一日遅れましたが、
2007年8月24日、KCGI(京都情報大学院大学)で特別講演会が行われました、
お題は「情報システム部門の役割」で、
講演者は川崎重工グループのIT子会社、
「べニックソリューション株式会社」のIT基盤本部の滝本郁也さんです。
この方は京大工学部航空工学科卒業後、
川崎重工の航空宇宙事業本部企画室情報システム部、
航空宇宙カンパニー企画本部を経て、
現在べニックソリューション株式会社の取締役を勤めています。
この方は、仕事人…というか、IT職人というか、
そういう気質の方ですね、目の奥に非常に力強いモノを感じ取れます。
講演の内容は非常に充実で、話し方が非常にうまい方でした。
聞いてみたら、頷く内容ばかりです。
まさに日本のベテランの企業戦士…、って感じですね。
お話になった内容については、KCG&KCGIの学生・卒業生は勿論、
日本の20~30代の若い世代の全員に、
是非聞いて欲しい内容ですね。
折角なので、ここで個人で取ったメモの一部を紹介したいと思います。
なお、そもそも私は日本語のネイティブではありませんので、
聞き間違い、勘違いなどもあるかと思いますので、
私のメモを100%信用…ではなく、参考程度に留めてください。
もし誤りがありましたら、ご指摘を頂きましたら幸いです。
まず、べニックソリューション株式会社の紹介から入りました。
この会社は川崎重工グループのIT基盤部門を、
分社化というか、法人化というか、そんな感じで独立した企業です。
主な業務内容は、川崎重工のIT基盤の開発、運営管理を行っています。
具体的に言うと、川崎重工の会計関連と人事関連のほぼ全てを管理している…って感じらしいです。
その他、会社にあるべき基本的なITのサービス、
例えばメール、ウェブ、セキュリティ、ネットワークの運営なども担当しているそうです。
そして、川崎重工グループの各企業は、
各々の生産・購買・販売などのシステムを独立に利用して、
会計と人事だけは、べニックソリューション株式会社のシステムを利用している…、って感じですね。
川崎重工みたいな大規模の企業グループだと、
そこらへんの連携はかなり大変になります。
特に、昔は少数のメインフレーム(大型計算機)の中で、
システムはほぼ一括して管理されていましたが、
現在では複数のハードウェアに、異なる複数のOSを載せ、
いろんなベンダーが作ったあらゆるサーバーやアプリケーション・パッケージなどを利用しながら、
それらを連携して会社の業務の遂行していますので、
そこらへんの統合は非常に大変ですね。
ある意味では、昔だと、システム部門の全社員の全知全能をこめて、
一つ良いシステムを作ってしまえば、
システム部門は30年安泰…、みたいな雰囲気だったのですが、
現在では、ITの進歩が非常に早いので、どんなにいいものを作っても、
ライフサイクルは約10年っと、短くなっていますので、
だから実際に、各社は自分で1からシステムを作る…、
ということはほとんど無く、自分の会社の業務にあわせて、
いろんなベンダーのパッケージを組み合わせしながら、
最小のコストと最短の時間で、
最大のパフォーマンスを叩き出す…、っと言った感じになりますでしょうか?
勿論、実際に操作するシステムは既存のものでも組み合わせでよいのですが、
会社全体に関わる抽象的なシステムのデザインは、
やっぱりかなりの大仕事になるそうです。
今時、会社のほぼ全てのものは電子化、デジタル化されていますので、
もしIT基盤のところにバグや不都合が生じ、
情報漏洩やハッキングなどされてしまいましたら、
それころ会社の屋台骨が崩れかねないことになりますね。
考えてみると、情報システム部門は課長島耕作ワールドのように、
例えばマーケティングとか、新製品開発とか、
大きな商談を成功させたとか、M&Aとか、
そういう鮮やかで華やかなビジネス・サクセスの世界ではありませんが、
しかしこれらは、確実に会社と社会を支えている渋~い仕事です。
今時の大企業に耕作さんがいなくでも恐らくやっていけますが、
情報システム部門の人が居なければ、一日にも成り立たないでしょう。
べニックソリューションは、このように、
川崎重工グループにとって、非常に大事な仕事をしている会社です。
(*つづく)