はやぶさの友だち(2)

雨がじゃんじゃん降っとるな。
鴨川の水が茶っ茶色になってぐんぐん
流れとった。落ちたら死ぬで。きおつけてな。

さて二十年前の話…。
のちに「はやぶさ」の一部門の
リーダーとなるA君とぼくは
大学のサークルで出会った。
コーラスサークルや。らららって
歌うやつ。

じつをゆうとぼくは高校のころ
合唱部員やった。ちょっと続けて
みよかと思ってサークル入ったんやな。

しかし夏前には辞めとった。今さら
コーラスでもないかと思ったんやな。
若いとゆうのはごおまんなもんや。
今にして思えば別にコーラスの
何が悪いんでもないのにな。

同じことがコーラスの同期の
仲間との関係でも言えた。
そのサークルは理系の学生が多かった。
だからどうと言うのではないん
やけど,ぼくは典型的文系で,
ちょこっと屈折して
大人ぶりたいお年頃やったから,
なんか綺麗な瞳をした理系の
学生との付き合いが物足りなく
感じたんやな。

そんなわけで早々にサークルを辞めた
ぼくやが,彼らは特にわだかまりもなく
それからもキャンパスで会えば声を
かけてくれ,飲み会には呼んでくれ,
ぼくもまた遠慮もなく押しかけ。
卒業後しばらくしてもまだ付き合いは
続いた。だからぼくはA君の結婚式にも
出てるんや。お相手は同じサークルの
かわいい娘やったで。

(続く)

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