鮨の本質を論じる

 機械が握った米の塊に粉ワサビを擦り付け,解凍した魚を乗せて,ベルトコンベアに乗って回っている食べものが,世界中でSushiとして流行しており,美味い健康食だと信じられている。それにより,大量の海産資源が冷凍されて流通し消費されており,鮪のように,漁獲高が削減された例もある。また一説には,あと50年ほどで海産資源が枯渇し,人類は魚を食べることができなくなるという報告もある。
 本来,江戸前の握り鮨は,手近にある材料を,新鮮なまま,あるいは保存のために多少の手を加えて,それを最も美味く食べるために編み出された料理の一手法であって,日本人が考え出した,世界に誇る日本の技術文化である。これは手当たり次第に,冷凍の魚を大量に消費するような,現状のSushiとは本質的に異質なものである。
 筆者は,世界中で圧倒的大量に消費されているような冷凍の海産魚よりも,たとえ養殖でも,新鮮で冷凍されていない鱒や鯉のほうが,よほど美味いと思う。ここでは,海産資源を守る立場から,筆者なりの鮨の本質を論じてみたい。

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