むしまるくさん、やりますねぇ!
カストルは双子にあらず六つ子なり
桜坂越えれば見える紅葉道
世の中は何か常なるブロギスト 明日のランクをたれか知るらん
むしまるくさん、やりますねぇ!
カストルは双子にあらず六つ子なり
桜坂越えれば見える紅葉道
世の中は何か常なるブロギスト 明日のランクをたれか知るらん
太陽・惑星が天空上を通る道を黄道といい,そこのある星座を黄道12星座といいますが、正確には13個あります。13番目はさそり座といて座の間にあるへびつかい座です。と言ってもインドの蛇使いとは全く違い,実は医者の元祖アスクレピウスの姿です。
彼はアポロンの子で,実は生まれる前に一度死んでいるのです。母はアポロンの何番目かの妻コロニスですが,アポロンは彼女の不貞を許すことが出来ず,弓で射殺してしまいます。ところがアポロンはコロニスのおなかの中の子だけは助けたいと思い ケンタウロス族の賢人ケイロン(いて座)に託しました。ケイロンはその胎児を蘇生させ,養育し,そして学問特に医術を授けました。アスクレピウスは長じてギリシア随一の名医になります。彼に治せない病はなく,戦いで怪我をした勇者や瀕死の病人をたくさん救いました。ところがやがてこの名医は死者をも蘇らせる治療をするようになりました。これは自然の摂理に反することで,人間がしてはならないことだったのです。死者が来なくなった死の国の王ハデスは激怒し,ゼウスに訴えます。ゼウスもアスクレピウスを許しておくわけにはいかず,彼の頭上に雷を落して命を奪ってしまいます。さすがの名医も自分自身を治すことはできませんでした。
なんだか現代科学の不安を象徴しているような話ですね。
なお,これまでの星座絵は数年前の鴨川校の卒業生からもらったものですが,今回のは今年4月に亡くなられたH.N.先生に描いてもらったものです。
気がつけば、桜坂。さんトップじゃないですか。やっぱり卒業生パワーはすごいですね。でもしばらく、せり合いが続きそうですね。
この人やっぱスゴイです。数学はピタゴラス,ユークリッド,・・・・デカルト,フェルマー,ニュートン,ガウス,コーシー,リーマン・・・という天才たちが頭に浮かびましたが,古代中国にこんな人がいたとは知らんかった。円周率の正確な値を求め,1000年以上も最高記録を保持していたのです。また暦学においても,1年や1月の日数などは現在の値とほぼ同じものを使って,閏を求めたようで,きっとヤヤコシイ計算が得意だったのしょうね。1500年前,日本では古墳時代、ヨーロッパではフンやゲルマンが暴れていたころのことです。これらを
Webにまとめたのでご覧ください。これらはKCG一般教育「自然科学史」のネタになります。
ここでいよいよcastorの正体についてお話しすることになりました。カストルを望遠鏡で眺めてみると2つの2等星A,Bに分れて見えます。この2星よりやや離れて赤い9等星があり,これもカストルのメンバーでCと呼ばれています。CはA,Bの重心の周りをゆっくりと公転しています。ところがこのA,B,Cの3星それぞれがまた連星,すなわちカストルは六重連星,双子ならぬ六つ子なのです。これは現在知られているあまたの星々の中で最も複雑なシステムです。
一般に2個の星は安定した公転運動を続けますが,数個の集団は不安定なもので(人間社会と似てますね),いつかは解散してバラバラになっていく運命にあります。現在のグループメンバーとしての姿はかれらの生涯の一断面に過ぎないのでしょうか? いや,カストルの星々の配置や運動は基本的には2個の星から成る普通の連星の場合と同じで,それぞれが勝手に動いているわけではありません。かれらの社会は安定なペア単位より成り立っていて結束は堅いようです。
六重連星カストルの運動はシミュレーションのいいネタです。ワタクシメもその複雑ながらの規則性が気に入ってトライしたことがありましたが,ヘタな2Dがやっとでした。残ったのはメルアドとニックネーム。KCGで少なくとも2人の先生が3DCGを作られています、そのお一人はオブジェさん,もう一人はHNさん,・・・
ふたご座にも超新星爆発の跡があります。カストルの足元には淡いくらげ星雲があります(現在このあたりに見える赤い星は火星です)。また1972年ポルックスの足元に全天で2番目に明るいγ線天体が発見され,ジェミンガと名付けられました。ジェミンガまでの距離は約300光年で,これはこれまで知られているうちで最も近いしたがって最も明るい超新星です。かに星雲(おうし座)の超新星は昼間でも見えたと言われていますが,この超新星はそれどころではなく,その1000倍すなわち満月くらいに輝いたはず。爆発は約30万年前と推定され,当時マンモスやサーベルタイガーと共存していたなんとか原人は数ケ月にわたって夜の暗さを忘れてしまったでしょう。
ポルックスは兄の亡骸をかき抱いて非常に悲しみ,いっそ一緒に死のうと剣や矢で自分の胸を刺しますが,どうしても死ねません。カストルは人間である母レダの血を,ポルックスは父ゼウスの血を引いているからです。ポルックスは苦しみに耐えかねて,父神に自分の命を奪ってくれるよう訴えます。ここでゼウスはカストルを蘇らせるべきなのに,なんとポルックスの願いをそのまま聞き届けてしまうのです。嗚呼なんちゅう父親でしょうね!
さてもう一方の卵からは双子の姉妹ヘレネとクリュタイメストラが生まれましたが,絶世の美女となったヘレネの争奪で全ギリシアとトロイが10年間も空しく戦い続けるトロイ戦争(これは史実)という大事件が起っています。 このお騒がせの大神である白鳥は夏の夜空ではくちょう座になっています。
ある日ゼウス(またもや)は水浴びしているスパルタの王妃レダに魅せられて白鳥の姿になって,この美女に近づき誘惑しました。月満ちてレダは,大きな卵を2つ産みます。その1つから双子の兄弟カストルとポルックスが生まれました。もうひとつの卵からは双子の姉妹が生まれるのですがその話は別項で。二人は仲のいい兄弟で,長じてカストルは剣のポルックスはボクシングの名手になりました。一緒にさまざまな冒険をした中にはイアソンのコルキス遠征の参加も含まれます。カストルはケンタウロスのケイロン(いて座)から乗馬も習っています。
ところがある日,獲物の取り合いでいとこ達と争い,カストルは命を落してしまいます。 以下次項
おうし座には死に逝く星もあります。かに星雲と言われる1054年7月4日に大爆発を起こした天体(超新星=Supernova)で,その記録は世界中に2件のみ,中国と日本しかなく,藤原定家の「明月記」に載っています。当時の京童は塔のてっぺんに登って,その星を取ろうとしたことでしょう。20日間くらい昼間でも見えたそうで,今なお時速1500kmの猛スピードで噴出・膨張しています。
かに星雲は星の最期・爆発機構から原子核・素粒子の研究まで現代物理学に非常に大きな貢献をした文字とおりスーパースターです。
「世の中にかに星雲のなかりせば 冬の夜空はあぢきなからむ」のみならず,私たちの物理学の知識はもっと貧弱なままだったでしょう。