私大に淘汰の波に,蛇足ながら,注釈を・・・。
「4年制大は89年度の499校から08年度は765校に増えた。」=89年度以降にできた大学。
「学生数2000人未満の地方大学は221校中113校(51・1%)が赤字」=小規模地方大学。
それらの中にはかつての短大が大学に衣替えしたところが多い。つまり,短大では学生が集まらないからといって四年制に衣替えしても,結局,駄目なところが多い。
「中央教育審議会大学分科会は現在、将来的な大学の「適正規模」を審議している。」=これは,「河合塾の調査では、首都圏13、関西8の有力21私大で09年度の私立大志願者の49%を占めた。」ということからわかるように,それら大手大学の定員を削減すればよいだけの話である。
10年以上という,実に長い年月をかけて,多くの短大,大学が潰れていっている。庶民はそれを知らずに,その大学に行き,卒業後は高卒の仕事に就く。やがて,大卒だと思っていても,出身大学さえ無くなり,仕事も学歴も高卒になってしまう・・・。その社会現象を補完しているのは,庶民が支払う税金だ,ということか。
専門学校の設立ラッシュは85年前後だったと記憶しているが,その多くが今はもう無い。四半世紀前以前からそのままやってる大学・短大・専門学校と,それ以降のところに差があるみたいだが,その差異は何で決まるのだろうか。本学の建学の理念からも,そういったところが見えてくると思う。つまり,教育理念がしっかりしているかどうか,ということなのだろう。「学生を集めるために,○○学科を創る」,ということと,「○○学科が未来に必要であるから,そうする」,ということの間には,大きな差異があると思う。
KCGは創立46周年。ずっとコンピュータ・ITだけでやってきた。歴史があるということは,ただ古いということだけではないのである。
—以下は毎日jpより引用—-
新教育の森:学生募集停止、私大に淘汰の波 4年制も苦境…18歳人口減り経営困難に
http://mainichi.jp/life/edu/news/20090711ddm090100117000c.html
10年度から学生募集を停止する私立大学が相次いでいる。定員割れによる4年制私大の募集停止や破綻は過去2例しかないが、今年度は株式会社立大を含め、既に5件。「大学淘汰」の時代がついに現実化した。【井上俊樹】
郊外の丘に広がる緑豊かなキャンパスは閑散としていた。4月に学生募集停止を発表した三重県松阪市の三重中京大。90年代後半まで2000人以上が通ったが、現在は4学年で計657人。今春の入学者は200人の定員に対し155人だった。4月に入学したばかりの男子学生(19)は「なくなる大学を卒業して就職先があるのか、それが一番心配」と不安を漏らす。
◆市の要請で開学したが
82年、市の要請に応え、県内2番目の私大「松阪大」として開学した。だが、99年に初めて定員割れした後は、毎年のように入学定員を減らしても定員に達しなかった。入学者の大半を占める県内の18歳はピーク時(91年前後)の約3万人から1万人以上減少。05年に現校名に変更するなど打開策も図ったが、名古屋市から特急で1時間以上かかる立地条件では限界がある。
01年度以降は毎年単年度赤字を計上。好調時の蓄えで5億円余りの繰越金があるが、このまま赤字が続けば数年で底をつく。同時に募集停止する短大は累積赤字が既に約17億円。大学側は「責任を持って在校生を送り出せるうちに決断した」(広報課)と説明し、在校生が卒業する4年後に閉校する方針だ。
◆規制緩和で校数増え
国内の18歳人口は92年の約205万人をピークに減少し続け、09年は約121万人。一方、18歳人口や進学率などを考慮して大学・短大の設置をコントロールしてきた国は、90年代以降徐々に規制を緩和し、03年度には認可制から届け出制に改めた。そうした流れの中で、一足早く淘汰が始まった短大や専門学校などからの参入が相次ぎ、大学進学率が低い地域では地方自治体が誘致する形で新しい大学が誕生。02年末には構造改革特区を利用した株式会社立の大学も容認した。先月18日に募集停止を発表したLEC東京リーガルマインド大(東京都千代田区)もその一つだ。
◆47%が定員に満たず
文部科学省によると、国公立も含め4年制大は89年度の499校から08年度は765校に増えた。一方、日本私立学校振興・共済事業団の調査では、入学定員に達しなかった4年制私大は98年度の8%(35校)から08年度47・1%(266校)と、ほぼ2校に1校に拡大。定員の50%にも満たない大学が29校に上った。また、07年度は4年制大を持つ学校法人の34・5%が赤字で、中でも学生数2000人未満の地方大学は221校中113校(51・1%)が赤字だった。
大手予備校、河合塾の調査では、首都圏13、関西8の有力21私大で09年度の私立大志願者の49%を占めた。その多くが学部新設などで定員を大幅に増やしており、地方大学との格差はますます広がるばかりだ。
同事業団は「今後も学生募集を停止する大学がないとは言えない。ただ、無理に募集を続けて在校生がいるうちに経営破綻するケースだけは避けなければならない」(私学情報室)と話している。
◇合併、学部転換で生き残り ニーズ見極めないとリスクも
生き残りをかけた合従連衡も始まっている。08年4月には慶応義塾大(東京都港区)と共立薬科大(同)が経営統合し、1952年の日本医科大と日本獣医畜産大以来56年ぶりに4年制私大を持つ学校法人同士の合併が実現した。
薬学部は近年の新設ラッシュで定員が増える一方、06年度に4年制から6年制に延長された影響で志願者が減少傾向にあり、共立薬科大側に危機感があった。また、09年4月には、関西学院大(兵庫県西宮市)が定員割れしていた聖和大(同)を吸収合併した。
生き残り策として、より一般的なのが「学生が集まる」学部への衣替えだ。中でも目立つのが、入学定員の充足率が約110%(08年度)と安定的な看護学部・学科への転換で、来年度の学部設置を文部科学省に申請している16校中7校が計画。この中には美術学科を廃止して参入する芸術系の大学もある。
こうした「看板の掛け替え」にはリスクも伴う。00年にスタートした介護保険制度を見据えて急増した福祉系学部の場合は、就職先となる福祉現場の過酷な実態が知られるにつれて敬遠され、08年度の入学定員充足率は約92%と前年度より8ポイント近くダウン。再び別の学部に転換する大学も珍しくない。
私大経営に詳しい東京大大学院の両角亜希子講師(大学経営論)は「学生のニーズに合わせて変えていくことは重要だが、例えば看護学部にしてもその大学がある地域で本当にニーズがあるのかよく見極める必要がある。大学統合も理念や目指す方向性が違うとうまくいかない可能性もある」と指摘している。
◇中教審で「適正規模」議論 補助金に激変緩和策検討
中央教育審議会大学分科会は現在、将来的な大学の「適正規模」を審議している。先月15日にまとめた第1次報告書では、03年度に緩和した大学の設置認可を厳格化するよう求めたほか、生き残りのために大学が統合や連携をする際に国がサポートすることなども提言した。
中教審の議論を踏まえ、文部科学省は、大学が自主的に定員を減らしても一定期間は削減前の補助金額を受けられるようにする激変緩和策を検討しており、早ければ来年度にも実施する方針だ。
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◇10年度から学生募集を停止する私立大学◇
大学名 所在地 収容定員 学生数 充足率
三重中京大 三重県松阪市 800 657 82.1%
愛知新城大谷大 愛知県新城市 400 128 32.0%
神戸ファッション造形大 兵庫県明石市 400 165 41.3%
聖トマス大 兵庫県尼崎市 1042 568 54.5%
LEC東京リーガルマインド大 東京都千代田区 700 226 32.3%
※発表順。定員・学生数は1~4年生の合計(通信制は除く)。LEC大は株式会社立大。