スポーツカーで仕事する ポルシェ

KCG レーシング

スポーツカーで通勤する,得意先周りをする,配達をする,etc.

国産ワンボックスを新車で買う予算より経済的に,すこし旧いスポーツカーを日常で使うプロジェクトです。

ポルシェがポルシェらしかったのは,言うまでもなく空冷リアエンジンの911の時代です。そして,同時期に生産されていた水冷エンジンFRポルシェである924,924,968,そして928は,その頃の911と同じ血統を感じさせる味があります。
ポルシェは水冷996やボクスターになってから,普通の車になってしまったといわれます。確かに,水冷エンジンになって,近年の技術で大量生産されると,かつての手作り的な味は薄まってしまったようです。

筆者は1984年に,シュツットガルトのポルシェ本社を訪れました。当時は,台車にホワイトボディを乗せて,おじさん二人でゴロゴロと押しながら,工場のラインを流していました。内部も比較的自由に見学できて,工員さんたちは日本人の若造がカメラを構えると,ポーズを取ってくれたものです。その頃のポルシェは,まさに手作りの量産カーでした。

さて,本論ですが,944はもちろんクーペボディがベストです。エンジンはS2のツインカムのほうが楽しいのは当然ですが,シングルカムでもポルシェはポルシェです。アウディベースのエンジンであったり,車体のパーツがアウディのものであったりしたことで,924系はマーケティングに失敗しましたが,それでも,ポルシェが設計し,生産すると,素材が少々違っていても,当時のポルシェになっていたのです。かつての924系をアウディポルシェと非難するなら,現在のポルシェなんて,トヨタデンソーGMポルシェとでも言うべきではないかと思ったりします。

そして当時の水冷FRポルシェのもうひとつの長所は,右ハンドルにクセがないということです。街乗りにするなら右ハンドルが良いに決まっています。二車線でスイスイと流れをリードしていくにも右ハンドルが有利でしょう。それで,当時の水冷FRポルシェは,右ハンドルでもステアリングとペダル,シートの位置関係が自然なのです。当時の空冷911は,左ハンドルに座ると腰から下が右を向いて,(ペダル類が右によっていて),慣れないと腰が痛くなります。右ハンドルはもっとひどくて,ペダル類は左によっていて,通常の右ハンドル車のブレーキの位置にアクセルがあります。そして,左ハン,右ハン,両方とも,着座位置正面よりも,ステアリング中心が5cmほど車体中央にずれています。

これは水冷化されたあとのポルシェも同じで,ボクスターの右ハンも,996の右ハンも,ペダルが中央よりになります。国産車を仕事で使う人や,他に右ハンドルの車を所有している人にとっては,これは致命傷になりかねません。ブレーキペダルとアクセルペダルを踏み間違える可能性があるからです。

しかし,924系と928系は,右ハンドルでも,インターフェースがすべて自然な位置にあります。これは実は,実用性という観点から見ると,とてもありがたいことですね。

というわけで,筆者のイチオシは,944S2のクーペ,右ハンドルです。オートマかマニュアルかは,好みでどちらでもお勧めします。オートマでも,決してポルシェの楽しさをそこなわれません。街乗りにするなら,オートマでも十分でしょう。もちろん,マニュアルはそれなりに楽しいものです。信号から信号まで,ひとりでサーキット気分になれます。左ハンドルは,狭い道で対向車とすれ違うときには,ギリギリまで左に寄せやすいので,重宝します。右ハンか左ハンかは,自分の利便性だけで選択すればよいでしょう。どちらも特に問題はありません。

最近はあらゆる車が側面衝突対策で幅広になってきました。そうすると,かつてはとても大きく感じた928が,実はすでに小さめのスポーツカーになってしまったことがわかります。ですから,928も実用性が高いといえます。928が発売されていた当時は,日本の道路には大きすぎてパワーがありすぎて,そぐわないなどと,よく言われたものですが,現在販売されているスーパースポーツカーに比べたら,なんのその,実用スポーツカーです。
928も右ハンドルがお勧めですが,左ももちろんOKです。
928はさすがに大パワーなので,雨の日でなくとも不用意にアクセルを踏むと,イマドキの車のようにトラクションコントロールなどついていないし,ABSもプアで,容易にスピンしますから,楽しい,いや,気をつけてください。944でもそうですが,簡単だからとか楽しいからと言って,交差点で四輪ドリフトなどしないように。

944,968,928,いずれも,中古車は世界で一番廉いのは日本です。一方,整備代金がそれなりにかかりますから,自分で軽整備をするという条件下では,実にコストパフォーマンスの良いスポーツカーです。スポーツカーがスポーツする道具であった頃の車です。

もうひとつ,ポルシェ全般の面白さは,これはドイツを代表するアグレッシブな車ですから,乗っていると気分が高揚し,戦闘的になります。つまり,仕事をするには,アグレッシブでなくてはなりませんから,ポルシェで仕事をするのは,正しい選択なのです。

空冷911ももっと楽しいのですが,空冷エンジンは,エンジンをかけたり,とめたりを繰り返すと,オイル漏れを起こしやすく,その意味では街乗りには酷です。空冷はあくまでも長距離ドライブに使用しましょう。当時の空冷911の味ならば,他のあらゆる車と比較すれば,の話しですが,同じく当時の水冷FRポルシェが,もっとも近い味わいを持っています。そうなのです,空冷911にもっとも近いポルシェは,水冷リアエンジンの最近の911というよりも,同じ時代の水冷FRポルシェなのですよ。

以降,追々,整備や維持について記述していこうと思います。

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