プロローグ

別にあの町が嫌いだとか、今の自分に不満があるとか―。
そんなこと思っていたわけじゃない。
生まれ育った土地は大好きだし、そこで大きくなった自分だって…まあ、多少の欠点がないわけではないけど、嫌悪するほどじゃない。
だから何の疑問も持たずにこのまま女子高を出て、お隣の系列大学に行って卒業して、それでそのまま大人になって就職して。
そんなふうにしてこれまでと変わりなく、ずっとこのまま暮らし続けるんだろうなって思っていた。

あの人に会うまでは―。

誰かに出会い、すべてが変わる―そんな夢みたいな出来事が起こったクリスマス・イブ。
降り始めた雪の中で、今まさに彼女の新たな未来が、始まろうとしていた。

 

次回”はじめまして、KCG~1~”につづく

かわ
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