こんにちは、ペンギンです。
秋ですね、涼しいですね、ちょっとワクワクしますね♪
なんだかテンションが上がってしまい、あちこち遊びに行ったり、また新たな経験を積もうかなと思い始めているペンギンでございます☆
・・・で、そんなこんなで街をウロウロしていたときに気が付いたのですが。
『そういえば私、最近、キャッチセールスに声をかけられなくなったなー』
別に自分の実像について変な自信を持っているわけではありませんが、私はどうやら、その筋の方から見れば、”ちょっと押したら、わりとモノを買いやすそうなヒト”だと分類されやすいらしく。
何年か前までは、京都駅とか四条烏丸・河原町とか三条河原町とか・・・。
そういった、いわば”キャッチのメッカ”のような場所ではよく・・・というか、ほとんど必ず声をかけられていました(^_^;)
例えば、数年前。
市内の某所にて、考え事をしながら歩いていた私に、呼びかける女性が1人。
「お姉さん、お姉さん~」
呼び止められて、振り返ると。
サービス業のお手本のような笑顔を浮かべた、20代半ばくらいの人が立っていました。
・・・って、ここから既に怪しさ満点だったんですけどね。。。ちょうど、友人からのドタキャンで、暇をもてあましていた私はなんとなく立ち止まってしまいました。
「?」
無言で自分を指差すと、大きくうなづいたお姉さん。
こうして繁華街の街角で、セールストークが始まりました。
「お姉さん、英語って興味あります?」
尋ねられて、唸った私。
自慢じゃありませんが、当時、英語は超がつくほど苦手でした。
・・いや、なんというか・・・、学生時代のいろんな学習の積み重ねの中で、苦手意識が・・・ほら、英語、苦手、英語、苦手・・って感じでサンドイッチされたようなものが住み着いているというか―。
つまりは、苦手意識がかなり先行しているタイプだったわけですねε=(~Д~;)
あと、その時の気持ちの状態を言えば、突然、ぽんっと開いた時間をもてあましていたのもありましたし。
そんなこんなで、なんとな~~く素直に応じてしまったわけなのです。
「あー、ちょっと苦手かもー」
お姉さんの目が煌いたのも気づかずに、ぽろっと話すと、お姉さん―、
「そうなんですか~。じゃあ、これが英語を始めるいい機会ですよ~~ヽ(´ー`)ノ」
と、ずっと立ちっぱなしとは思えない笑顔で、プリントを渡し。。。
「ほら、ここが教室なんで。私、連絡しておきますし。必ず行ってくださいね~必ずですよ~☆」
と、手を振ってサヨウナラ♪
・・・と、ここで行かなければ良かったのですが・・そこは、変なところで律儀な私(;´д⊂)
好奇心も手伝って、この後、とんでもない目に遭うことも知らずに、教室へ出かけてみることにしました。
「体験教室、無料って言っていたしね~~(^~^)」
・・で、四条某所の教室。
入ってみると、すぐそばのカウンターでは、迫力ある美人の受付嬢がコンニチハ☆
初めての英会話スクールに戸惑う私に、笑顔で話しかけてくださり、そして、”私の担当”なる30代前半のお姉さんを呼んできてくださいました。
これまた、とてもとても綺麗なお姉さんです。
そして何気に、スキがない・・・といいますか・・・。
街角で私に話しかけたのは、とっても親しみやすい方だったのに、こちらはなんとなく”仕事ができます!”って感じの方です。
『は~~。すごいお姉さんね~~』
なんだか、圧倒されてる私に気づいてか気づかずか、笑顔のお姉さんは1冊の薄めのテキストを差し出して。
「はい、これ。体験教室のテキストです☆」
厚さ1センチ程度の、ちょっと使い込んだ感のあるそれを手に、お姉さんのあとをついて、7畳ほどの広さのブースへと入ります。
白くて、規則的に小さな穴の並ぶ防音のパネルボードがはめ込まれた壁―。
あとは、いかにも、な手作りポスターなどが貼られた掲示板に黒板。
それから、肘掛のところに、小さな机のついた椅子が6つほど。
一番、黒板に近いところに腰掛けて、待つこと数秒。
ドアが開いて、40代くらいの西洋女性が現れました。・・・と、こちらも不自然な笑顔を浮かべていて、ビミョーにアヤシイ・・・。
本能が、”逃げろ”と告げるのを抑えつつ1対1、15分の個人授業が始まりました。
「Hello!」
「は、Hello♪」
「Oh! 発音、とってもキレイですね~。とっても素晴らしいわ~~Ψ(`∇´)Ψ」
「あ、ありがとうございます・・・あ、Thank you☆」
「Oh! Good~~~Ψ(`∇´)Ψ」
「What your name?」
「え、えと・・・ペンギン(実際には本名を言ってます)」
「Oh~~! キュートΨ(`∇´)Ψ」
「せ、せんき・・ゆー・・・」
と、一事が万事、こんな感じ。
なぜ、ここで発音を褒められるのか?
なぜ、ここで容姿を賞賛されるのか?
すべてがわけがわからなくなって、いろいろな意味で麻痺してくる私。
ついには、ヤケになって答える私と、顧客GETに燃える外国人教師との妙なテンションバトルになってしまっていました。
そして・・・15分後―。
部屋を出た私を待ち構えていたのは、先ほどのキレイなお姉さん。
私を14畳ほどのフロアーまで案内してくれました。
・・・と、そこで、私は、自分の中で新たな警鐘音が鳴り始めるのをしっかりと耳にしました。
・・・と、いいますのも。
お姉さんが、
「ここは、教室に来た皆さんの集合場所だったり、自由時間を過ごす場所なんですよ~」
とか言っているそのフロアーには、たくさんの机と椅子が等間隔に設置してありまして。
しかも、その机は50センチ四方と小さめで、椅子はそれを挟んで向かい合わせるようにして、小さな椅子を1つずつ・・・という、ちょっと奇妙な空間でして。
しかも、そのたくさんの席には、多くの・・・おそらく私と同じ境遇の人々が向かい合わせの超接近戦状態で、スタッフのお姉さんに入会の勧誘を受けている場所だったのです!
『うわ~~、マジで~~?』
驚いたのも束の間。
さくさくっと席に案内されて、私も彼らの仲間入り~~~☆
『・・・た、大変なところに来てしまった・・かも・・・』
今更ながら、冷や汗が背中につーっと落ちるのを感じた午後5時半―。
お姉さんの勧誘が始まりました。
「ペンギンさん、どうでした~~。レッスンは?」
「は、はあ・・・」
「なんか、すっごい発音がいいって、先生が褒めておられましたよ~。スジがいいんですよ、きっと(‘∇’)」
「・・・で、でも・・・」
あれって、かなり初期のテキストでしたし。。。
それに、発音と言っても、ハイテンションでヤケになって言いまくってたみたいなものでしたし・・・。
心の中で、そう冷静に思いつつも、実際の私は美しいお姉さんのドアップに、かなーりタジタジになっておりました。
一言で言えば、絵に描いたようなネギ鴨状態というところでしょうか(;´ρ`)
美しいお姉さんの説得は続きます。
「ペンギンさん~。英語、学生のときに諦めたんでしょ? だったら、今、思った時が始め時ですよ~」
「う~~ん・・・でも・・・」
『英語学び直すにしても、ここはイヤだーーー!!』
と、心で叫びつつ、しかし、言葉に出せない小さな私(;´д⊂)
その様子に、何かを見出したのか、お姉さんの口撃は続きます。
「迷っているんなら、始めましょうよ! 英語を始めたら、人生、変わりますよ~。私が保証します(‘∇’)」
「う~~ん・・・」
迷う私。
右隣では、契約が成立したのか、若いお兄さんが、微笑むお姉さんの前で入会用紙にサインしています。
署名捺印・・・。
『・・・ってか、そんなに簡単に押していいの!? これから先、何か恐ろしいことが待っていたりしないの!?』
と、心中で人の心配をしかけて、はたと自分の立場に舞い戻り・・・。
『・・・つか、私も同じ崖の上にいるじゃないか!!』
思わず、ムンクの叫び状態になりそうになる私。
そんなこんなで思考回路がほぼ停止しかけていて言葉を濁しっぱなしの私に、お姉さんは何を思ったのか、身を乗り出してきて、こう断言しました。
「ペンギンさん!」
「は、はい!?」
きゅっと目のふちに力強く引いたアイラインが、彼女の目力をかなりアップさせていました。
・・・というか、人のお化粧に圧倒されている場合でもなくてー・・・・・・・。
ド迫力のまま、お姉さんは続けました。
「迷っている暇はないですよ! いいんですか、ペンギンさん!ここで英語を始めなかったら・・・このままじゃ、今までと同じですよ!」
「い、今までと・・・同じ?」
古いブリキの玩具みたいに、ぎこちない動きで首を傾げる私に、お姉さんは力強くうなづきます。
「だって、ペンギンさん。今まで、悔しい思いをいっぱいしてきたんじゃないですか? 英語ができる人を見て、劣等感でいっぱいになってきたんじゃないですか?」
「は・・・はぁ・・・」
私って、そんなに卑屈いっぱいに見えたのかなーと、ちょっとズレたことで凹む私に、お姉さんは畳み掛けるように、こう宣言しました。
「このままじゃダメです! ペンギンさん、生まれ変わらないと!! このままじゃ今までと同じ、英語のないつまんない人生が待っているだけですよ!!!」
がびょーーん!!
『わ、私の人生って、つまんないんだ・・・∑(゜△゜;)』
まるで、一気に冷や水を浴びせられたよう。
・・・というか、おそらくこういう状態を言うのでしょう、それは。
ここにきて、私はようやく本気で焦り始めました。
そうこうしているうちに、左隣の若い女性も署名捺印~。
1人、2人と契約が成立し、教室を後にしてきます。そしてその中で残される私と、目の前でかなり焦り始めたのか、ちょっと高圧的になりつつあるお姉さん。
ヤバイです!
これはかなーーーりヤバイ!!
こうなったら、早く帰りたい!
ようやく危機を身にしみて感じ始めた私は、必死で、キッカケを作るべく、神経を張り詰め始めました。
と、同時に、さすがはプロ。
お姉さんの話も、再び勢いに乗って、滑り出しました。
「あとね、ペンギンさん。うちの英会話学校では、出会いもすっごく多いんですよ~。同じ目的を持っている者同士が、つきあう。これって、素敵なことじゃないですか~? あと、これは大きな声では言えませんが、セレブな出会いもあるんですよ~」
「は、はあ・・・。でも、お金は、幾らなんでしょ?」
との私の言葉にかぶせるようにして、お姉さんは言いました。
「ローンもありますから! 一気に料金が払えなくても大丈夫ですよ~♪」
そう、ざっと流して、話題を戻します。
具体的な金額には全く触れずに。
「うちは、ちゃんとホールを借り切っての入学式もしますから、そのときに出会うってこともありますし~☆」
とりあえず、まったく話に応じないのもアレなので、ちょっとだけノッてみることにします。
「へ~~。ちなみに、入学式っていつですか?」
「今なら、申し込まれて、すぐですよ~(‘∇’)」
『すぐ・・・?』
イヤな予感がガンガン膨らんで、頭がパンパンになっていきます。
『ここはとりあえず予約して、あとで逃げ切れることができるのだろうか・・・?』
という考えが浮かび、ちょっと尋ねてみることにしました。
「じゃ、じゃあ、申し込みして、入学式前にキャンセルするってことは、できるんですか?」
すると、お姉さんの顔が即座に曇りました。
「いえ・・・。だって、せっかく決意した英会話学校ですよ? そんなことしてたら、皆さん、いつまでたっても通えないし、英語がうまくなる機会、なくなるじゃないですか? やりたいって思ったときの気持ちを大切にしなくちゃ、ねえ(‘∇’)」
そ、そうきますか・・・。。。
今更ながら、このお姉さん、勧誘のプロと見ました。。。
そしてここは相手のホームグラウンド。アウェイで気弱になっている私が、果たして勝利を収めることができるのでしょうか?
イ・・・・・イ・・・イヤです、負けるだなんて!!!
こんなわけわからん状態で、好きかどうかもハッキリしないもののローンなんて組みたくありません~~(;´д⊂)
1時間半後、ようやく見せてもらった料金表には、あっと驚くような数字がズラリ!
しかも、隅っこに小さな字で、”教材は別”みたいなことが書いてあるし・・・ちょっとヤバめな感じです・・・。
『え、英会話学校って行ったことないけど・・・こんなもんなん!?』
一瞬、なにもかもかなぐりすてて、お花畑を駆け回りたいほどの現実逃避感に襲われてしまいました。
そして周りのテーブルからは、人がどんどん消えていってるし。。。
言われっぱなしのペンギン、ついに反撃に出ました。
「でも、私って、習い事苦手やし~。ずっと続けられる自信がないから、お金、無駄にしちゃうかも~~(;´д⊂)」
しかし、相手は百戦錬磨の勧誘お姉さま。
そんなの、びくともしません。
「大丈夫! 私がペンギンさんを絶対に休ませないから!! 絶対に責任持って、ペンギンさんをペラペラにさせるから!!」
美人がこういう風に言うと、なんだか騙されてしまいそうな雰囲気があふれていました。
・・・隣にいたお兄さんの気持ちが、ちょっとだけわかってしまいました。
・・・というか。
『・・・な、なんなんだ、この自信は・・・』
自信を持って、ペラペラにさせると言われてもね~~~言われてもね~~~そんなのね~~~。。。
そして流れる、沈黙―。
時刻は午後7時近くになっていました。
この時点で、フロアーにいるのは私たちのみ。
しかもなんだか知りませんが、辺りの照明はほとんど落とされ、スタッフの方のほとんどが退社。
こりゃープレッシャーです(;´д⊂)
気づけば、セールストークは同じことばかり言っているし。。。
う~~ん・・・、しかし、しかし・・・どうしたらいいんだぁ~~~!!!
困るペンギン。
気迫たっぷりのお姉さん。
「いや、ローンって苦手なので・・・」
「でも、食事に苦労するのは一瞬のこと。英語は一生ものですよ~(‘∇’)」
「いや、私、もしかしたら、田舎に帰るかもしれないから・・」
「じゃあ、○○(注・ペンギンの実家の隣の隣の隣の県)の教室に移っていただくこともできますよ~(‘∇’)」
「・・・私の実家、△△県ですけど・・・?」
「飛行機があるじゃないですか!!!」
「ひ、飛行機!?」
「まぁ、お金はかかるかもしれませんが、一生のことを考えたら・・・ねえ(‘∇’)?」
「・・じゃあ、一度、帰ってから考えてみます・・」
「そんな、今、帰ったら、一生後悔しますよ! ”あのとき、英語を習っておけば良かった”って。そのとき思い出しても、もう遅いんですよ! 人生はすぐに終わっちゃうんですよ!!私はペンギンさんのためを思って、言っているんですよ!」
・・・そして、そんなこんなで、7時半―。
疲れてきたお姉さんに、ようやく帰宅することを了承してもらった私は、パンフレットをもらって帰宅。
その後、何度か電話が来たものの、英会話のことなんてすっかり忘れてしまい、あの勧誘トークを思い出して、苦笑いをしていた数ヶ月後のある日―。
何気なく見ていたニュース番組の冒頭から数えて2番目のニュースで、その話題は報道されました。
「次のニュースです。英会話教室の大手、××××が本日、***裁判所に破産手続きを・・・」
「えーーーーーー!?」
思わず、我を忘れて叫んでしまった私。
あの勧誘のお姉さん、隣の席で署名捺印していたお兄さん、どんどん照明を落とされていった教室のことが、頭の中に鮮やかに蘇りました。
画面の中では、ドアの張り紙の前で、
「いや、聞いてないよ。昨日までちゃんと電話が繋がったんだから・・・」
というようなことを言う人々のインタビューが始まっていて。
「うっわーーー・・・」
血の気が引くとは、まさにこの状態で。
いろんなことを思い出しながら、いろんな思いを抱いていたのでした。
突撃インタビューを受けた経営者は、
「お答えすることはありません!」
と、若干、キレ気味で話しているし。。。
・・・英会話教室もいいところが・・・それこそ星の数ほどいっぱいあるはずなんですけどね。。。それに対して、私は。。。。。。。。
世の中って楽しいことがいっぱいだけど、恐ろしいこともそこそこありますね。
さまざまな理由が重なって、不幸な状態になってしまった人には、心からお見舞い申し上げます。
学生の方もそうでない方も、みなさん、キャッチセールスには気をつけましょうね(TдT)
・・・・・・というわけで、今日はかなーり長々と書いてしまいましたが、お時間です。
マタキテネーー(‘∇’)