森と文明の物語―環境考古学は語る (ちくま新書)
お正月休みの読書感想文です。13年前の本で、環境問題の提示としては先駆けでしょう。世界中のほとんどの文明は森林を切り開いて(破壊して)生まれ、滅んでいった。今は砂漠と化した中東地方はかつてはレバノン杉が生い茂っていたそうです。ヨーロッパでは森は狼や悪魔や棲家で征服すべきものと考えられてきた。アメリカ開拓もその勢いで行われた。そういえば中国の黄河流域もそうです。
森を大切に守り、自然と共生を習慣にしてきた日本(1万年前から引継がれている文化)は例外だそうです。筆者は植物学者らしく客観的なデータが示されています。細部の賛否はともあれ、文化・歴史を新しい視点から眺めているので面白かった。