手術終了し重症部屋へ

術後

重症部屋にて父親撮影。

入院二日目に,あっという間に終わった手術。

気付いた時には,通常のベッドで移動中。思ったより頭はすっきりしている。起き上がればフラフラするのかも知れないが,横たわっている限りは明瞭。そして,今夜は重症部屋と呼ばれる病室で一晩過ごすことになる。

この部屋,ナースステーションの隣にあり,酸素が出る実装がされている。部屋に到着するなり,酸素マスクを装着。全身麻酔後は呼吸機能が低下しているので,使うという話なのだが,これが全然楽にならない。小さなマスクが,とても息苦しく浅い呼吸を繰り返す事になる。マスクから出ているチューブが軽く突き刺さってるだけなのだが,これが抜け落ちているのに気付く事が数度。チューブが抜け落ちてる時もそうでない時も,気付かないぐらい全然一緒。気休め?

そして体調。強烈に辛い。手術前よりずっと辛い。ベッドの上で微動だにしなくても,お腹が痛い。内側と外側共に。そして,まだ高熱が続く。空調が万全なのに,あぶら汗ダラダラ。手術後は体温調整機能が低下している為,ベッドには電気毛布が敷かれている。寒気が凄いので,強くしてもらい寒さを和らげる。また,喉に挿管されていたからか,喉に少しの違和感を感じる。話に聞いていた,ヒリヒリするという事は無い。だが,ちょっとした咳払いをしようとすると,激痛に襲われる。なんだこれは。少しでも,腹圧を掛けると激痛。小さな咳払いでこんなに痛いなんて。想像以上。今,大きなクシャミをしたら多分死ぬ。映画プライベートライアンの冒頭の上陸銃撃シーンみたいに腸がどばーんて飛び出て。それぐらい痛い。

痛みについては積極的に取り除いていきますので,遠慮なくおっしゃってくださいとの事なので,言う。遠慮なく。肩に鎮痛剤の注射を打ってもらう。収まるが,完全に痛みがなくなるという訳ではない。我慢出来ないのが,出来るようになる,そんなレベルの話。高熱が続き頭がぼーっとするので,氷枕も貰う。至れり尽くせり。その後,数時間経ち消灯時間。お母さん風看護士さんに,高熱の為辛い事を告げる。遠慮ないぜ。すると,了解を取る事もなく間髪いれず座薬投薬。ああ言わなければ良かった。

ほんとに微動だに出来ないないなあ,トイレどうすんだトイレ。ん,トイレ? 頻繁に訪れる看護士さんに,妙な動きがある事に気付く。何か液体を移し変えている。まさか。全身麻酔の説明で,尿道に管を入れると言っていたのを思い出す。ええー!! じゃ,なんだ,今まだ挿管中なのか!! 驚愕。全くそんな感覚はない。少し妙な違和感は感じるが,痛みはない。どうりで尿意が無い筈だ。え,尿意が無い? その管,一体どこまで入ってるんだよ。
だよ…

病室の天井を眺めながら途方にくれる。

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初手術

手術立会い

手術中のイメージ図

なんて言ったって,もう手術だ。

恥ずかしいのなんの,言ってる場合じゃない。手術台に上がったら,まな板の鯉よ。15:00なんてあっという間。私の手術は2件目なので,1件目の手術時間によっては前後するということだったが,殆ど時間ぴったりに呼ばれる。手術室のあるフロアへ移動し,手術室へ入室。想像以上の人数に驚く。皆に出迎えられ,自己紹介。なんだろ,これも全身麻酔に関係する事なのだろうか。あ,どもども。こんにちはタカギトシユキです。病棟ではほとんど見ない,若い男の人も何人かいる。

手術室は思ったより広く,何室かが中が繋がっている妙な造り。そのうちの一つに案内され,自分の力で手術台へ移る。初手術台。おー,この手術台,テンピュールマットレスか?? 低反発系であり,とても寝心地が良い。良い待遇。バイタル(Wikipedia)を計測する為,手術スタッフが手際良く色んなセンサを体に付けてゆく。すぐに脈拍が部屋に響き渡る。聞こえる脈拍数から,緊張せずリラックス出来ているのが客観的に分かる。ほぼ同時に,酸素マスクも装着。初酸素マスク。装着しても別に楽だとか,そういう感じは皆無。もっと違いの分かるようなアイテムかと思っていた。恐らく麻酔科医であろう人から,今から点滴ラインに麻酔薬を流して行きますねとアナウンス。入眠後は,あんな事とかこんな事とかされる訳だな。あんまり考えないでおこう。おこう…

今気付いたが,静かなクラシック曲も流れている。ネエさん,良い仕事してるぜ。それにしても,準備をする手術スタッフの動きが異常に素晴らしい。各人の手際も良く,また連携も素晴らしい。それは手術台の上から眺めていてもよく分かる。部署柄,イベント設計進行に関わる事があるが,比較にならない完成度の高さに感嘆。いやあ,手術スタッフっつーのは格好良いねえ…タカギさん,タカギさん! 終わりましたよ。ええー!!? ホンマデスカー!? 嘘でしょ。

眠いという感情を抱く暇すらなく終わった初手術。

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手術日編(その2)

コントローラ

シンプルなUIを有する介護ベッドの有線コントローラ。

その他色々な説明をしてチャキチャキ姉さんは,それではまた後で会いましょうねー(はぁーと),と退場。あれ,剃毛は? まあいいや,どうせあるんだ。あるって,冊子にも書いてあるし。あるし…

そして,また少し時間が空く。痛みに関しては,ベッドで大人しくしているとまだ皆無。ビバ内臓脂肪。動くとさすがに痛いので,大人しくしている。しかし,入院というのは慌ただしいものなんだな。体感では,次から次へと人がやってくる。なんて考えてると,検査のお知らせ。レントゲンと,肺活量系。

ここで初車椅子。点滴をキャスター付きポールから,車椅子用ポールへ移し変える。車椅子自体は,押してもらえるので楽。ただ,病院内には,建物を増築した跡があり,1センチ以下の段差がある。この乗り物,後輪は大径ホイールなのでこのぐらいの段差は体感できない程だが,問題は前輪だ。機能上,キャスターにしなければならない事と,車体レイアウト上近くに足が存在する為,一般的にどうしても小径ホイールとならざるをえない。これが,数ミリの段差であっても影響を及ぼす。エレベータの乗り降りにしても,段差を超えますねと,もれなくアナウンスをしてくれる程に。病院こそ,こういう数ミリの段差にも気を遣って欲しいものだと思う。エレベータも同様。虫垂炎で初めて分かる視点。また,エレベータの車椅子用行き先ボタンパネルの押し易さに感動。ドンピシャ(死語)。

肺活量系検査(正式な名前は不明)は,肺活量と吸う力および吐く力の測定。車椅子に乗ったままなので楽だが,お腹に力が入らない状況が辛い。その状況下でも,肺活量は平均値。吸う力および吐く力は,平均以上の良い数字が出た様子。禁煙8年が効果を出してる? 麻酔用の検査なのかなと思い,先生と話をする。全麻? 局麻? と聞かれる。そうか,全身麻酔,局所麻酔はそんな風に略すのか。よし,看護士とコンパをするような事があったら使おうと脳内メモ。

検査も無事終わり病室へ。大人しくしている分には大丈夫だが,起き上がったり,寝転がったりの速さはご老体級。それを助けてくれるのが,電動ベッド。介護ベッドとでも呼ぶのだろうか,最高。起き上がるのがすごく楽。これ,ふつうに自分用に家に欲しい。ただ,出力上げるかギアレシオ変えて,もっと速く動くようにしたい。また,有線コントローラの良い置き場がない。カールコードの曳きが強く,落とす事が数度。高さを高い状態で落としてしまうと,今の体調では拾うのが大変。大仕事。

検査から戻り暫くすると,本日の担当看護士さんが登場。おへそのゴマを取ります。あ,はいお願いします。オイルみたいなもので,おへその穴をほじほじ。あっという間に終了。

…を剃らせてください。来た,ついにこの時が。さあ,どこでも剃ってくれ。やはりこういう時の頭の中は,般若心経(高校は仏教系)だな。かなり久しぶりな読経準備を整えてると,怪訝そうな顔でのぞきこまれる。え,下腹部じゃない? 太もも? あれ。手術中は,電位差を取り除く為(うろ覚え)に,太ももに電極シールを貼る。これが,剥がす時に毛が抜けてとても痛い思いをするので,あらかじめ剃らせてくださいとの事。軽く肩透かしをくらいながら了承。電動バリカンであっという間に終了。剃るというより,刈り上げる感じか。

手術には病衣を着なければならない。その場で着替える。ズボンは,手術室への移動直前までそのままで良いようだ。これで全ての準備作業が終了。あれ,剃毛はテイモウ。テーモー。すると,最近は手術部位以外の体毛は剃らないんですよとの返答。え!? なんだって!! テイモウが無い? この冊子にも書いてあるのに? そうか,周辺は関係ないのか。ちょっと待て。じゃ,俺が昨夜振り絞ったあの勇気の意義は一体。

そんな気持ちとは裏腹に今日も良い天気。

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