鮨,寿司,うまいすし,ラーメン,うどん,そば,美味いもの,グルメ@京都情報大学院大学
本家西尾八ッ橋の春バージョン生八ッ橋
八つ橋,八橋,八ッ橋,店によって記載が異なり,本家とか総本家とか元祖とか,どれが本当の歴史なのか良くわからなくなっているほど,京都では普通のお菓子として普及しているが,そもそも八橋とは,焼き菓子である。日本全国には,生のほうが普及してしまって,生を八橋と思っている人が多いそうだが,生は元々,製菓工場ですこしだけわけてもらうような特別なものだった。
子供の頃,近所に八橋を焼いている小さな製菓屋があって,木のブロックで重しをかけながら,米でできたせんべいを焼いていた。短冊に切った生八橋を,鉄板の上で,木のブロックを重石にして膨らまないようにして焼く。そして熱くて曲がるうちに,丸い溝において,上から鉄の丸棒を乗せて,琴のように曲げる。冷えると,湾曲したまま固まる。ニッキの香りがきつい,京都の古くからの菓子である。
その工場からは,いつも木の重石をあっちやったりこっちに乗せたりする音がカチャカチャと響いていて,前を通るとシナモンの香りが漂っていた。そして,そこで,生八橋を分けてもらうと,「今日中に食べんとあかんえ」,と言って,少量を紙で包んでくれるのだった。生八橋はすぐに干からびて固くなるものなので,工場のすぐ近くでしか得ることが出来なかい,地元の人たちだけの,特別なお茶請けだったのだ。
パッキングの技術と流通システムが発達して,今ではあちこちで生八橋が売られている。その結果,本来の焼いた八橋のほうがマイナーになってしまった。そして,その生八橋にも様々なバリエーションが登場して,それはまた,季節に応じて種々工夫されている。
春。桜花の頃には,桜の香りを練りこんだ生八橋が売られる。京都の和菓子は,伝統的に毎月それぞれに,様々な時節ものがあるが,八橋にも季節が織り込まれるようになった。
四季折々の移ろいを,お菓子でも知ることができる街,京都に,生涯のうち数年間でええから,住んでみなはれ・・・。学生時代を送るのは,京都がイチバンどすえ~。
桜が咲いてるなあ~。春やなあ~。
嗚呼,桜花咲き,また散る・・・。一年が終わり,一年が始まる。