鮨屋の基礎知識

 江戸前の鮨屋は握ってもらった鮨を即座に食べる場所である。鮨を調理する人のことを,料理人とは言わずに職人という。コックではなくて,テクニシャンである。目前で握ってくれる職人は板前と言う。鮨は作ると言わずに「つける」と言う。元々,新鮮な海産物を酢や塩に漬けたことから,つけると言うらしい。板前が鮨を握るところを「つけ場」と言い,その前の客が座るところを「つけ前」と言う。
 鮨屋では,「おまかせ」「お好み」「お決まり」と,三種類の注文の仕方がある。「おまかせ」は,板前にその日の鮨種の選択を全て任せるもので,「お好み」は客が勝手に選んで注文することを言う。「お決まり」は,その鮨屋で,松,竹,梅や,金,銀など,値段と内容が確定された定番を言う。「お決まり」は,その時々で値段の安いものをアレンジして,全体で採算が取れるようにして価格を一定にしたものである。「お決まり」に入っている鮨種を,「お好み」で注文すると値段が跳ね上がることがある。
 「おまかせ」にするときは,電話で予約を取るときに,好き嫌いや総額の支払いをあらかじめ伝えておけば良い。お土産を家族に持って帰りたいときは,最初にその旨を伝えておくと,間合いを見計らって作ってくれるので,帰り際までに用意しておいてくれる。
 生ものを扱う鮨屋は,店の前にも酢の匂いが漂っているくらい清潔でなくてはならない。すし店では,例え裏口であろうと,魚の腐臭の微塵も漂わせてはいけない。

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