えた施工をしても問題ないよとの事でした。
但し,アンカー台を船首に設置については,「船の縁(ハルの上部)との接続を強固にすれば問題ないが,アンカー台が乗る後側の横木には特に上向きの力が掛かるので注意する。前側の横木は上から押さえる力が掛かるので,後ろほど強固に接続する必要はないが,横ぶれの力を注意する。」との事でしたので,アンカー台設置箇所の模型を製作して力の掛かり具合を検証して,船大工さんからの意見を参考に図の様な構成を設計して施工する事にしました。

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傷み具合

船首右舷側にある木製のアンカー(錨)台は木材が腐敗し錆びたボルト一本で止まっている状態でグラグラして,アンカーを上下する度に落ちそうになっています。更に船首デッキの床板は腐り落ち,FRPでカバーリング処理している芯材の木材も腐敗しているのではと思い,まずは状況を確認する為に痛み具合が酷いと思われる船首部分の解体作業を行いました。

アンカー台を分解すると船体の縁の部分まで腐敗しており,船首デッキの床材とFRPでカバーリングした内側の木材も表面上はまともに見えてもアブのような虫が数か所に巣を作る位にかなりの範囲で内側の木材が腐敗していました。

これら腐敗部分を全て取り除くと原型を留めていないので修復ではなく新に船首デッキを施工する事にしました。しかし,船舶については素人同然です。業者に依頼すれば簡単ですが,船舶の内部構造の掌握や信頼できる船にする為にも自分達で製作します。

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はじめに

福井県小浜市は若狭湾とその内湾である小浜湾に面し,京都市内から一番近い海のひとつです。この小浜港に京都コンピュータ学院・京都情報大学院大学の海洋ITの実習船「青雲丸」を係留しています。
この実習船はプレジャー漁船で木材を芯材にして,FRPにてカバーリング処理した船齢30年以上の古い漁船ですが,日本の一般的な和船の漁船であることから,一般的な漁師さんの船と同じように実習ができるようにと選定しました。
しかし,FRPの心材の腐食や錨台の釘が錆びるなど,経年劣化が目立ち始めたことから,教職員や卒業生有志が集まり,修理・レストアすることになりました。

 

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