へびつかい座

Oph

 太陽・惑星が天空上を通る道を黄道といい,そこのある星座を黄道12星座といいますが、正確には13個あります。13番目はさそり座といて座の間にあるへびつかい座です。と言ってもインドの蛇使いとは全く違い,実は医者の元祖アスクレピウスの姿です。
 彼はアポロンの子で,実は生まれる前に一度死んでいるのです。母はアポロンの何番目かの妻コロニスですが,アポロンは彼女の不貞を許すことが出来ず,弓で射殺してしまいます。ところがアポロンはコロニスのおなかの中の子だけは助けたいと思い ケンタウロス族の賢人ケイロン(いて座)に託しました。ケイロンはその胎児を蘇生させ,養育し,そして学問特に医術を授けました。アスクレピウスは長じてギリシア随一の名医になります。彼に治せない病はなく,戦いで怪我をした勇者や瀕死の病人をたくさん救いました。ところがやがてこの名医は死者をも蘇らせる治療をするようになりました。これは自然の摂理に反することで,人間がしてはならないことだったのです。死者が来なくなった死の国の王ハデスは激怒し,ゼウスに訴えます。ゼウスもアスクレピウスを許しておくわけにはいかず,彼の頭上に雷を落して命を奪ってしまいます。さすがの名医も自分自身を治すことはできませんでした
なんだか現代科学の不安を象徴しているような話ですね。
 なお,これまでの星座絵は数年前の鴨川校の卒業生からもらったものですが,今回のは今年4月に亡くなられたH.N.先生に描いてもらったものです。

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