イオンモールよりも,辛子明太子 その2

辛子明太子

イオンモールKYOTOがグランドオープンしたので見に行こうと思ってたが,,,その人波におそれおののき,帰宅してしまつた。

学校から大通の交差点の横断歩道を二回渡るだけで到着するので,キャンパス内にビッグモールができたようなもんだ。
KCG京都駅前校は,実は,京都で一番,おそらく近畿圏でも一番!,便利な学校である。なんてたって,イオンモールが軒先にある!!

しかし,筆者は人波・人ごみ・赤の他人の集団には弱いので,そそくさと帰宅し,辛子明太子で晩酌となった。

写真は,辛子明太子その2。
椒房庵のからしめんたいこの昆布漬バージョンである。

昆布のグルタミン酸というのは強烈で,このように辛子明太子にいっしょに漬け込むと,実にまろやかに味覚が広がる。

筆者は最近は原点回帰系なので,あまり人為的に手の込んだものよりも,自然のままに近いもの,つまり,昆布のない方を好むが,昆布漬の方もそれはそれで実に美味い。こういう食べ方があったか,と目から鱗が落ちた。

椒房庵のからしめんたいこ,その昆布漬も,さらに推奨の一品である。

美味い!!

辛子明太子
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辛子明太子

辛子明太子

椒房庵のからしめんたいこ

北海道から運んで,福岡で創る,辛子明太子。起源は北海道の海である。北海道の日本酒に凝っていたら,福岡の方に本場の辛子明太子をいただいた。ここが一番美味いのだという。

最近は塩鮭でも明太子やたらこでも,甘塩が流行しているが,このからしめんたいこは,塩辛い。そして,美味い。

筆者は,塩鮭も梅干も明太子もたらこも,昔ながらの塩辛いのが好きだ。こういう塩辛の類は,塩が利いていてこそのものだと思う。塩がきついからこそ,素材が持っている自然の甘味が際立ってくるからだ。

塩が少なくなると,生臭みが強くなる。タラも臭いが,塩鮭もそうだ。
甘塩の塩鮭は,当然,食べる量が多くなる。鮭は魚類の中でも極めて匂いの強い魚なので,その臭みが表に出てくるのである。
塩が強いと,量を食べることができなくなるから,実は,丁度良くなるのだ。

これで,北海道の水で作った酒を飲むと,これがまた,合う。

北の日本酒と,塩と,北海の海の幸。

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志願者が増えた

桜 ソウル 韓国

今年の4月は入学者が増えて,志願者ベースで2割増だった。

京都コンピュータ学院の4年課程,すなわち,大卒学士と同等の学歴となる「高度専門士」の課程への入学者が増えている。
不況の影響もあるのだろうが,手に職をつける,とか,技術を学んで生きる力を得る,という考え方が一般化しつつあるのだろう。

一方で,近隣の私立文系大学の定員割れが深刻になっている。

ここ数年,中堅以下の私立文系大学では,クラスの半分以上が就職が決まらずに卒業して行くのだという。「就職がない」ことが,一般的なのだそうだ。

その中で,私立文系の中堅大学の多くが定員割れが進み,本学のような技術系への進学者が増えるということは,「とりあえず大学へ」というような安易な進学が,いよいよ下火になってきたということか。

学生のほとんどが卒業後,「就職する」にもかかわらず,学問を伝授することが大学の使命だなどというのは詭弁に近いと思う。生きる力とは,就職して働くスキルのことである。

来年,大学や専門学校に進学する人たちは,その大学や専門学校を卒業したあとに,どのように生きて行くのかをよく考えて進学先を選んでほしい。
「自分は,どうやって食べて行くのか」,という明確な目標がない限り,卒業後に待っているのは,就職先の無い,フリーターである。

IT人材の不足が叫ばれて久しい。
IT業界も昨年から急速に再編成が進んでいるのだが,新しいタイプのIT人材の育成が急務である。

本学の学生さんたちは,業界が必要とする新しいタイプのIT人材となって巣立って行ってもらいたいものだ。

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千歳鶴 雪原の舞

千歳鶴 雪原の舞

北海道で最も伝統ある酒蔵,千歳鶴。創業は明治5年だという。

日本清酒株式会社
http://www.nipponseishu.co.jp/kura/history.html

その千歳鶴の高級酒のひとつが雪原の舞である。720mlで5000円くらいする。しかし,一口一口に,その高価さを超えるものがある。良い水でできた,しっかりとして力強い酒で,北海道の山水の如く透き通っていて,あまりにもクリアだ。

「塩を肴に酒を飲む」,ということは,実は京都人には理解し難い。京都の女酒ははんなりと甘く,塩よりも出汁の効いた美味い京料理が肴に良い。

しかし,秋田,新潟あたりから北上していくと,元の水の硬度が下がっていくから,日本酒は塩だけで美味く飲めるものが多くなる。

この「雪原の舞」は,日本酒とか清酒などと言う概念を超えそうなほどしっかりとして力強い味わいで,他に何もいらないとさえ思える。決して嫌味がなく,クリアなところが凄い。

よほどのことがない限り,自分で買うにはかなりの勇気がいる値段だが,とっておきの日に,これだけで祝うことができそうな日本酒だった。

とっておきの日の為に買ったのだけれども,ちょっと味見したら,あっという間に,空けてしまった。

(注;一度でも,75度のラムやウォッカを飲んで,味覚として「美味い!」と思った経験がある人ならば,強くお勧めする。蒸留酒をストレートで飲んで美味いと思った経験がない方には,味わいが強すぎるかもしれない・・。)

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北海 熊ころり

熊ころり 北海道の日本酒

北海 熊ころり

小樽の地酒である。
北海道に行ったときに飲んで,それ以来,行くたびに飲むようにしていたのを,ネット通販で買ってみた。

日本列島は北に行くほど水の硬度が下がる。それはまた,水がクリアに透き通っていくというような言い方もできる。

その水で育った米を,その水で酒にするべく,その気候で醸造すると,その地の酒になる。当たり前だが・・・。

女酒と呼ばれる京都伏見のやわらかく甘い日本酒も良いが,塩鮭や塩だけで飲む北の酒もまた,美味いもんだ。

今はITの進化発展のおかげで,全国各地から「お取り寄せ」ができるようになった。熊ころりをこうやって味わえるのも,ITの進歩のおかげだ。今後は,もっとITは進化発展する。
もっと便利な世の中になること必定である。

だからこそ,ITを勉強してそれを仕事にすることの意味がある。

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韓国のキムチ

キムチ

今,目の前に,韓国の本場のキムチがある。

やはり,美味い。

何が違うのかというと全て違うのだが,まず,白菜が違う。韓国のそれは,乾いた土で育ったようなドライで味が詰まっているような感じだ。そして,オキアミの塩辛と,韓国の甘い梨のすり下ろしと,韓国のドライで甘味のある唐辛子のハーモニー。素材夫々の味が濃い。

韓国の唐辛子は辛いのだけれども甘味があって,それを梨の甘味が包み込む。アミノ酸の美味さはすべて,発酵した自然のオキアミに寄って立つ。そして,決して化学調味料が入らない。

ソウルでも釜山でも,その街で指折りと言われるような市場の店や専門店のキムチを日本に買って帰り,あるいはお土産にもらって,日本のスーパーに並んでいるキムチと比較するとよくわかるのが,素材の違いは勿論,さらには,化学調味料の有無である。日本でスーパーに並んでいる漬物は,ことごとく,化学調味料臭い。

オキアミの塩辛などはさほど経費のかかるものではないので,化学調味料をそれに切り替えたところで,値上げは少々で済むだろう。日本の漬物メーカーさんも,そろそろナチュラル系の漬物を販売してもらいたい。とにかく,日本でキムチであろうと沢庵であろうと,なんであれ漬物を食べると,ことごとく,味の素臭いので辟易する。

在日の友人宅で漬けられたキムチや,京都の上賀茂のすぐきなどは,夫々に美味いんだが・・・。

韓国には,ナチュラルがあちこちに残っているのだが,日本ではなかなかナチュラル系の漬物に出会えない。日本人は,世界で一番,化学調味料に汚染された民族である。さらに汚染されているのは中国人である。日本人が化学調味料の魔味から脱却したら,アジア全域でもそれに追従し始めるだろう。日本文化の真髄であるところの,自然の味覚に回帰するときがきているように思う。

夜明けとともに目覚めて,早朝からキムチでお茶漬けを食べていた・・・。

唐辛子が自身を覚醒してくれて,美味い。

おはよう!

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太刀魚の塩焼き

太刀魚

太刀魚の塩焼き

太刀魚は足が速いので,なによりも新鮮であることが大事である。そして,きれいな海であること。汚染の無いきれいな海で朝に上がったものをその日のうちに食べる。
一日以上置くと,臭みが出てくる。肉食魚だからかと思われるが,古くなると匂いがきつくなる。

新鮮な太刀魚は,それだけで他に何もいらないと思えるほど,滋味深く繊細である。
これと日本酒。
それだけ。

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全体の55%,374の学校法人が資産運用で失敗?

全体の55%,374の学校法人が資産運用で失敗?

なんと半数以上の大学・学校法人が,例のデリバティブで損金を出したということか。半数の大学が定員割れで経営困難に陥っているというのに,資金潤沢な大学も含めて半数以上が金融商品で大損を出したという。

本学のようなIT系や技術系の大学は,資産運用金利よりも開発やコンサルの仕事の方が利益率が高くリスクが低いことを知っているから,デリバティブのような極度にリスクの高い資産運用などは,最初からバカバカしいと考えると思う。
しかし,一般の私立大学の大半を占める文系大学は,そういった技術があるわけではないから,蓄積した資産を運用するくらいしか儲ける手が無い。そして,金融機関の勧誘に乗ってハイリスクハイリターンの資産運用に大金をつぎ込んだ結果,多額の損失を出した大学・学校法人がなんと374校に上るという。

少子化による大学崩壊が叫ばれて10年経つが,少子化に加えて,金融危機にまで巻き込まれたとなると,大学崩壊はさらに加速しているということだ。文科省がいまさら金融商品に手を出すなと指導しても,すでに遅い。

最近,文科省の指導で各大学の資産状況や決算が公開されるようになってきているので,進学しようとする消費者は決算書などの公開情報を閲覧する機会があるだろう。注意しないといけないのは,デリバティブなどの損金は,計上しない限りは決算書には元の買い取った時点での金額で資産勘定に入ったままであるということだ。
言いかえると,実際にはデリバティブで大損しているのに,それが決算書に表れていない状態もありうるということである。
つまり,実際にどれくらい大損したか,どれくらい経営危機なのかは,あまり外部には見えてこない。文科省は決算書を公開せよと指導するが,実は,公開されたところで,本質的な経営状況はなかなか表には見えないということだ。

「大学」には,ピンからキリまである。「大学」だったら「経営がしっかりしていて大丈夫」ということなどは無く,「大学」だから半数以上は経営危機という時代になってしまった。

ちなみに,日本最初のコンピュータ技術の教育機関である本学kcg.eduグループは,金融危機やデリバティブの損金とは無縁である。「技術がある」ということは,「その人が生きるチカラを持っている」ということだけではなくて,「その組織(大学・学校)が生きるチカラがある」ということでもある。

生きるチカラとは,自分で稼ぐチカラである。
技術があれば,馬鹿な金融商品に手を出さなくても,生きていけるのだよ。

理工系は不得意だからなどと恐れる必要はない。文系のIT関連技術の需要もたくさんある。
一生食べるに困らなくなるように,ITを勉強しておくことを,若者たちに強く推奨したい。

以下,引用。
NHKオンライン
http://www.nhk.or.jp/news/k10013385511000.html


3月24日 4時58分
世界的な金融危機に伴い、国内の大学の多くが資産運用で多額の損失を出していることが、おととしから去年にかけて次々に明らかになりました。文部科学省の調査で、全国の私立大学の半数以上が、この問題への対応を迫られていることがわかり、大学経営への影響の大きさがあらためて浮き彫りになっています。

世界的な金融危機に伴い、多くの大学が、金融取引による資産運用で多額の損失を出していることが、おととしから去年にかけて次々に明らかになり、中には150億円を超える損失を出した大学もありました。このため文部科学省は、私立大学や短大を運営する全国669の学校法人を対象に、こうした事態にどのように対処しているのか、調査を行いました。その結果、全体の55%に当たる374の学校法人が、この問題への対応を迫られていることがわかりました。購入する金融商品を見直したり、運用の限度額を設けたりするだけでなく、損失の拡大を防げなかった理事会を刷新して権限や役割を見直したり、チェック体制の強化を図った大学もあるということで、大学経営への影響の大きさがあらためて浮き彫りになっています。このように、多くの私立大学が資産運用を行うようになった原因の1つとして、子どもの数が減るなかで大学の数が増え続け、大学間の競争が激しくなったことがあげられます。大学の数が平成元年の499校から平成20年には765校にまで増える一方、18歳の人口は平成元年のおよそ197万人から平成20年には124万人まで減っています。こうした状況のなか、私立大学はそれぞれ資産運用で利益を上げ、経営を安定させようとしていますが、文部科学省は、リスクの高い運用は避けるよう各大学に求めることにしています。

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味覚を考える

味覚を考える

美味いと感じる味覚には二種類ある。

第一は,身体の本能的な要求に合致しているもの。運動した後の水が美味かったり,ビタミンが欠乏しているときの生野菜が美味いとか,たんぱく質が足りない時の肉とか,その時々の肉体の要求に応えるものを食べると,人間はそれを美味いと感じる。

第二は,それぞれの文化特性に基づく「学習の結果」である。
特に刺激の強いものや,異文化からみたときに違和感を感じるもの,などである。
その文化(民族とか集落とか地方とかでも良い)において,その地方でしか食べることができないもので,それが人間の肉体的な要求に応えるもの,あるいは,なんらかの儀式性を伴って習慣づけられたものなどを,当地の人間は「美味い」という。
これらには,当然,美味いの第一の理由と重なるものもある。その当地に昔からあるような独自の食物を美味いと感じるようになる訳だ。

さらに,時代が進んで,人間が学習すると,それまでは食べて来なかったものでも美味いと感じるようになる。また,その味が,今までになかった味であり,刺激が強かったりすると,美味い!というようになったりする。
アサヒのドライというビールがあるが,あれが爆発的にヒットしたのは,従来のビールにはなかったような辛みがあって,まさにドライという命名とともに,「新しい学習をした結果」なのだ。インスタントラーメンの世界でも,それまでになかったタイプの味が同様に刺激が強いと,爆発的にヒットすることが知られている。

韓国料理に唐辛子が大量に使われるのも同様の理由だ。韓国に唐辛子が伝わったのはそれほど古くはなく,江戸時代の日本から伝来したと言われている。しかし,伝わったとたん,刺激が強くで,それは美味いということになり,さらに刺激を求めて大量に使用する習慣が出来た。

日本では梅干はポピュラーな保存食であるが,「酸っぱく塩辛いという刺激の強さ」が,それが美味いという学習の結果をもたらしたのだろう。

刺激には「辛さ」や「酸っぱさ」や「塩辛さ」だけではなく,強い「油っぽさ」もある。
マグロのトロが美味いという感覚は,強い油っぽさが原因だと筆者は見ている。魚の脂身は,冷凍して戻すと,強烈に匂うようになる。新鮮な魚の脂身と,冷凍戻しのそれを食べ比べると,よくわかる筈だ。
魚の身は,冷凍すると細胞が破壊され,細胞壁で囲われた水分が浸み出してくる。そこに,油脂が大量にあると,油っぽさや匂いが強烈になる。逆に言うと,たんぱく質の美味さが減少して,油脂の臭みが前に出てくるということだ。

丁度60年代から70年代だが,冷凍と流通の技術,資本力による大量消費が始まった頃,日本でそのような冷凍戻しのマグロが流行り出した。大量捕獲で冷凍の切り身にするには,体躯の大きなマグロは最も生産効率の良い魚だった訳だ。タラやオヒョウも白身を取るには効率の良い魚だが,マグロには及ばない。

そして,それまでまともな刺身などほとんど食べたことの無かった内陸の人々が,「刺身」と称して販売される「マグロの冷凍戻し」を,「ご馳走である」,と学習した。他の冷凍戻しの魚に比べると,油っぽさが強いマグロは,一番の刺激だったのだろう。

80年代でも,内陸の旅館に泊まると,あたかもメインのご馳走の如くにマグロの冷凍戻しが食卓に並んでいたのを思い出す。横に添えられているのは,あの,ヒリヒリと辛いだけの合成ワサビだった。
そして,「刺身はご馳走だ」と伝え聞いていた内陸の人々が,その合成ワサビの刺激も「学習」したのであった。例え冷凍戻しであろうと,「マグロは美味い」という言説がまん延した訳だ。

得をしたのは(するのは)言うまでも無い,乱獲と大量流通を担う企業たちである。庶民が,まんまと巨大資本に騙されたと言って良い。

そうやって,社会の下地として「マグロは美味いご馳走だ」と言う言説が日本中にまん延し,さらに,マスコミの発達によって,本場の本当に美味いマグロの報道がなされるようになっていった。
まともに味も解らない若いタレントが,大間や噴火湾,勝浦のマグロを食べて「美味い」と連呼する。それを観た視聴者が,近所のスーパーや仕事帰りの居酒屋で冷凍戻しのマグロを喰う。漁師たちは,大きなのを一本釣ったら,それが高値で売れるもんだから,築地に送る。築地では,氷で冷蔵したものも冷凍したものも,値段の違いこそあれ,大量に売られる。

さらに,日本人の冷凍と流通の技術を利活用する巨大資本は,台湾や中国にマーケットを拡大していった。台湾や中国での冷凍戻しマグロの食べ方を観ていると,濃い緑色の着色料の入った合成ワサビを不味そうな醤油にドロドロに溶いて,強烈な辛い刺激を伴う冷凍戻しのマグロを喰っている。それが美味いのだそうだ。

そこにあるのは,「マグロは美味いご馳走である」,という言説(=思い込み)と,かつてマグロであった冷凍戻しの残骸の大量消費だけだ。そしてあえて言うならば,強い刺激を美味いものだと学習した(させられた)愚かな消費者である。

そうやって,本場のマグロから冷凍戻しまで,実際の本場での味覚を知った上でではなく,元来のグルメとは本質的に異なる「学習された味覚」を満足させながら,学習させられた多数の消費者が,巨大資本の餌食になっていっているのである。
乱獲されているのはマグロだけではない。冷凍戻しのマグロの残骸を美味いと感じているような,「学習させられた消費者たち」も,そうである。懐の財産を乱獲されているのだよ。

一度だけで良いから,本場で本当のマグロを食べて,騙されていたことを知るべきだ。二度と冷凍戻しなんて食べたいとは思わないようになるだろう。
もしそのように思わなかったとしたら,味覚音痴の極致なので,マグロの代わりにブロイラーの生のササミや熟したアボガドにワサビ醤油を付けて,マグロだと思って食べていたら良い。それだけで海産資源の枯渇に貢献することになるのだから。

時代はエコである。

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鮪,マグロ,まぐろの話

EUは禁輸すればマグロを絶滅危機から救える,と思い込んでいるのかもしれないが,そうではない。

世界中で,「冷凍マグロは美味い,刺身や寿司にして美味い」,と信じ込んでしまったところに,一番の原因がある。冷凍戻しのマグロを「美味い」と信じ,マスコミがそれを煽り,本醸造でない合成醤油に緑の着色料の入った合成ワサビを溶き,鼻にツンと来る刺激に反応して,それが美味いものだと信じ込んだことが,一番の悪因だ。

海洋資源の浪費は,第一に,冷凍技術と大量の流通システムの発明から始まり,本当に食べ頃の生のマグロを食べたことがない人々が,その冷凍マグロと合成ワサビの刺激に反応することが,「美味いものだ」と思い込んだのである。

すでに述べたように,人間はどんなものでも,学習すると,それが美味いと信じる生物である。言いかえると,そういう文化が出来上がってしまうということである。

では,解決策はなにかというと,
①マスコミが冷凍マグロは不味い,冷蔵マグロも不味い。と,真実を喧伝すること。
②一方,本当の生の食べ頃のマグロは,こういうものなんだということを「教育」すること。

それで,マーケットが冷凍マグロを買わなくなったら,多くの流通業界も漁業従事者も,マグロの乱獲などしなくなるだろう。売れないからだ。

つまり,一番の原因は,大量捕獲にあるのではなく,それを美味いものだと学習した多くの人々の,食に対する徹底的な誤謬,理解の過ちにある。

本当のマグロの味を知っている人たちは,冷凍戻しマグロなんて食べない。全国ネットの大手スーパーの,昨年捕獲された冷凍戻しのマグロが美味いと感じるのは,そのように刷り込まれてしまっているからである。大量流通と冷凍技術の普及によって,そのパワーによって,冷凍戻しマグロは美味いものだという「言説」が出来上がってしまっているというだけの話なのである。


EU「環境外交」連敗…クロマグロ禁輸否決

http://www.yomiuri.co.jp/eco/news/20100320-OYT1T00076.htm?from=nwla

【ブリュッセル=尾関航也】大西洋クロマグロの国際取引規制を協議したワシントン条約締約国会議で18日、欧州連合(EU)の禁輸提案が否決されたのは、環境保護を看板政策に掲げるEUにとっては手痛い敗北となった。

 環境政策で経済的打撃を被る当事者の「実利の壁」を乗り越えられなかった格好で、EU内では理念先行型の戦略に見直しを迫る声が強まりそうだ。

 EUの執行機関、欧州委員会は18日、環境政策と漁業担当の両委員による連名の声明を発表。「EU提案に関する投票結果を残念に思う」と失望感を隠さなかった。

 締約国会議では、来週の本会議での再投票で巻き返しを図る道もあったが、EUは早々に提案採択断念の方針を固めた。加盟国の中で、取引禁止への漁民の反発を抱えるフランスやスペインなどが消極的な姿勢に終始したためだ。加盟国間の利害が異なる問題では外交力を発揮できないEUの構造的なもろさを露呈した格好だ。

 EUでは、「禁輸しなければクロマグロは数年で消滅する。スシも食べられない。日本は(禁輸否決で)自分で自分の首を絞めたのだ」(バス・エイクハウト欧州議員=オランダ「緑の党」所属)など、日本が資源保護を顧みずに短期的利益の確保に走っているとの批判が根強い。だが、18日の採決の結果については、「日本の実利外交に敗れた」との意見も高まっている。

 19日付英紙フィナンシャル・タイムズは、クロマグロの禁輸否決が、EUにとっては昨年の気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)に続く2連敗にあたるとし、「欧州は国際的影響力について自己分析を迫られている」と指摘した。

 COP15では、EUは先進国でも急進的な温室効果ガス削減の枠組みを主張したが、国内産業への打撃を警戒する米国や中国に阻まれた形となった。EUはその後、気候変動対策では、再生エネルギー産業の振興や資源コストの削減など「実利」を強調する姿勢が顕著になっている。

 クロマグロをめぐっても、欧州委員会はあくまで、資源量減少の「科学的データ」を根拠に、EU単独でも取引規制に踏み切るべきだとの立場だ。しかし、肝心の加盟各国が実利優先を鮮明にする中では、この姿勢も後退を余儀なくさせられる可能性は十分ある。

(2010年3月20日00時38分 読売新聞)

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