春は あけぼの

春は あけぼの
やうやう白くなりゆく山ぎは 
少し明りて紫だちたる雲の細くたなびきたる

ご存じ清少納言の枕草子の冒頭の行である。
京の都にいると,昔も今も,春が近づくと,この一節を思い出す。

今日は寒いれども,京都のスーパーマーケットには,ふきのとうやタラの芽,春の息吹を感じさせる山菜が並んでいた。

—ふきのとうやタラの芽を家庭で料理するときのコツ—
まずは一瞬湯がいて,アクを取る。
味付けには,日本酒,薄口醤油,だけ。あとは,せいぜい七味くらい。
京都の料理屋がよくしているように,鰹の出汁を入れるという手もあるが,入れるならば,純粋の鰹節だけにする。昆布出汁でも良いが,化学調味料は決して入れない。

ふきのとうの佃煮は,京都の鞍馬の辻井でも春の定番である。ほろ苦い中に新緑の匂いが満ちていて,筆者の好物のひとつである。これが出る頃になると,鞍馬まで買いに出かける。あまりデパートにまで行きわたってないという話を店主から聞いたことがある。

春の山菜ひとつとっても,京都に住むことの良さを感じる,今日この頃。

京都には古き良き日本の,四季のうつろひが現存していると思う。

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京都の山の色の変化

京都東山
東山 京都 紅葉

先月,まだ紅葉が盛りの頃の写真である。
この10年,15年で,京都の山の色が明らかに変化した。
言うまでもなく,地球温暖化による,山の木々植物の変化である。
昔は針葉樹が多かったので,秋の紅葉と言っても,高雄などの名所に行かないと,そうそう紅葉など見られるものではなかったのである。左の写真に写る左上の山の色などは,昔の京都東山の色ではない。京都を取り囲む山々は,もっと深緑だった。
今は,東山もごらんのとおりに,紅葉が多い。秋の山が褐色になった。広葉樹林へと変化したのである。

筆者が子供のころ,京都は冬になると,霜柱が立ち,道路の水たまりに氷が張ることがよくあった。雪も必ず年に数回は降ったし,降れば市内でも10cm~20cm程度は積もったものだ。

今では,雪が降ることも積もることもあるけれど,昔ほど回数は多くはないように思う。道路の水たまりが凍ることも少ない。そして,山の色は変わった。

時代の変化を嘆きはしないが,温暖化による環境の変化は別問題である。京都議定書が決議されて久しいが,世界中で温暖化が加速している。京都の紅葉は,喜んでばかりはいられない問題なのだ。

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