重症部屋の一日

天井

天井に点在する謎の噴射口。定期的にシューシュー。

重症部屋の一日も一般病棟の一日も同様に流れる。ただ,同室の方々はさすが重症部屋というコンディションの様子。始終ぐったりして過ごす。この時はまだ電動ベッドの操作に慣れていないので,ほぼフラット状態。

一日に何度か,布製でベルクロ(Wikipedia)によりお腹に巻き付けられている腹帯を外し,ガーゼ交換が行われる。腹帯は,おそらく汚れやガーゼのずれ防止の為に使われているのであろうと思われる。今回の入院にはこいつが3セット必要。ガーゼは毎回惜しみなくふんだんに使われる。フラットに寝ているので,作業および患部は見えない。大き目のピンセットによる,ステンレストレイへ廃棄ガーゼを運ぶ途中を見る限り,かなりドバドバと液体が出ている印象。腹に突っ込まれたドレンチューブから出ているのか。実感無し。同時に,縫い跡の消毒も行われる。赤チン(Wikipedia)風消毒液を撫でるように塗ってくれるが,そこには見なくても間違いなくデカい傷があるのが実感できる。味わったことの無い違和感と痛み。しかし,容易く想像出来る感覚。そう,その感じです。イテテテ。

この重症部屋は一晩だけという話であったが,一般病棟に戻るのは午後になるのを聞かされる。思ったより長くここに滞在する事になるようだ。移動のその時までは,部屋内を流れる負のパワーとの闘い。気掛かりなのは,このナニにぶっ刺さってるであろう,チューブの事。一体いつ抜くのだと思ってると,この事に関する説明がある。一般病棟へ移る頃には,自分で動けるようなりますよーという話。ナニチューブはここで抜き,病棟では自分でトイレに行くんだそうな。

私:
– 動けない場合は,どうなるんですか?
看:
– (尿瓶を見せながら)これです。

私:
– (絶対動けるようにならないと,と心に誓う)

ピクリとも動かず大人しくしているが,解熱剤も切れていて辛い。そこで担当医が登場。ああー貴方も座薬かよーと一瞬たじろぐが,痛み止めの飲み薬を数日分貰う。解熱効果もあるようで,これで楽になる。最初からこれをどっさり出してくれれば良いのにと,子供みたいな事を思う。先生にお腹を見てもらい,再度ガーゼ交換と消毒。消毒は何度してもらっても慣れなく,全身に緊張が走る。

ここで,水を飲んでも良いとお許しが出る。ただ,点滴のおかげか,喉の乾きはほとんど無い。ママゴトで使うかのような,小さな急須型水入れを受け取り,久しぶりに水を口にする。飲んで良いといっても,ゴクゴク飲んではいけないので,大人しくちょっと飲む。喉の渇きが無い事もあってか,水道水は美味しくない。土曜日という事で親が面会に来ていたので,ミネラルウォータを買ってきてもらう。500mlもあれば1週間くらいやっていけそうな気分。点滴とナニチューブのおかげで,ベッドから動かなくても良いというまさしく完全体。尿意が無いということにもすぐ慣れる。とても不思議だ。あれ。ちょっと待て。便意も無い。ま,まさか!! 一瞬青ざめるが,単に絶食してるからじゃないかと気付き一安心。

びっくりした。死ぬかと思った。

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