手術日編(その1)

注意書き

問題の冊子の一部分

手術日の朝。(誰も把握してないでしょうが,7/20(金))

病院の朝は早い。6:00起床。といっても,消灯も21:00なので,無理のない生活。朝になって分かったが,この部屋は4人部屋。他の3人の方に挨拶。なんか見た目元気そうで,何で入院してるんだこの人達という感じ。しかし,病棟の他の病室の前を通ると,病室前に千羽鶴がずらーっと並んでいる。病院のこういう雰囲気はとても苦手で,わけも分からず気分が滅入る。こんな数の千羽鶴を見たのは,10年前に広島平和記念公園に行った以来だ。同室の方々が,元気そうで良かった。6人部屋でなく,4人部屋というのも良い。また,病院特有の変な消毒薬の香りも無いのが嬉しい。快適。

うとうとしていると,7:00頃に看護士さん登場。検温,血圧,血中酸素濃度を測定。一日に何度もこれを1セットとして測定。そして7:30には,朝食が運ばれてくる。ただ,絶飲食中なので私には運ばれてこない。いいなー食事。と羨ましがっても,点滴をしているからか空腹感は相変わらず皆無。よし,この機会にダイエットするぞー。と思ったが,看護士さんの話だと,痩せる人も居れば太る人も居ます。それに,空腹感の有無も人それぞれなんですとの事。へー。

8:30になり,看護士さんと主治医二人が回診。お腹に聴診器を当て聞いたり,押したり。そこで先生が一言。レジスタンスが出てますね。なんのことだろ,北斗の拳? そうですよね,バットとリンが美男美女になった時にはほんと驚きましたよね。私,小学生でしたが,みんな自転車に黒王号て名前付けてましたよと言おうとしたが,これまた笑いを取る自信がなかったので断念。

今日の手術は,午後の2件目なので15:00頃を予定しています。オペ場(手術室の事らしい)担当看護士が,また後ほど手術に関する説明をします。と告げられ,また少しのんびり。

そうこうしていると,オペ場の看護士登場。チャキチャキ系お姉さま。全身麻酔に関してのレクチャを受ける。配布された冊子をペラペラ読みながら話を聞く。痛みが全く無く,ぐっすり寝てる間に手術が終わるという事は既知であり,私もそれぐらいしか知らなかった。入眠後は,気管へ挿管を行い人工呼吸をするというのは,少し驚きであった。喉へグイグイ管を入れられるわけか。苦しそう。入眠後なので痛みはないが,手術後に喉がヒリヒリする事があるそうな。まあしかし,お任せ。

更に,全身麻酔には他にも必要なチューブがあると説明。尿道。え? チューブ? いや,そんなの無理ですって。入りませんって。笑顔だけど,目の奥が笑っていない看護士姉さん。そうだ,きっと現代医療技術の発展の賜物である,一般人が想像もつかない,髪の毛ほどの微細チューブかなんかを使ってくれるんだよ!! で,抜かなくてもよくて,術後自然と体に吸収されるんだよ!! そんなのがあるんだよ! ちょっと嫌だけど,お任せだよ!!

妄想から無理やり引き戻され,何か好きな曲があるか尋ねられる。麻酔が効き入眠するまでの間に流してくれるらしい。手術自体にはそれほどビビってる訳ではないので,適当に落ち着くような曲を流してもらえるようお願いする。用意されている曲一覧を少し見たが,一昔前のカラオケ屋みたいな感じであった。なんでそんなに気合入ってるんだ。

それよりも,テイモウだよテイモウ。受験勉強真っ只中の時の事。友人が急性虫垂炎になった。その年齢での急性虫垂炎は珍しい。その友人,手術台か病院のベッドだかで,ではテイモウします。と言われ,なんの事か全く分からなかった。しかし,暫くして彼はその意味を知る事になる。ああ,「剃」は「てい」て読むのか,漢字は剃毛か。そうか勉強になるなあと考えながら,ジョリジョリと無茶苦茶恥ずかしかったという話。時の人を囲んで受験生大盛り上がり。ああ,俺もその立場になるなんて。

その彼のおかげで剃毛は読めるようになった。後はその時を待つばかり。

comments

入院編(その2)

(看護士の性別が分からないとの指摘があり,改訂 19:33)

点滴

当面の相棒である支柱と点滴。24時間これ。beef りーど? be freeど?

水分を取る事にも制止がかかり,絶飲食状態突入。腸の病気ということもあり,食欲は無く,空腹は全く辛くない。そして,初点滴。昼間の検査で装着したものと同じ,汎用リキッドインターフェイスを体に装着。液体入れようが血液抜こうが自由自在。投与されたのは,化膿止めと合わせて2種類。これで食事しなくても大丈夫なのか。また一歩,更なる完全体へ向かう。そして,これで暫くは点滴生活。トイレに行く時も,キャスター付き支柱を押してコロコロ。どこに行くにもコロコロ。入院気分満点。

それにしてもしんどい。それは,腹痛からではなく39度近い高熱の為。ベッドで気分を尋ねられたので,それを恐らく年下女性で,美しいとか可愛いとかそういう世俗的な評価軸を超越した,ともすれば性別すら気にならない感じの看護士さんに伝える。すると,

看:
– そうですね,それはしんどいですね,解熱剤を使いましょうか。

私:
– はい,お願いします。
看:
– 座薬なのですが,いいですか。

私:
– (いいですかってどういう意味なんだ?! 全ての投薬には同意が求められるだけか?! それとも,ちょっと恥ずかしい座薬っつーアイテムを用いる事には同意を求めるのか?! 嫌だと言えば,飲み薬になったり注射になったりするのか!? まさか,この看護士さんの手により投薬されるのか!? ええー!!座薬なんて20年以上使ってないぞ。しかしそうであっても,体はまだ自由に動くし,自分でやりますと言えばいいだけじゃないか! やった事ないけど,元ソフトウェアエンジニア(←関係無い)の俺なら座薬なんて楽勝だろう! そうだよなあ,え,自分でやるんですか? それとも,やってもらうんですか? なんてアホみたいな質問,今の弱りきった状態ではできないよ! 相手はプロなんだよプロ。座薬なんて 65536回は投薬していて,俺がUV-EPROM(Wikipedia)を焼いては消してを繰り返していた日々のように,その行為自体には何の特別な感情もないんだよ!! それにだ,どうせ明日には剃ってもらうという一世一代の大イベントがあるんだ!! 恥ずかしいとか抜かしてる場合じゃないんだよ! これで恥ずかしいなら,その大イベントをクリアするのなんて無理だろ!! それに,相手は美しいとか以下略と256ミリsec考え) はい,お願いします。

答えるや否や,看護士さんの手にはラテックス製手袋が装着。朦朧(もうろう)とする意識の中であっても,事態を理解するのにそう時間は掛からなかったのは言うまでもない。しかしさすがプロ。驚愕に値するスキルであった。父さんボク大人になったよ!!(←バカ)

枕を涙で濡らしながら入院一日目の夜は更けていった。

comments

入院編(その1)

イラスト

何故医師て皆字が下手なんだ。暗号化? 平文で書いてくれよ。

では,詳しくは病棟の看護士から説明を受けてくださいと言われる。その頃,頭の中では,虫垂炎→手術→剃られる→無茶苦茶恥ずかしいと,中学生レベルの話題でもちきり。

しかし,ちょっと待ってくれ。手術しないと治癒しないのは理解したが,まだこの病院に入院するかどうかに関して同意していないじゃないか。自宅の近所で入院する方が,何かと都合が良い可能性がある。ベテラン看護士(つまり以下略)にその事を伝える。その看護士,いや,今頃そんなこと言われてもと驚き。もう病棟から担当看護士がこちらに向かってます。今頃も何も,いつ言うタイミングがあったというのだ。担当看護士がこちらに向かおうが帰ろうが以下略。

一旦手続きを止めてもらい,人生の先輩である親へ連絡してみる。やはり,自宅近所のほうが良いようだ。後で分かったが,何かと自分以外の人の助けが必要になる。手術中は病院に居てもらわないとならないだとか,着替えを持ってくるとか持って帰るとか。体一つで入院なんて出来るものかと思っていたが,なかなかそういう訳にはいかないようだ。こんなの,旅先で起こったら大変だな。

入院先が決まったので,紹介状を書いてもらう。CTの現像物(あの,よくドラマでバックライト付きのパネルに差し込んで見るやつね)は,貰える物かと思っていたが,これはどうも病院所有のようだ。CTがあるほうが良いだろう,ということで貸してもらえることになった。また,治ったら仕事帰りに返しにきてねと,軽い感じ。食事に関して尋ねると,絶食の回答。熱があるから,水分は摂ってもいいよとのこと。以上,もう,どっぷり夕方じゃないかと思いながら,武田病院をあとにする。

さて,次の病院へ。最寄り駅からタクシーで直行なので,最後にしないとならない事をする。なんとかインターネットに繋ぎ,数通のメールを送る。職場に入院を伝え,レースオーガナイザに欠場を伝え,PCを閉じる。僅かに痛みが増した気がするが,自分の足で歩いて電車に乗り帰る。病人だし,特急で帰る。局部麻酔かあ,こいつの注射がかなり痛いて聞いた事あるなあ。しかも,内臓をグニュグニュしてる感覚が分かるとも聞いた事ある。嫌だなあ。手術時間がどれぐらいになるのか分からんけど,嫌だなあなんて考えながらも車中ぐっすり。

すっかり夜になり,病院へ到着。親が既に到着していて,遅いと大喧嘩。気を取り直して,先生と御対面。あれ,元気そうですねと驚かれる。それほど,CTで見る限り状態は良くないんだそうだ。ご本人様の自覚とかなりの乖離が見受けられますが,現状は~~となっています。この先生,乖離大好き。乖離乖離言いまくり。

質問を受ける。みぞおちから痛みが移動したかとか,吐き気はとか,いつからとか。そして,説明を受ける。虫垂は炎症を起こしていて,大きく膿が溜まっている状態であることが予想される。大腸にまで炎症が及んでいると,腸を切除し繋ぐ事が必要になり,手術が大きくなる。それは開腹してみないと分からない。また,虫垂炎てのは現代であっても~~~(失念)であり,つまりその可能性が一番高いというだけで,断定できるものではないんです。へー。他に考えられる病気に関する説明を受ける。一番の問題は,切除が大腸にまで範囲が及ぶかどうかのようだ。小さなものであるなら局所麻酔で行うのが通常ですが,今回はそういう事もあり,全身麻酔で行います。へー。酷い状態なのか俺。自覚と乖離(今年のプチ流行語)してるねえ。週末だけ我慢したら,レース出れるんじゃないかとかちょっぴり考えてるものなあ。

なんてことを考えながら聞いてると,ちょっとした驚きが。手術で膿を洗い流しますが,タカギさんのこの状態では一度できれいな状態にはなりません。お腹からドレンチューブを2本出し,術後はそこから膿が体外へ出ます。中がきれいになったら抜きます。ええー! チューブを出す?? 絵で説明。ああ,エアコンの室外機みたいなもんか。しかし,抜く時はどうやって抜くのよ。どうやって…。

今,痛みでのた打ち回ってる状態ならば,すぐに手術しますが,状況によっては手術が長引く可能性がありますので,明日に手術をします。夜に痛みが激しくなれば,今晩に緊急手術をすることになりますので,幾つかの検査は今からしておきます。と説明を受け幾つかの検査へ。

– 心電図 –
胸にペタペタと電極貼り付けたり,手足に洗濯物干し用クリップみたいなのを付けたり。痛み無し。

– 血液凝固検査? –
血液の固まる早さを調べる検査。初。これ,ベッドに横になった状態で,耳から血を採るのでまったくどんな器具か見えませんでした。一瞬チクっとしますねー,はい。実際は,耳かじられて欠けたかと思うほどの痛み。痛ぇーー!!! 痛み中。

ふう,やっと病室へ案内してもらう。21時を過ぎ,消灯しているようだ。ナースステーションで入院に関して軽く説明を受ける。夜も更け,長い一日がやっと終わ…らない。今思えば,38度オーバーの熱を,辛いと思わなければ良かったのだろうか。

(続く)

(色々な病気や症状に関する記述がありますが,医療分野は専門ではありませんので,これらを元にご自身の症状を判断することはお止め下さい。専門の医師の診断を仰いでください。また,明らかに間違った記述がある場合は,お知らせください。)

comments