檸檬の八百卯が閉店

京都二条寺町の老舗の果物店,八百卯(やおう)が1月一杯で閉店し,創業130年の歴史を終えていた。丸善は2005年に閉店したので,これで梶井基次郎の名作小説「檸檬(レモン)」の舞台となった店が両方とも消えてしまった。

その小説の主人公は,八百卯で薫り高いレモンを買い,それを爆弾だと表現し,丸善という書店の本棚に置く。書店のその部屋には,レモンの香りが広がる,という短いストーリーである。我が国文学史上,屈指の名作短編である。

八百卯の店先には,いつも,レモンが一番前列に並べられており,値札には「梶井基次郎の檸檬」と書かれていた。

丸善が閉店したとき,「八百卯だけが残ったのか」,と想ったのだが,今度は,八百卯も閉店してしまった。

時代が変わり,時代変化に追従できない店が消えていく。昭和の後半から,発展するのは大規模チェーンばかりだ。

小規模零細商店がもっとIT化されると,逆転が生じる可能性が高いのだが,それにはまだ時間が必要なのだろう。個人商店の跡継ぎには,ITを学んでもらいたいと願う。

——以下,引用。———–
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/090131/trd0901311724008-n1.htm
小説「檸檬」の舞台、京都「八百卯」が閉店
2009.1.31 17:22

閉店した果物店「八百卯」=京都市中京区 梶井基次郎の小説「檸檬(れもん)」で、主人公がレモンを買った店のモデルとして知られる京都市中京区寺町通の果物店「八百卯(やおう)」が31日までに閉店、創業130年の歴史に幕を下ろした。

 八百卯は明治12年創業。大正14年発表の「檸檬」では「その果物屋は私の知っていた範囲で最も好きな店であった。決して立派な店ではなかったのだが、果物屋固有の美しさが最も露骨に感ぜられた」と表現されている。

 主人公がレモンを爆弾に見立て、書棚に置いて立ち去る場面で登場する書店「丸善」も、平成17年10月に閉店した。

 店を切り盛りしてきた村井さんの親族(85)は「ぎりぎりまで頑張ったが、残念だが閉めた。長い間ありがとうございました」と話した。

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