竹取物語の最後に重要な文章があります。
月へ遣っていくかぐや姫は帝に不死の薬と天の羽衣,帝を慕う心を綴った文を贈りました。しかし帝は「かぐや姫の居ないこの世で不老不死を得ても意味が無い。」と,それを駿河国にある日本で一番高い山で焼くように命じました。それからその山は「不死の山」(=富士の山)と呼ばれ,その山からは常に煙が上がるようになりました。実際,平安時代には富士山は常時煙を吹いていたことが知られています。
さてかぐや姫を入内させようとし,月へ還ってしまってからも未練心を抱いている帝とは誰でしょうか?この5人がそろって都にいた時の天皇なら持統(在位690-697年),文武(在位697-707年)ですが,持統は女帝だから除かれ残るは文武しかない。かぐや姫が月へ帰ってしまった日はこの在位期間の中秋の名月(旧8月15日)であることから推定できます。文武天皇は父草壁皇子が若死にしたので14歳で即位しますが,お祖母さんの持統上皇が亡くなる703年以前は,光り輝くとはいえどこのだれかわからない田舎娘を宮中に迎え入れるなんてもっての他だったでしょう。この帝は707年7月に24歳で亡くなっているので,問題の宵は703年(大宝三年)~706年(慶雲三年)の中秋の名月となります。その中で最有力候補は没年前の706年9月26日(日)でしょう。
まだ続く