結局どの通りが いちばんエライのか(1)

京都にはいろんな通りがあるな。おっきな通り,ちっさな
通り,メジャーな通り,マイナーな通り…。

その間には細かい序列があるようや。それを感じるのは交差点
やな。

京都の交差点は,東京とちごうて,ただの交差点ではない。
京都では交差点は,住所の役割を兼ねる。
とても重要なもんや。

その呼び方やけど南北の通りが先に来るか,それとも東西か。
特に決まりはないようやな。
南北が先に来ることもあれば――(例:河原町今出川)
東西が先に来ることもある――(例:七条堀川)

東京から来て以来,このことをずっと,不思議におもっとった
けど,
ふと気づいたんや。「どうもえらい方が先なんやな」

「えらい」とは,ようするに,みんなの
心の中に占める存在感。
「河原町通りと今出川通りでは,やっぱ河原町通りの方が
メジャーやろう」
そう思う人の方が多ければ,自然と「河原町今出川」
と呼ばれるようになる。
「今出川河原町」では人を納得させられないんや。

つまり,「どっちの名前が先か」を見れば,どっちの通りの
方が「えらい」か,
決めることができるわけや。
(続く)

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