☆竹取物語

 次はかぐや姫のお話。わが国最古のしかも月世界へ帰還する物語です。

内容は言うまでもないですが、面白いのは彼女に求婚して失敗する五人の好色な公達です。その名は、石作皇子(いしづくりのみこ)、車持皇子(くらもちのみこ)、右大臣阿倍御主人(あべのみうし)、大納言大伴御行(おおとも の みゆき)、中納言石上麻呂(いそのかみ の まろ)。このうち後の3人は天武持統時代(7世紀末)に実在した人物です。阿倍御主人の子孫には安倍晴明がいます。車持皇子のモデルは藤原不比等とも言われています。そして帝とは?この4人の時代なら文武天皇(在位697年ー707年) しかない。したがってかぐや姫が月へ帰ってしまったのはこの間の中秋の名月(旧8月15日)であることは確かです。
 作者はわかりませんが、藤原不比等を嘲笑っているからには、これらの公家、特に藤原氏に恨みがあり、もちろん学識もあり文才もある人でしょう。そこで紀貫之が有力候補になっているそうです。
 
 なお、この物語の最後に重要な文章があります。
月へ帰っていくかぐや姫は帝に不死の薬と天の羽衣、帝を慕う心を綴った文を贈りました。しかし帝は「かぐや姫の居ないこの世で不老不死を得ても意味が無い」と、それを駿河国にある日本で一番高い山で焼くように命じました。それからその山は「不死の山」(富士の山)と呼ばれ、また、その山からは常に煙が上がるようになりました。

平安時代には富士山は常時煙を吹いていました。

石作皇子の話の中に作花の枝という言葉があります。詳しくは原文をどうぞ。

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