☆中秋の名月2


 実は竹取物語とは,童話でもSFでもなく反権力風刺小説なのです。成立年,作者とも不明ですが『源氏物語』に紹介されていることから平安初期の作品であることは確かです。問題はかぐや姫に求婚する5人の公達で,
阿倍御主人(あべのみうし635-703:右大臣),
大伴御行(おおとものみゆき646-701:大納言),
石上麻呂(いそのかみのまろ640-717:中納言)は飛鳥時代の実在の人物です。また
石作皇子(いしづくりのみこ)のモデルは多治比嶋(624-701:左大臣),
車持皇子(くらもちのみこ)のモデルはなんと藤原不比等(659-720:右大臣)
だとすでに江戸時代から言われています。

 かぐや姫はこの5人の公達にプロポーズを受ける条件として,噂にしか聞いたことがなく,手に入れるのは非常に困難な珍しい宝物を持ってくるようにと無理難題を吹っ掛け,この高位高官たちの失敗を嘲笑っていますね。さらに帝からの入内命令にも従わず,最後には武力にも屈せず故郷の月へ還ってしまうというたくましい女性なのです。かぐや姫は天上で罪を犯し地上に遣られ,それが許され月へ戻るわけですが,これは左遷追放されたけど後年恩赦か何かで都に戻られた公家のようです。そういえば光源氏も一時左遷されていますね。
              

comments