おうし座には死に逝く星もあります。かに星雲と言われる1054年7月4日に大爆発を起こした天体(超新星=Supernova)で,その記録は世界中に2件のみ,中国と日本しかなく,藤原定家の「明月記」に載っています。当時の京童は塔のてっぺんに登って,その星を取ろうとしたことでしょう。20日間くらい昼間でも見えたそうで,今なお時速1500kmの猛スピードで噴出・膨張しています。
かに星雲は星の最期・爆発機構から原子核・素粒子の研究まで現代物理学に非常に大きな貢献をした文字とおりスーパースターです。
「世の中にかに星雲のなかりせば 冬の夜空はあぢきなからむ」のみならず,私たちの物理学の知識はもっと貧弱なままだったでしょう。