☆人間過去未来-3

  ではただ1種類のホモサピエンスがどうして60億を超す大集団になれたのか?いうまでもなくそれは食料を確保できたからでしょう。しかしホモサピエンスの歴史20万年のうち95%は採集狩猟時代です。栽培牧畜を始めてからまだほんの10000年足らず、中にはまだ100年という民族もいます。採集狩猟生活というのは全く不安定で常に飢えている状態と言ってもいい。獲物が獲れなかったら他人のものを取るしかないので争いは絶えない。人口が増えるはずがないですね。定住して農業を始めて自前で食料を確保できてから、産めよ殖やせよということができるわけです。
 しかし同時に新たな問題も発生します。灌漑のため河の流れを変え、あるいは森から木材を切りだすという自然破壊を起こします。古代文明が生まれたところは開発しすぎのためその後廃墟になったところが多いです。またこのためには強力なリーダーを必要とするので、厳しい神や強い王が生まれた。これらの地域は一般にシビアな環境、乾燥地帯です。

 ギリシア神話にこんな話があります。

かつてこの地上は,山には穀物や果物が実り,川にはミルクや酒が流れ,人間は農作しなくてもいつも満ち足りて,何不自由なく暮らしていました。また正義と信仰がいきわたり,権力を振り回す者もいなく,法律なんてものも不要でした。神々はこの世で人々と一緒に暮らしていました。このような平和で平等な時代は「金の時代」といわれています。ところが時はうつり「銀の時代」「銅の時代」「鉄の時代」となるにつれ,人間は互いに武器を持って,大地を取り合う醜い争いを繰り返すようになりました。

また旧約聖書のいうエデンの園も似たような話ですね。

 これに反しわが国では気候は温和で、山にはドングリが、短く急流の川にはサケがいっぱいあったため、農業開始は遅れたというより、その必要性がなく、ノンビリとした縄文時代が長く続いたのでは?

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