漢字の伝来は応神時代と言われていますが、実はもっと古いはずです。わが国最古の漢字は、志賀島(博多湾)から出土の金印に書いてある「漢委奴國王」で、1世紀半ばのことです。この王サマまさか意味も知らずに、もらって喜んだとは思えない。後漢の光武帝からみとめられたことはわかったはずです。しかし漢字を覚えるのは現在でも難しい、普及するまでには長い長い年月が必要だった。普及に貢献したのはきっと「紙」の伝来でしょう。この安価な記憶媒体こそ、わが国の文化向上の立役者です。聖徳太子は紙にお経の注釈、すなわち漢字で自分の考えを陳述した、を書いているというのだから、伝来はそれより百年は前でしょう。
ちなみに「かみ」という語は訓読みではなく、「簡」の「カン」という字音が転じたものというのが定説であるそうな。「紙」が中国から渡来したものであるからには、漢語が入る以前に和語が存在しないというのは当然ですね。
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漢字(続)
オブジェさんのコメントの後で調べてみたら、漢字の訓読みが普及したのは平安時代で、一般人が使うようになったのは江戸時代になってからだそうです。漢字伝来の時期はわかりませんが、博多湾のある王サマが「倭奴国王」という漢字の書いてある金印を後漢の光武帝もらったのは1世紀のこと、ヒミコが魏の明帝に手紙を書いたのは3世紀のこと(そのころはモチロン音読みだけ)ですから、漢字を自国風に使えるまで千年以上もかかっています。ヤッパリ漢字の学習は大変のようですね。
英語でこんなことはないものか?昔,英会話教室で etc. をエトセトラと読んだら and so on と訂正されたことを思い出した。ラテン語を英語で読んでいるわけで、他にも例があるかもしれませんね。
漢字
漢字伝来 (岩波新書)
先月読んで非常に強く感じたことは漢字の訓読みってすごい発明なんだということです。「石」という字を「いし」と読むのはアタリマエと思っていますが、実は外国語を日本語で読んでいるのです。いわばstoneという単語を「ストーンと読んで石のこと」と言わずに、stoneをそのまま「いし」と読んでいるわけです。つまり辞書を作ったのですから、1人の天才ではできない。多分大人数で、数百年もかかって、試行錯誤の末、完成したのでしょうね。でもこれによって日本人は漢字をマスターした。漢文(外国語です)では順序を変えて日本語読みというハイパーテクニックを開発したわけですね。
現在でも、漢字を使っている民族は中国人と日本人だけ。やめてしまった民族はたくさんいます。