僕は新しいものは嫌いやねん。
飛び付くとかようせえへん。
だからつい最近まで「なにがiPadや」思うてた。
去年の1月に最初のiPadが出た。そのころ
まだ東京におったけど,まあ,あまりよく
ない印象やった。
僕の東京の交友範囲に,比較的人前に出る機会の
多い人がいる。まあ有名人ではないけど
ある分野ではそれなりに知られている人やな。
そういう人がなんかこう,これ見よがしに
持ち歩いたりしていた。
飲み会に持ってきた人もおる。や,持ってくるのは
かまへんよ。「ええやろ,これ」とか自慢してな。
それはそれで楽しい。でも
その人は,そういうんではなかった。
その人は,最近コンサートかなんかをプロデュース
したそうで。それも,結構なことやな。
それでその人は,コンサートで司会をする自分の姿,
タキシードを着こんだ写真をiPadに大写しにして
見せようとするんや。誰も見せてくれってゆうてないのに。
タキシードでコンサートの司会×iPadでステキの二乗
やな。ま,本人はそう思ってるらしかった。
みんなすっかり引いてしまって,その人の周囲1メートル
は誰もおらん。それでもかまわずiPad振り回してんねん。
「見て,見て」ゆうて,その人が近づいていくとみんな
素知らぬ顔して,でも一生懸命,逃げてるんや。
たま~にやけど,東京って極端な人がおんねん。
ここまで来ると気の毒になるで。
それで僕はすっかり「iPadとゆうのはとても恥ずかしいもの」
という気持ちになってしもうた。
(続く)