京都ラーメンLegend–幻のムーミン

 京都コンピュータ学院という名称が始めて使用されたのは,京都百万遍を北上して5分,元田中のバス停前の石川ビルという電気店の二階であった。その南の角に,70年代に屋台が出ていた。赤ちょうちんに書かれた屋号は「ムーミン」であった。

 残念ながら80年代初頭には消滅してしまったが,当時,その路地角に行くと,昼間屋台が出ていないときでも,独特の臭いが漂っていたものである。夜,8時を過ぎると鍋の煮える匂いが町内に漂って,タクシーの運転手や近所の人々で賑わっていた。味は,うどん出汁をベースに,鳥の足を煮て,ニンニクを利かせた鶏ガラベース。豚の皮とか豚骨なども少々は入っていたと思う。チャーシューの美味さも特筆もので,中学時代の親友は,家族で出かけ,「チャーシュー麺のチャーシューは2倍」,という特別仕様を注文していた。彼は,「チャーシュー倍にすると,肉で麺をくるんで食べてもまだ肉が余る」としたり顔で説明していた。

 親父が愛想の良い人で,常連には干し芋をデザートに振舞ってくれたりした。京都市内で有名な屋台だったのだが,あれが京都式ラーメンのひとつの原点だったのではないかと思う。

京都のラーメン考

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