入院編(その2)

(看護士の性別が分からないとの指摘があり,改訂 19:33)

点滴

当面の相棒である支柱と点滴。24時間これ。beef りーど? be freeど?

水分を取る事にも制止がかかり,絶飲食状態突入。腸の病気ということもあり,食欲は無く,空腹は全く辛くない。そして,初点滴。昼間の検査で装着したものと同じ,汎用リキッドインターフェイスを体に装着。液体入れようが血液抜こうが自由自在。投与されたのは,化膿止めと合わせて2種類。これで食事しなくても大丈夫なのか。また一歩,更なる完全体へ向かう。そして,これで暫くは点滴生活。トイレに行く時も,キャスター付き支柱を押してコロコロ。どこに行くにもコロコロ。入院気分満点。

それにしてもしんどい。それは,腹痛からではなく39度近い高熱の為。ベッドで気分を尋ねられたので,それを恐らく年下女性で,美しいとか可愛いとかそういう世俗的な評価軸を超越した,ともすれば性別すら気にならない感じの看護士さんに伝える。すると,

看:
– そうですね,それはしんどいですね,解熱剤を使いましょうか。

私:
– はい,お願いします。
看:
– 座薬なのですが,いいですか。

私:
– (いいですかってどういう意味なんだ?! 全ての投薬には同意が求められるだけか?! それとも,ちょっと恥ずかしい座薬っつーアイテムを用いる事には同意を求めるのか?! 嫌だと言えば,飲み薬になったり注射になったりするのか!? まさか,この看護士さんの手により投薬されるのか!? ええー!!座薬なんて20年以上使ってないぞ。しかしそうであっても,体はまだ自由に動くし,自分でやりますと言えばいいだけじゃないか! やった事ないけど,元ソフトウェアエンジニア(←関係無い)の俺なら座薬なんて楽勝だろう! そうだよなあ,え,自分でやるんですか? それとも,やってもらうんですか? なんてアホみたいな質問,今の弱りきった状態ではできないよ! 相手はプロなんだよプロ。座薬なんて 65536回は投薬していて,俺がUV-EPROM(Wikipedia)を焼いては消してを繰り返していた日々のように,その行為自体には何の特別な感情もないんだよ!! それにだ,どうせ明日には剃ってもらうという一世一代の大イベントがあるんだ!! 恥ずかしいとか抜かしてる場合じゃないんだよ! これで恥ずかしいなら,その大イベントをクリアするのなんて無理だろ!! それに,相手は美しいとか以下略と256ミリsec考え) はい,お願いします。

答えるや否や,看護士さんの手にはラテックス製手袋が装着。朦朧(もうろう)とする意識の中であっても,事態を理解するのにそう時間は掛からなかったのは言うまでもない。しかしさすがプロ。驚愕に値するスキルであった。父さんボク大人になったよ!!(←バカ)

枕を涙で濡らしながら入院一日目の夜は更けていった。

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入院編(その1)

イラスト

何故医師て皆字が下手なんだ。暗号化? 平文で書いてくれよ。

では,詳しくは病棟の看護士から説明を受けてくださいと言われる。その頃,頭の中では,虫垂炎→手術→剃られる→無茶苦茶恥ずかしいと,中学生レベルの話題でもちきり。

しかし,ちょっと待ってくれ。手術しないと治癒しないのは理解したが,まだこの病院に入院するかどうかに関して同意していないじゃないか。自宅の近所で入院する方が,何かと都合が良い可能性がある。ベテラン看護士(つまり以下略)にその事を伝える。その看護士,いや,今頃そんなこと言われてもと驚き。もう病棟から担当看護士がこちらに向かってます。今頃も何も,いつ言うタイミングがあったというのだ。担当看護士がこちらに向かおうが帰ろうが以下略。

一旦手続きを止めてもらい,人生の先輩である親へ連絡してみる。やはり,自宅近所のほうが良いようだ。後で分かったが,何かと自分以外の人の助けが必要になる。手術中は病院に居てもらわないとならないだとか,着替えを持ってくるとか持って帰るとか。体一つで入院なんて出来るものかと思っていたが,なかなかそういう訳にはいかないようだ。こんなの,旅先で起こったら大変だな。

入院先が決まったので,紹介状を書いてもらう。CTの現像物(あの,よくドラマでバックライト付きのパネルに差し込んで見るやつね)は,貰える物かと思っていたが,これはどうも病院所有のようだ。CTがあるほうが良いだろう,ということで貸してもらえることになった。また,治ったら仕事帰りに返しにきてねと,軽い感じ。食事に関して尋ねると,絶食の回答。熱があるから,水分は摂ってもいいよとのこと。以上,もう,どっぷり夕方じゃないかと思いながら,武田病院をあとにする。

さて,次の病院へ。最寄り駅からタクシーで直行なので,最後にしないとならない事をする。なんとかインターネットに繋ぎ,数通のメールを送る。職場に入院を伝え,レースオーガナイザに欠場を伝え,PCを閉じる。僅かに痛みが増した気がするが,自分の足で歩いて電車に乗り帰る。病人だし,特急で帰る。局部麻酔かあ,こいつの注射がかなり痛いて聞いた事あるなあ。しかも,内臓をグニュグニュしてる感覚が分かるとも聞いた事ある。嫌だなあ。手術時間がどれぐらいになるのか分からんけど,嫌だなあなんて考えながらも車中ぐっすり。

すっかり夜になり,病院へ到着。親が既に到着していて,遅いと大喧嘩。気を取り直して,先生と御対面。あれ,元気そうですねと驚かれる。それほど,CTで見る限り状態は良くないんだそうだ。ご本人様の自覚とかなりの乖離が見受けられますが,現状は~~となっています。この先生,乖離大好き。乖離乖離言いまくり。

質問を受ける。みぞおちから痛みが移動したかとか,吐き気はとか,いつからとか。そして,説明を受ける。虫垂は炎症を起こしていて,大きく膿が溜まっている状態であることが予想される。大腸にまで炎症が及んでいると,腸を切除し繋ぐ事が必要になり,手術が大きくなる。それは開腹してみないと分からない。また,虫垂炎てのは現代であっても~~~(失念)であり,つまりその可能性が一番高いというだけで,断定できるものではないんです。へー。他に考えられる病気に関する説明を受ける。一番の問題は,切除が大腸にまで範囲が及ぶかどうかのようだ。小さなものであるなら局所麻酔で行うのが通常ですが,今回はそういう事もあり,全身麻酔で行います。へー。酷い状態なのか俺。自覚と乖離(今年のプチ流行語)してるねえ。週末だけ我慢したら,レース出れるんじゃないかとかちょっぴり考えてるものなあ。

なんてことを考えながら聞いてると,ちょっとした驚きが。手術で膿を洗い流しますが,タカギさんのこの状態では一度できれいな状態にはなりません。お腹からドレンチューブを2本出し,術後はそこから膿が体外へ出ます。中がきれいになったら抜きます。ええー! チューブを出す?? 絵で説明。ああ,エアコンの室外機みたいなもんか。しかし,抜く時はどうやって抜くのよ。どうやって…。

今,痛みでのた打ち回ってる状態ならば,すぐに手術しますが,状況によっては手術が長引く可能性がありますので,明日に手術をします。夜に痛みが激しくなれば,今晩に緊急手術をすることになりますので,幾つかの検査は今からしておきます。と説明を受け幾つかの検査へ。

– 心電図 –
胸にペタペタと電極貼り付けたり,手足に洗濯物干し用クリップみたいなのを付けたり。痛み無し。

– 血液凝固検査? –
血液の固まる早さを調べる検査。初。これ,ベッドに横になった状態で,耳から血を採るのでまったくどんな器具か見えませんでした。一瞬チクっとしますねー,はい。実際は,耳かじられて欠けたかと思うほどの痛み。痛ぇーー!!! 痛み中。

ふう,やっと病室へ案内してもらう。21時を過ぎ,消灯しているようだ。ナースステーションで入院に関して軽く説明を受ける。夜も更け,長い一日がやっと終わ…らない。今思えば,38度オーバーの熱を,辛いと思わなければ良かったのだろうか。

(続く)

(色々な病気や症状に関する記述がありますが,医療分野は専門ではありませんので,これらを元にご自身の症状を判断することはお止め下さい。専門の医師の診断を仰いでください。また,明らかに間違った記述がある場合は,お知らせください。)

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急性虫垂炎で入院の巻(検査編2)

– レントゲン –
これも慣れっこ。X線写真(Wikipedia)とも言いますね。健康診断で撮影したことがある学生さんも多いかも知れませんね。こいつの,胃を撮影する版はすごく大変。バリウムを飲んでやるやつです。やった事無くても誰しも聞いたことぐらいある有名なやつ。私は前職の時に一度受けましたが,想像以上でした。まさかあんな,NASAのプチ宇宙飛行士地上訓練施設みたいなマシンで,ドSオペレータの手中で体まるごとグルングルンするなんて。大技。それに引き換え,こちらはあっという間に終了。痛み無し。

– CT –
コンピュータ断層撮影(Wikipedia)と書けば,どのようなものか分かりますね。初CT。ドキドキ。息を止めて下さいと言えば,息を吸って止めてくださいと,僅かな説明を受ける。言われるがまま(基本これ)に,ベッドみたいなものに横たわって,デカい輪っかに頭から突っ込んでゆく。輪っかは一部だけなので,閉塞感も特になし。ちょうど頭上で停止すると,目の前に動作インジケータがある。オレンジと赤だったかな。どうやらスタンバイがオレンジで動作中が赤の様子。何の印字も無いし説明も無かったけど。暫くするとランプが赤になり,音声合成で息を止めてくれとアナウンス。下腹部辺りまですっと移動し,楽にして下さいアナウンス。簡単。

ここで注目なのは,起動音。スタンバイ状態から動作へ移る間に,こいつの起動音が聞こえるんだけど,それが格好良いのなんのて。輪っかの中で,何かが回転しているようで,ヴオンヴオンと頭の周りで聞こえる。ガンダムかエヴァの起動音かのようで,俄然やる気にさせてくれる。堪りません(つまり殆どの人にはどうでもいい事)。

そうこうしていると,造影剤使って撮影しますので,体が熱くなるかも知れませんが,すぐに元に戻りますのでご安心をとの説明。ちなみに,造影剤は承諾書を事前に書かないとならないので書いている。これ昨日書いた,採血した後もくっ付いていたチューブから注入される。汎用液体インターフェイスかよ!! なんでもここからお手軽に抜いたり出したり。なんてサイバーなんだ。しかも,体が熱くなるなんて!! と一人ドキドキしてたんですが,まったくアツくなりませんでした。体が大きかったりすると,相対的に造影剤の影響が少ない事があるそうです。ちょっと,がっくりしましたが,この技師のお兄さんにドキドキしても仕方ないので,良しとしましょう。
痛み無し。

などと検査を終わらせ,外科の病室の前で待ちます。既に午前中の診療は終わり,午後の診察客が大挙して待っているではないですか。診察に関する書類を看護士さんに渡し,病室外で待つ私。なかなか呼んでもらえない。あれ,もしかしてキューの最後に位置してる? な,なんでやねん。プライオリティ上げて一番最初に診てもらえるべきじゃないの? とここでまたシステムにガックリ。

朝から何も食べていないのにもう,お昼も過ぎている。やっとのことで,外科医に診てもらう。

血液検査,CT等の結果からも急性虫垂炎です,と。ああ,やっぱりそうなのね。昔,父親の急性虫垂炎話を聞いたことがある。夜痛くなってそのまま救急車で運ばれて,緊急手術だったと。でも,こういう2,3日掛かるのも同様とのこと。そうだ,忘れかけてた。薬で散らすとか聞いたことあるんですが,この場合は!? と鼻息を荒げながら聞いてみる。残念ながら,薬で散らすなんてのは,もっともっと軽い症状にのみ使えるんです。タカギさんのは手術しないと治りません。入院です。入院です…

もう少し説明を聞く。患部を押して離して痛いかどうかは,腹膜炎を併発しているかどうかを診ているそうだ。別に虫垂炎かどうかではない。これ,勘違い。私の場合,まだそこまで達していない様子。高熱は,体の内部で炎症を起こしているから。
あと,CTの結果から見る限り状態が良くない事が予想されるのに,じっとしていると痛くないという現状は,体の防御反応で脂肪が炎症部を包み込んでるからではないか,とのこと。自覚症状が出るのが遅くなるので,一概に良いとは言えないんですって。ちなみに麻酔は局所麻酔ですって。

初入院に初麻酔に初手術。ああ,仕事よレースよ,さようなら。

(明日の入院編1へ続く)

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