ちょっと前、お嫁様のご両親、つまり私の義父様、義母様がツアー旅行で台湾に行きました。
そのツアー旅行の最終日に、小籠包で有名な台北鼎泰豐に行って、晩御飯を食べたそうです。
「小籠包の”肉汁が溢れる”ってテレビで言われた意味が分かった、コレはすごく美味しい」、
「こんな美味しいチャーハン食べたことない」など、
非常に気に入ってもらったようで、台湾人としても鼻高々でした。
いや、ぉぅぇぃは鼎泰豐と全く何も関係もないけどね。
大変気に入ってもらったけど、台湾旅行って、しょっちゅう出来るものではなく、
台北鼎泰豐の味を楽しんでもらうのも、簡単ではないのですね。
しかし、良く考えましたら、鼎泰豐は海外進出していますので、
日本では、東京や京都を含む、高島屋にいくつかのフランチャイズ店がありました。
で、ぉぅぇぃが住む京都の、高島屋京都店にも鼎泰豐があります。
台北に行かなくでも、義父母が京都に遊びに来た時に、
鼎泰豐の味を楽しんでもらえることが出来るかもしれません…っと思いましたので、
偵察のために、お嫁様と二人で高島屋京都店の鼎泰豐に行って来ました。
まず、今回の初歩的な結論ですが、義父母が京都に来た時に、
高島屋京都店の鼎泰豐に招待しないほうが良い…、
というのはぉぅぇぃとお嫁様の共通見解になりました。
まあ、理由は色々有りますが、台北の鼎泰豐本店と、高島屋京都店の鼎泰豐の味の落差は、
あんまりにも大きかった…というのは最大の理由です。
もし台北本店に行ったことがないのであれば、恐らく招待したら、
「そかそか、これがウワサの小籠包かー」になり
ますが、
行ったことがあり、そして本店の味を気に入ったのであれば、
そのあんまりにも大きな差に、非常にガッカリしてしまうと思います。
個人的に、台北本店の鼎泰豐の味は10点ならば、
高島屋京都店の鼎泰豐の味は0.85点くらい…じゃないでしょうか?
普通の点心・飲茶屋として見るなら、まずくはない…と思います。
しかし、台北本店のあんまりにも高いハードルの前に、
その評価は、相対的にどうしても低くなってしまうのですね。
まあ、優秀すぎる長男が居ると、次男の立場は厳しい…のようなものかもしれません?
では、ぉぅぇぃとお嫁様が食べた高島屋京都店の鼎泰豐の料理に、
ちょっと辛口に成っていますが、簡単に感想を述べさせていただきます。
↓小菜(台湾風冷菜)
セットで付いてきた前菜のようなものですが、コレは普通に美味しかった。
正しい調味料と正しい素材を使って、台湾料理の風味を出していると思います。
↓ショウガ
ブタの脂の多い小籠包を食べるときに、サッパリ感を出すためのショウガ。
見たとおり、妙に細かく切られています。
技術の問題か包丁の問題かは分かりませんが、
キレイに切られておらず、押しつぶされた感があり、
ショウガの汁はどこかに漏れてるように思えます。
何より、あんまり新鮮さを感じられません。
↓ショウガに酢醤油に加える
酢醤油の部分は、台北本店のソレとそれほど差を感じられませんでした。
ほぼ同じものをそのまま輸入してきているかもしれません。
↓鼎泰豐の看板料理、小籠包
作りたて、蒸したてではなかったように感じました。
作り置き、蒸しぱなしのせいか、皮がちょっと硬い。
本来「アツアツ」で食べるハズのに、熱さが足りなかったのがなによりの問題かもしれません。
冷え気味のブタの脂は、しつこさやくどさを一層強めているため、かなりに脂ぽく感じる。
そしてショウガはその脂ぽさをうまく解消できていない。
良く分からんが、豚肉の脂身と赤身の配分が甘かったかもしれませんし、
そもそも高品質の肉ではない、あるいは繰り返し冷凍しすぎた…可能性もあります。
↓えびシュウマイ
見ての通り、妙に離れている上、二つのうちの一つは何か倒れそうです。
えびは結構新鮮で高評価でした。
しかし小籠包の皮と同様、ちょっと硬さを感じされます。蒸しすぎかどうかは分かりません。
そして、やっぱりアツアツではなかった。
↓えび入りチャーハン
シュウマイと同じく、えびは新鮮でしたが、味は非常に平凡なチャーハンでした。
街中にあるような中華料理屋で出されるような、可も不可もない…感じですね。
まあ、時々出くわすまずい中華料理店のチャーハンよりもずっと美味しいが、
感動を受けるほどでもない。
↓牛肉煮込み麺
台湾の牛肉麺そのものは、専用の出汁パックのようなものを使えば、
実はかなり簡単に出来る料理。まあ、レストランだし、流石にイチから作っているだろう。
具の牛肉はいい感じに柔らかく煮込んでいます。
しかし麺は茹ですぎて、コシが無くなり、噛み応えがない。
ネギの切り方もあまく、繋がっているものがありました。
と、まあ、結構辛口のコメントになっていますが、これは台湾出身のぉぅぇぃが、
台湾で鍛えられてきた(?)舌のせい…と考えてください。
ネットで見ると、多くの日本人の方にとって、
これはこれで驚きの美味しさ…と感じる人も多かったようです。
宮崎の海辺出身のお嫁様が、妙に刺身にうるさい…と似ているかもしれません。
ぉぅぇぃ大枚を叩いているつもりで京都のすし屋に連れて行って、
「これ美味しいよね」と言っても、大体「そうかなー……」と返されるようなものですね。
まあ、ぉぅぇぃの評価は参考程度…ということに、聞き流してください。
最後に、なんでこんなに味の差があると感じたのか…を知るために、
台湾のネットでいろいろ調べてみました。
そうしたら、基本的に日本の鼎泰豐はフランチャイズ形式で、
台湾本店の人が品質を100%関与しているわけではない…ようです。
当初から、高島屋側の人が非常に積極的に鼎泰豐のオーナーにアプローチして、
最初に断られてもめげずに、誠意を見せて、何とか開店までたどり着いたようです。
実際に日本の鼎泰豐で点心や小籠包を作っている方々も、
台湾に三ヶ月の修行を受け、作り方を日本に持ち帰った…ようなカタチに成っているようです。
その他、台湾と海外の運営方式の差もかなり大きかったらしい。
台湾の鼎泰豐の経営理念を公式ホームページから引用します。
- サービスへの信念
- 鼎泰豊のお客様に対するサービスは、お客様のニーズをわれわれのサービス目標、また努力目標とし、お客様が考えることを予測し、お客様の求めを待ってからではなく、われわれで一切を用意しておく。そして、これらのニーズを重視する。これがわれわれ鼎泰豊のサービスの信念です。
- 品質への信念
- 鼎泰豊は製品の製作過程に対して、材料を吟味すること、食材の処理、料理と味付け、ホールサービスなどどれをとっても、厳しい管理を経ており、標準に達しないものは決してお客様のテーブルに運びません。われわれは絶えず改良を重ね、季節ごとに軽量の数値化、製造の標準化、サービスの柔軟化、管理制度化、工程のハイテク化を要求し、また人材に対しても充分な教育と訓練を施します。こうしてはじめて良質な製品の質が保たれます。これがわれわれ鼎泰豊の品質への信念です。
- 美食への信念
- 美食へのこだわりは、お客様へのひとつの責任です。お客様が求めるのはお口を満足させること、もしお客さまのために大事なところをおさえておかないと、どんなに安くても賞味するに値しません。鼎泰豊は味の一致を堅持し、それは何年も変わらず、お客様が再び来店して賞味された時も、前回の味を再現し、やはり同様の満足感を得ることができます。衛生も美食の重要な条件で、われわれは要所要所でチェックしています。お客様が召し上がるおいしい食べ物のほかにも、鼎泰豊は衛生にとても気を配っています。厨房、レストラン内外などの周辺環境、定期的な殺菌消毒、食材の吟味も厳しいチェックを経ています。決して期限切れや出所の定かでない材料を購入せず、鼎泰豊の製品の新鮮さと衛生はどのお客様にも味わっていただくことができます。
- 経営への信念
- 鼎泰豊の創業者 楊秉彝より二代目の長男楊紀華(ヤン・ジーホァ)氏が経営権を譲り受けた後、全面的な品質管理とサービス効率の向上を求め、もともと小さな飲食店の経営方式を、企業の経営管理に転化させてはじめて飲食のグローバル化、世界と繋がることができるようになりました。中華のグルメを宣伝し鼎泰豊を世界でも著名なブランドにしました。それ以外に、鼎泰豊の製品への心配りと専念は、企業の利潤がどうかということよりも大切なことなのです。利益のためにお客様の食への期待を犠牲にしません。
しかし、台湾本店の方いわく、台湾以外のフランチャイズでは、これらの理念を持たず、
製造業の考え方で経営しているところもあるようです(どこかは明言していません)。
もっとも重視するのは利益、そして利益のためにコスト計算を優先する…のような感じですね。
コストのために、フランチャイズのスタッフの多くは正社員ではなく、アルバイト。
アルバイトゆえに、十分な技術がなければ、顧客を満足させようとする情熱も足りない。
台湾の鼎泰豐は品質への拘りのため、
飲食業なのに、アルバイトは1人もいなく、全員正社員雇用。
福祉厚生を十分に充実しているだけではなく、普通の飲食業よりも給料も倍くらい多い。
但し、高給な分だけ、社内の指導も非常厳しく、完璧さが求められる。
コストのために、食材は「安ければ安いほど良い」とするフランチャイザーも居る。
台湾の鼎泰豐は、新鮮な肉を確保するために、自社専用の冷凍トラックまで用意している。
オーナーいわく、施設設備のコストダウンはいいが、食材のコストダウンは絶対ダメ、
それをやってしまったら客が着いて来てくれなくなるらしい。
鼎泰豐本店も自分の看板をよそに貸しているので、
それなりに把握しようとしているそうです。
どうしてもダメなところは、フランチャイズ契約を中止した事例もあったようです。
一昨年2007年に、本店の人が日本フランチャイズを視察したら結構不満を持ったようで、
三回に渡って日本の訪問して、問題点の洗い出しなどを行ったようです。
まあ、実際どうなっているかは分からないけどねー。
さて、今回のはじめての日本鼎泰豐の試食で、
正直、ぉぅぇぃが満足できるような美味しさではありませんでした。
しかし、今回は行列を避けるために、午後5時ほどの入店で、時間もちょっと中途半端。
もしかしてその影響で、作りたてのものが出されたかもしれません。
そう考えると、「タマタマ」の可能性もありますので、
後1~2回、食べに行こうかな~っと考えています。
ただし、今回食べた品質を最大限に向上させても、恐らく本店の味には届かないと思います。
というわけで、本場の「鼎泰豐の小籠包」を気になる方は、
やっぱり台湾に行って、食べてもらうしかない…かもしれませんね~。
但し、本場の味を知ってしまったら、
素直にフランチャイズ店の味を満足できなくなってしますので、
これはこれで、難しい選択かもしれませんね。