七夕は天の川をはさんで離ればなれに暮らしている織姫と牽牛が年に一度出会える夜といわれ,中国では漢の時代から,日本では奈良時代から朝廷の伝統行事でした。七夕に関する歌は少なくありません。
・彦星の行き逢ひを待つかささぎの わたせる橋を我にかさなむ・・菅原道眞
・思ひやる心もすずし彦星の つままつ宵のあまの川風・・・藤原清輔
ところが,7月7日は梅雨の末期,集中豪雨の季節で,なかなか星を眺めることはできません。実際,昨夜も見えませんでした。七夕祭は本来旧暦で行われるもので,その日は伝統的七夕の日といわれ,通常は8月中旬で今年は8月19日です。その頃は天候も安定しているし,両星は天高く眺めやすいところにやってきます。
ところでその夜,織姫星(ベガ)と牽牛星(アルタイル)が動くわけではありませんが,実は現在,互いに近づいているのです。現在,両星は15.3光年離れていますが7万年後には15.0光年まで近づき,その後は永遠に離れていきます。残念ながら2人が最も近づいても光で15年もかかる距離ですから一夜の逢瀬はやはりかなえられませんね。