戦争がなくでも、命は消えてゆく。
無論、戦争が起こると、そのスピードは著しく加速されてしまいます。
「寄せ集め」の義勇軍にしては、
今まで受けてきた被害は非現実と言えるほど、非常に軽微です。
今回の戦役で第7小隊で失われたのは、有能の戦車操縦士・整備士一名だけ。
大局的に見ると、戦力のロストは小さい。
しかし、損害が軽微とは言え、悲しいことは悲しいです。
人の感情というのは主観的なものであり、数量で計れるものじゃないからね。
無論、主観なものなので、感じる悲しさの大きさは人それぞれ。
そして、悲しさの表し方、受け止め方、紛らわす方法も、人それぞれ。
さて、「八月の雨」です。
雨は、空の涙と言う人がいます。
無論、雨は空中の水蒸気が降ってくるという自然現象であり、
空は泣きたいとは思っていないはずです。
悲しんでいる人が、空が泣いているように見えるのか、
空が泣いているハズと思っているのか、
あるいは、その両方かもしれません。
戦場のヴァルキュリアの公式サイトのあらすじから:
http://www.valkyria-anime.com/oa/index.html
第十八章「八月の雨」
雨が降る八月のある日、アマトリアン基地は悲しみに包まれていた。ロージーは医務室で憔悴し、小隊メンバーもこの悲劇を受け入れられずにいる。
そんな中、ウェルキンだけが涙もみせずに淡々と仕事をこなし、事態を冷静に受け止めていた。いぶかしむ面々。
そこに追い討ちをかけるように、正規軍のダモン将軍が現れる。イサラを侮辱し罵声を響かせるが、怒りに駆られる小隊メンバーをよそに、ウェルキンの反応は鈍く…。
途切れてしまった小隊メンバーとウェルキンの心。両者を繋ごうと奔走するアリシアだったが……。
18話のあらすじ:
- 雨の中の戦没者墓地、バーロット大尉とラルゴは、大人の対話を交わしながら、イサラが埋葬された地へ。いつまでも悲しさに慣れないバーロットに、中隊長として、悲しさを隠すようにとラルゴ。
- イサラの葬儀に、若い第7小隊のメンバーらは、悲しさを隠さず涙を流す。ウェルキンが花束を棺に投げた瞬間、前回、悲報を聞いた時のことを思い出す。
- 沈重の小隊員らに、ウェルキンは平穏の口調で、今までイサラと仲良くしてくれたことに礼を言った後、イサラのことを速やかに忘れ、これからも義勇軍の一員として努めてほしいと。
- そのウェルキンに、ラマールが突っかかる。ウェルキンのせいでイサラが死んだのに、忘れるだとと激上すると、ファルディオになだめられる。ウェルキンは終始黙って顔を背ける。
- 戦車の下、ハネブタのハンスが泣き顔。
- 夜、オスカー、エミール兄弟が、元気のないウェルキンのために珍しい虫を探し、それをウェルキンに届くか、「それはどこにもいるコガネムシだよ」「僕の心配する暇があるなら、休めてくれ」と、無表情に追い返す。
- そのことを、他の隊員らに相談すると、「それは隊長さんの強がり」とヤン、「隊長だって虚勢を張ってないと、ダメに成っちまいそうだよ」とラルゴ。「だったら、俺達が頑張って支えなきゃ」との結論に至る。
- 医務室の中、ロージーは夢の中でイサラのことでうなだれる、そこに衛生兵が起こす。目覚めたロージーは、イサラが銃撃受けた直後、敵兵を仕留めたことを思い出す。
- 次のシーン、ベッドの上で自己嫌悪に陥るロージーに、アリシアが慰める。そこに、ウェルキンが医務室に入ってくる。
- そこで、ロージーはウェルキンとアリシアに、イサラの最後を伝える。「私、ロージーさんの歌、好きでした、一度だけだけど、聞けてよかった。」「あたいで良ければ、いくらでも何度でも歌う」「嬉しい」と、イサラは微笑みながら逝ってしまう。
- それを聞いて、墓地に涙を見せなかったアリシアは涙を流すが、ウェルキンは無表情。「あたいはこれを持つ権利がない」と、ダルクス人形をウェルキンに返すが、ウェルキンは受け取らない。
- 「あたいが気を抜かなければ、イサラは死ななかった、あたいが死ねばよかったんだ」と自責するロージーにウェルキンは無表情かつ冷静な口調で、「自分を責めないで欲しい、イサラはイサラの人生をちゃんと生きたんだ、誰のせいでもないよ。イサラは幸せだったと思う。」と言い放った後、ロージーの泣き声の中、速やかに退室。
- ダモン将軍の執務室にて、前回の作戦の写真を見ながら、煙幕弾(イサラ・スモーク)に興味を示す。
- 煙幕弾の作成者に製法を尋ねるため、ダモン将軍は第7小隊を召集する。製作者のイサラが戦死されたことを知り、製法の洗い出しを命令する。
- 去ってゆくダモンは、戦車に飾っているダルクス人特有の布を見て差別発言を放った後、怒り出す。布を地面に置き、踏みにじると、ロージーが「退けよ」と、ダモンにタックルで倒し、「戦死した義勇兵を悼むことすらできないのか、このウジ虫野郎」っと。ダモンがパンチで反撃するも、全く当たらない。「将軍に楯突くのか、営倉(こんな難しい日本語使うな、このやろう)にぶち込んでやる!」
- そこに、ウェルキンが頭を下げ、隊員の無礼を詫び、処罰なら私にと。それに対し、ダモン将軍は煙幕弾の製法を提出するように命じ、出来なかったら軍記違反で処分すると宣言。
- 「謝ることなかったのに」とアリシアが言うと、「ぼくがすべての責任を負う」と言って、その場から離れる。
- 医務室で休むロージーを見守るアリシアの手に、ファルディオからもらった遺跡の石を遊んでいた。
- 自分の執務室でディスクワークを無心でこなしているウェルキンは、ふっとイサラのことを思い出し、瞳が動揺した後、目を閉じる。
- 構外で移動しているアリシアは、穴を掘っている第7小隊隊員ら(オスカー、エミール、イーディ、アイシャ、ホーマー)に遭遇する。落とし穴でダモン将軍に復讐するようだ。アリシアが止めようも、止められず。
- そのことをウェルキンに相談したら、「好きにやらせればいい、責任はぼくが取る」。「隊長の責任は、そういうことじゃない。全部1人で背負おうとして、皆との溝が深まるばかり。」「隊長らしくしろといつも言ってるのはアリシアだと思うよ。夜が深いし、もう宿舎に戻ったほうがいい。」「なんでみんなと一緒に悲しませてくれないの。ウェルキンが一番悲しんでいるのは分かっている。」一連のやり取りで、終始アリシアの顔を見ずに無表情のウェルキンは「君に僕の気持ちを分かってもらおうと思わないよ。心配してくれているのはありがたいけど、ほっといてくれないかな」。
- それを聞いて、さらに強い感情を表して、「いやよ」とアリシアが言うと、ウェルキンは初めてアリシアのほうを見る。「なぜ?」「私はウェルキンが好きだからよ!」と、ずっと無表情のウェルキンが初めて表情を崩すも数秒しか続かず、すぐ黙って顔を背ける。
- 堪えずにアリシアが走り出すと、都合よくファルディオがそこに居た。走るアリシアの手から、蒼く光る遺跡の破片が空を飛ぶ。ファルディオはラグナイトの謎の発光現象に疑問を持つ
- ぽろぽろ涙を落とすアリシアに、ファルディオはハンカチを差し出し、理由を問っても黙るだけ。ウェルキンと何かあったと察し、ウェルキンのところに行こうとしたら、「ウェルキンのことなんてどうでもいい、でも、みんなか」と涙目で訴える。
- ファルディオ、落とし穴大作戦敢行中の隊員らに対し、ウマイことを言って愚行を止めさせる。
- 夜、ふっと目覚めたロージーは、イサラの墓へ。墓の前に居るラマールと墓の中のイサラに「遅くなったけど、あんたのお願いを叶えてあげるよ」と一曲披露。
- ロージーの歌声の中、宿舎で酒で悲しみを誤魔化そうとしているラルゴ・ヤン達、ハンスとたわむれることで悲しみを癒そうとしているマリーナ・スージー達、落とし穴を埋め直した、疲れ果てたファルディオと第7小隊の隊員達、デスクの前で顔を落とすウェルキン、エーデルワイズ号の上で仰向くアリシアと、シーンが流れる。
- ウェルキンに尋ねるファルディオは、扉の前の沈重の顔構えから一転、明るい顔で「なんだなんだ、水に漬けられたガリア山猫になってるぞ」と入室する。「なんだい、この夜中に。アリシアに言われてきたのか」と言われ、少しムッとしたファルディオは、笑いながら「そんなところだ。もっと若い奴らに声を掛けてやったらどうだ。隊長なんだから。」
- 「僕は隊長を名乗る資格がない。イサラ一人も守れなかったから。」を聞くと、ファルディオは顔を顰め、「おい、ふざけるなよ、ウェルキン、俺達第1小隊は、すでに三名の除隊者を出している。ベッド暮らしの者も居るんだ。だが、俺は彼らを守れなかったと言ったことは無いぞ。お前は神か?英雄か?一体何様のつもりだ?分からないなら教えてやる、自己憐憫に浸る、ただのバカ野郎だ」。ウェルキンは無表情に「そうさ。英雄でも何でもない。」。さらに追い込むファルディオは「だから隊員を見離し、アリシアを泣かせるのか?」。「君が居るじゃないか、…ファルディオ。」と口応えすると、激怒するファルディオは、ウェルキンに怒りの鉄拳。
- 椅子ごと倒れたウェルキンは口元の血を拭く。
「どこにもいるコガネムシ」ではなく、本当にレアな昆虫を取ってきた時のウェルキンも見たいと思う。
しかし、ミラクルは起こらなかったですね。
原作の通り、イサラはあっさり逝ってしまった。
原作よりも、丁寧にイサラが死ぬ至るまでの数日間を描いただけに、
ゲーム版よりも、視聴者に悲しみを伝えたかもしれません。
実際に、ぉぅぇぃもちょっと悲しみました。
今回で、ロージーとダルクス人との和解を遂げたように見えますが、
実際にどうでしょうか。人種差別の意識を取り除いたでしょうか?
今のところ、「イサラはいい子だから」ということで、イサラを特別扱いをしているように見えます。
次回登場予定されているザカとの間も、「ザカはいいやつだから」ということで仲良くするかもしれません。
しかし、それは「人種差別」という壁を超えているように見えません。
ゲーム版では、それでロージーは平和への意識を芽生え始めた…のような描画がありましたが、
次回予告では、ロージーは鬼の形相で帝国軍をぶっ殺しまくったので、
憎悪の対象をダルクス人から帝国人に移しただけ…のように見えなくもありません。
ウェルキンは今までよりも、心を強く閉ざしています。というか、ヤケクソの自暴自棄かも?
アリシアは相変わらず悪のタイミングで空気の相応しくない行動を取り、自己嫌悪に陥る。
ファルディオは主人公補正掛かり過ぎて、すべてがうまく行き過ぎる。
今週も、ある意味特に何も進めていません。
小隊隊員への描写も、前回以前と比べたら、かなりボリュームアップしています。
それぞれの悲しみを、それぞれのメソッドで解消してるところを描いたのは良かったと思いますが、
「嫌な奴には落とし穴」という発想は、さすがにちょっとついていけませんね。
というか、オスカー、エミール兄弟やアイシャはともかく、
みんなアイドルのイーディ・ネルソン様までがそんなアホな作戦にプライドに掛けるのは、ちょっと…。
ちょっと話を変わりますが、先日、話題の「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」を見に行きました。
いや、一作目の「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」は、9割以上昔のまんまだったのですが、
二作目の「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」は、非常に大胆に、大部分をいろいろ変えてきたのですね。
事前情報ほとんど無かったので、非常に驚きました。
そこで、ちょっと思ったのですが、「戦場のヴァルキュリア・エボリューション(アニメ)」は
「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」と同じく、オリジナルからかなり大きく改変しました。
「戦ヴァル・エボ」は「原作と違って、ぷんすかぷん」と
オリジナル版のファンからの怒りの声は結構聞くのですが、
「エヴァ」のほうは、「原作と違って、色々変えて面白い!」という
昔ながらのファンのコメントが目立ちます。
何か違うのかな~っと思ったのですが、つまるところ、
「オリジナル通り」かどうかは、別にそれほど重要の問題ではなかったかもしれません。
たとえば、お店にカレーを注文しました。
そこに予想通りのカレーが出てくると、「うん、カレーだな」と、特に驚きないが、とりあえず満足します。
これは、おそらく「オリジナルの通り」ということですね。
で、お店にカレーを注文して、そこに予想外ので、見た目はカレーだけど、予想外の匂うがする、カレーの創作料理が出されただとしよう。
たとえばカレーなのに、チクワを入れてみたり…、カルピスを入れてみたり…、ゴーヤを入れてみたり…とかね。
もしその「カレー創作料理」が予想外にとびっきり美味しかったら、
「うわ、期待したカレーじゃないけど、これウマイぞ!もう一杯!」ということになりますが、
その「カレー創作料理」があんまり美味しくない、あるいは極めてフツウ…だったら、
「うわ、なんだこりゃ、カレーを出せ!オラが注文したのはカレーだ!」と、大暴れしてしまうかもしれません。
出されたのはカレーではないだけで、ハードルは少し高くなってしまいますね。
そこも実はちょっと面白いところですね。
レシピ通りに調理すれば、顧客が満足するけど、料理人的に何か物足りない…ということで、
更なる大戦果を挑戦するために、レシピにない素材や調味料を入れることも、珍しくありませんね。
まあ、より高みを目指して、より深い谷に墜落するのもよくある話です。
ところで、エヴァンゲリオンの後でアニメの戦ヴァルのウェルキンを見ると、
なんだか、エヴァの山アラシのジレンマを思い出しますね。
ちょっとだけ、ウェルキンとオリジナルのシンジ君を重ねて見てしまいます。
最終的に
「僕はここにいてもいいのかもしれない」
「そうだ、僕は僕でしかない」
「僕は僕だ、僕でいたい」
「僕はここにいたい」
「僕はここにいてもいいんだ」
と言いだして、
「おめでとう」「おめでとう」「おめでとう」「おめでとう」「おめでとう」
のような展開にならないかと、ちょっとドキドキしてしまいますね。
成らないだろうけど、成ったら成ったで、スゴイ伝説になるかもしれません。
まあ、考えすぎですね。
さて、次回の第19話の「涙」は誰のものか分かりませんが、
とりあえず録画予約済みです。
ブルール奪還のような気がしますが、過大な期待は禁物。
おまけ:
*戦場のヴァルキュリア・エボリューションとは完全に別物ですが、良かったら是非本家の戦場のヴァルキュリア(PS3ゲーム)のレビューも見てみてください!
*PSPお持ちの方、戦場のヴァルキュリア2・ガリア王立士官学校のまとめもどうぞ!!
*アニメ戦場のヴァルキュリア(笑)一回目から二十六回目の感想はこちら:
- 第1章「戦火の出会い」
- 第2章「コナユキソウの祈り」
- 第3章「第7小隊誕生」
- 第4章「束の間の休日」
- 第5章「クローデン奇襲戦」
- 第6章「従軍記者、奮闘す!」
- 第7章「ダルクスの災厄」
- 第8章「紐解かれる歴史」
- 第9章「蒼き魔女」
- 第10章「吹雪の夜」
- 第11章「招かれざる客達」
- 第12章「さらわれた姫君」
- 第13章「戦慄の移動要塞」
- 第14章「ファウゼンの選択」
- 第15章「歌姫の過去」
- 第16章「語られなかった想い」
- 第17章「精霊節の贈り物」
- 第18章「八月の雨」
- 第19章「涙」
- 第20話「愛しき人」
- 第21話「はかなき絆」
- 第22話「とまどい」
- 第23話「愛のかたち」
- 第23話「愛のかたち」
- 第23話「愛のかたち」
- 第24話「決意」
- 第25話「護るべきもの」
- 第26話「決戦」