再入院かつ再手術

ご無沙汰。
ニューインジャーナルを執筆途中だというのに,再入院かつ再手術してました。本日,入院期間10日間を終え退院。

さよなら、夏期休暇。体調は好調には程遠く、新ネタ盛りだくさん。乞うご期待!!

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ナニチューブを抜く

パジャマ

母親が購入した問題のパジャマ。

入院を告げると,これを機にゆっくり休めば良いとよく言われる。この時点では,休んでいる感じは全く無い。体の全リソースを,治癒へ割いている感覚。体の異常が,様々な辛いアラートとしてあがってくる。数日経てば変わるのだろうか,今はそんな予感ゼロ。

重症部屋でも少し余裕が出てきて,自分がパジャマを着ている事に気づく。パジャマは,手術に必要な物としてリストアップされている。前開きでないと,様々な業務に支障が出るからであろう。だがパジャマなんて,もう長い間着ていないので家には無い。急遽,数着買ってきてもらう必要があった。その一つが冒頭の画像であるが,オカンよ,これ女性モノじゃないか。妙に衿とかポケットのディティールが可愛いなと思ったんだ。ボタン掛けていて,右前留めになってる事で気付く。でも,サイズがぴったりだったので気に入る。

こういう時は,母親のセンスが酷いものでなくて良かったと思う。もし,ペイズリー柄や英字新聞柄なんて買ってこられていた日には大変だ。手術が終わって,ペイズリー。重症部屋で大人しく横たわるペイズリー。ナースステーションでは,看護士さんの話題はペイズリーでもちきり。アッペ(虫垂炎の医療専門用語)のタカギサンのパジャマ見たー? そうそう,ペイズリー柄ー。ミトコンドリアが手術受けていたのかと思ったっつーの。ミトコンドリアに虫垂なんてねーよ。超ウケるー。そこからあだ名はペイズリーマンかミトコンマン。10日以上小学生レベルのあだ名を欲しいがままにする俺。他のパジャマにも着替える事になるから,きっと次のペイズリーの登場はいつになるか,掛けの対象になる。ペイズリー賭博。ペイズリーの動向に一喜一憂する皆。考えるだけで,ぞっとする。しかも,その着替えたパジャマが英字新聞。それ,背中の記事読めねーだろーウヒャヒャー。ああ,良かった。持つべきは最低限のパジャマセンスを満たす母親。

夕方近くになり,やっと一般病棟へ移動する事になった。つまり,手術後の私を完全体たらしめていたナニにぶっ刺さってるチューブ,これを抜くビッグイベントが到来。担当の方は,リアディゾンを頂点とする顔面ヒエラルキーというくだらない一側面で評価するならば,平均を下回ってしまう看護士さん。挿管時は麻酔が効いていて意識が無いが,今は平常時だ。痛みはどれぐらい伴うのかを尋ねると返答は,違和感がある感じですね。嘘だ!! 絶対,嘘だ! 激痛に違いない!! そんなの,一般的な成長を遂げてきた男なら誰だって解かる! 騙されないぞ! そうだろ,そうだろ! と詰め寄る前に,チューブをスルスルと手繰り寄せる看護士さん。あうあう。この時は,ベッドをかなり起こしている体勢なので,服の隙間からチューブが出ているのが見える。何故,こんなの出てるんだ俺と感傷に浸る暇もなく,作業は容赦なく,かつ躊躇することもなく,一気に終わった。結果から言うと,少し痛い程度。注射レベル。チューブは想像してたより長い。人体の不思議。

なんだ看護士さんの話は本当だったんじゃないか。と思ったが,後に他の経験者から聞くところによるとやはり激痛のようだ。また,抜いた後もトイレが激痛という話を聞いたが,私の場合はまったく問題無し。よく分からんが良かった良かった。

こういう期待の裏切られ方なら大歓迎。

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重症部屋の一日

天井

天井に点在する謎の噴射口。定期的にシューシュー。

重症部屋の一日も一般病棟の一日も同様に流れる。ただ,同室の方々はさすが重症部屋というコンディションの様子。始終ぐったりして過ごす。この時はまだ電動ベッドの操作に慣れていないので,ほぼフラット状態。

一日に何度か,布製でベルクロ(Wikipedia)によりお腹に巻き付けられている腹帯を外し,ガーゼ交換が行われる。腹帯は,おそらく汚れやガーゼのずれ防止の為に使われているのであろうと思われる。今回の入院にはこいつが3セット必要。ガーゼは毎回惜しみなくふんだんに使われる。フラットに寝ているので,作業および患部は見えない。大き目のピンセットによる,ステンレストレイへ廃棄ガーゼを運ぶ途中を見る限り,かなりドバドバと液体が出ている印象。腹に突っ込まれたドレンチューブから出ているのか。実感無し。同時に,縫い跡の消毒も行われる。赤チン(Wikipedia)風消毒液を撫でるように塗ってくれるが,そこには見なくても間違いなくデカい傷があるのが実感できる。味わったことの無い違和感と痛み。しかし,容易く想像出来る感覚。そう,その感じです。イテテテ。

この重症部屋は一晩だけという話であったが,一般病棟に戻るのは午後になるのを聞かされる。思ったより長くここに滞在する事になるようだ。移動のその時までは,部屋内を流れる負のパワーとの闘い。気掛かりなのは,このナニにぶっ刺さってるであろう,チューブの事。一体いつ抜くのだと思ってると,この事に関する説明がある。一般病棟へ移る頃には,自分で動けるようなりますよーという話。ナニチューブはここで抜き,病棟では自分でトイレに行くんだそうな。

私:
– 動けない場合は,どうなるんですか?
看:
– (尿瓶を見せながら)これです。

私:
– (絶対動けるようにならないと,と心に誓う)

ピクリとも動かず大人しくしているが,解熱剤も切れていて辛い。そこで担当医が登場。ああー貴方も座薬かよーと一瞬たじろぐが,痛み止めの飲み薬を数日分貰う。解熱効果もあるようで,これで楽になる。最初からこれをどっさり出してくれれば良いのにと,子供みたいな事を思う。先生にお腹を見てもらい,再度ガーゼ交換と消毒。消毒は何度してもらっても慣れなく,全身に緊張が走る。

ここで,水を飲んでも良いとお許しが出る。ただ,点滴のおかげか,喉の乾きはほとんど無い。ママゴトで使うかのような,小さな急須型水入れを受け取り,久しぶりに水を口にする。飲んで良いといっても,ゴクゴク飲んではいけないので,大人しくちょっと飲む。喉の渇きが無い事もあってか,水道水は美味しくない。土曜日という事で親が面会に来ていたので,ミネラルウォータを買ってきてもらう。500mlもあれば1週間くらいやっていけそうな気分。点滴とナニチューブのおかげで,ベッドから動かなくても良いというまさしく完全体。尿意が無いということにもすぐ慣れる。とても不思議だ。あれ。ちょっと待て。便意も無い。ま,まさか!! 一瞬青ざめるが,単に絶食してるからじゃないかと気付き一安心。

びっくりした。死ぬかと思った。

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