全体の55%,374の学校法人が資産運用で失敗?

全体の55%,374の学校法人が資産運用で失敗?

なんと半数以上の大学・学校法人が,例のデリバティブで損金を出したということか。半数の大学が定員割れで経営困難に陥っているというのに,資金潤沢な大学も含めて半数以上が金融商品で大損を出したという。

本学のようなIT系や技術系の大学は,資産運用金利よりも開発やコンサルの仕事の方が利益率が高くリスクが低いことを知っているから,デリバティブのような極度にリスクの高い資産運用などは,最初からバカバカしいと考えると思う。
しかし,一般の私立大学の大半を占める文系大学は,そういった技術があるわけではないから,蓄積した資産を運用するくらいしか儲ける手が無い。そして,金融機関の勧誘に乗ってハイリスクハイリターンの資産運用に大金をつぎ込んだ結果,多額の損失を出した大学・学校法人がなんと374校に上るという。

少子化による大学崩壊が叫ばれて10年経つが,少子化に加えて,金融危機にまで巻き込まれたとなると,大学崩壊はさらに加速しているということだ。文科省がいまさら金融商品に手を出すなと指導しても,すでに遅い。

最近,文科省の指導で各大学の資産状況や決算が公開されるようになってきているので,進学しようとする消費者は決算書などの公開情報を閲覧する機会があるだろう。注意しないといけないのは,デリバティブなどの損金は,計上しない限りは決算書には元の買い取った時点での金額で資産勘定に入ったままであるということだ。
言いかえると,実際にはデリバティブで大損しているのに,それが決算書に表れていない状態もありうるということである。
つまり,実際にどれくらい大損したか,どれくらい経営危機なのかは,あまり外部には見えてこない。文科省は決算書を公開せよと指導するが,実は,公開されたところで,本質的な経営状況はなかなか表には見えないということだ。

「大学」には,ピンからキリまである。「大学」だったら「経営がしっかりしていて大丈夫」ということなどは無く,「大学」だから半数以上は経営危機という時代になってしまった。

ちなみに,日本最初のコンピュータ技術の教育機関である本学kcg.eduグループは,金融危機やデリバティブの損金とは無縁である。「技術がある」ということは,「その人が生きるチカラを持っている」ということだけではなくて,「その組織(大学・学校)が生きるチカラがある」ということでもある。

生きるチカラとは,自分で稼ぐチカラである。
技術があれば,馬鹿な金融商品に手を出さなくても,生きていけるのだよ。

理工系は不得意だからなどと恐れる必要はない。文系のIT関連技術の需要もたくさんある。
一生食べるに困らなくなるように,ITを勉強しておくことを,若者たちに強く推奨したい。

以下,引用。
NHKオンライン
http://www.nhk.or.jp/news/k10013385511000.html


3月24日 4時58分
世界的な金融危機に伴い、国内の大学の多くが資産運用で多額の損失を出していることが、おととしから去年にかけて次々に明らかになりました。文部科学省の調査で、全国の私立大学の半数以上が、この問題への対応を迫られていることがわかり、大学経営への影響の大きさがあらためて浮き彫りになっています。

世界的な金融危機に伴い、多くの大学が、金融取引による資産運用で多額の損失を出していることが、おととしから去年にかけて次々に明らかになり、中には150億円を超える損失を出した大学もありました。このため文部科学省は、私立大学や短大を運営する全国669の学校法人を対象に、こうした事態にどのように対処しているのか、調査を行いました。その結果、全体の55%に当たる374の学校法人が、この問題への対応を迫られていることがわかりました。購入する金融商品を見直したり、運用の限度額を設けたりするだけでなく、損失の拡大を防げなかった理事会を刷新して権限や役割を見直したり、チェック体制の強化を図った大学もあるということで、大学経営への影響の大きさがあらためて浮き彫りになっています。このように、多くの私立大学が資産運用を行うようになった原因の1つとして、子どもの数が減るなかで大学の数が増え続け、大学間の競争が激しくなったことがあげられます。大学の数が平成元年の499校から平成20年には765校にまで増える一方、18歳の人口は平成元年のおよそ197万人から平成20年には124万人まで減っています。こうした状況のなか、私立大学はそれぞれ資産運用で利益を上げ、経営を安定させようとしていますが、文部科学省は、リスクの高い運用は避けるよう各大学に求めることにしています。

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