晴子も普通に国立大学に行こうと思っていた。
周りもみんなそうだったし,特にこれといってやりたいこともなかった。
人に流されるのは好きではないたちだったが,
こればかりはしかたがないことと思ったし,
高校生ではっきり将来像を決めている人だって,
口ではいろいろ言っていても将来どうなるかは
わからないじゃないかと思っていた。
周りも進路について考え始めて,クラス全体がそわそわし始めた頃だった。
1冊の白い分厚い冊子を偶然見つけた。
それが晴子の心をひきつけ,大きな決断をさせることになるなんて
夢にも思わなかった。
(つづく)