BAR Honda時代のバトンのヘルメットは無茶苦茶格好良い。
やあ。
今年のF1はブラウンGPが強い。先週末のモナコGPを終えて6戦中5勝。勝利を逃した1戦も3位表彰台で,強過ぎると言っても良い。もう全盛期のシューマッハ並み。(2004年くらいかな)
今年のF1は去年のF1と大きく違う。そもそもF1のレギュレーション改訂なんてものは,毎年行われている。技術進歩・最適化による絶対速度が高くなることによる安全性低下を防ぐ為,開発費高騰を押さえる為,コース上での追い抜きを増やす為などを理由に。
ただ今年の変更点は,ものすごく影響が大きく10年に1度の大変更と言われる。そして,シーズンが始まってみると,トップチームの勢力図が去年とはガラっと変わってしまっている。最初に書いたブラウンGPは新興チームであり,ドライバーのジェンソン・バトン(道端ジェシカの彼氏だ)は,150戦以上も走っていて1度しか勝った事がなかった。それが今年だけで既に5勝と,破竹の勢い。
このブラウンGP,新興チームといってもゼロから作られたチームではない。昨年末に2008年で撤退を決めたHonda Racing F1 Teamのチーム代表だったロス・ブラウンが買い取ったチームだ。
F1に詳しくない人の為に,F1って何月から何月までやってるのかと,マシン開発について話しておこう。
F1のシーズンというのは,2008年で言うと3月中旬に開幕し11月頭に最終戦が行われる。この夏休み期間3週間を含む7.5ヶ月に,全18戦という超過密スケジュールで,ヨーロッパ・アジア・北南米を転戦する。車体の開発は,シーズンを通して絶えず行われ,改良された外装パーツ等が毎戦のように実戦投入される。凄過ぎる。
そのシーズンを勝つ為に車体の開発をするのだが,翌年の車体設計・製造も始めないとならない。実際は開幕前にテストが始まるので,シーズンオフの期間は更に短くその期間だけでは新シーズンを戦うマシンは出来上がらない。なので開発は,今シーズンと来シーズンの2種類の車体に対して行われる。ブラウンGPは新興チームなので,今走っているマシンは,前のホンダレーシングが開発した物だと分かる。
ここでフェラーリやマクラーレンというトップチームとホンダレーシングとの違いは,前2チームは,最終戦まで優勝争いを続けた為に2008年シーズンの開発の手を緩める事はできなかった。それに比べ,2008年シーズンは低迷を極めたホンダレーシングは,早々と来シーズンに向けての開発にリソースを割く戦略をとる事ができたのだ。その結果,この他チームよりも完成度の高い,速いマシンを作り上げる事ができたのだ。
ホンダのレース活動が撤退直後に実を結んだ。と,ここまではよく聞く話。ブラウンGPの活躍の理由が,オートスポーツに特集されていたので簡単に説明する。
このブラウンGPのマシンは,ホンダレーシングに加え,鈴木亜久里率いるSUPER AGURI F1チーム(SAF1)の開発したもの含まれているという。SAF1は,2008年シーズン序盤で資金難によりF1撤退を余儀なくされた。このチームは,プラベートチームでチーム規模は小さかったが,スタッフは有能で開発能力に長けていて,栃木にある本田技研の研究所との協同で車体開発を行っていた。
SAF1撤退後はホンダレーシングチームに移籍したスタッフもいて,その後も開発を続けていく。その開発では,日本側で良いアイデアの提案をしても,すんなりと採用される訳ではなかったようだ。F1のチームにおいては,ホンダやトヨタと名前は日本メーカーの名前だが,チームの拠点はヨーロッパ(殆どイギリス)にあり日本にはない。スタッフの構成も同様だ。
それをホンダレーシング内でまとめあげたのが,闘将ロス・ブラウン。今までになかった協同作業が可能となり,2009年マシンの開発は進んでゆく。つまり,ロス・ブラウンの活躍なくして,SAF1と本田技研研究所の開発能力無くして,今のブラウンGPの活躍は無かった。
もし,SAF1が撤退せずに済んでいれば,ブラウンGPの2009年マシンはSAF1の2009年マシンだったかも知れないのだ。ということは,この素晴らしいマシンにそのままSAF1ドライバーの佐藤琢磨が乗って戦っていたかも知れないのだ,という話。
ちきしょーそれが見たかった!!
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