韓式・韓流?のりまき


カレー・カレーライス特集
パエリア パエジャ のレシピ
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韓式・韓流?のりまき

韓国のりまき

日本式の海苔巻の寿司は,韓国に伝わった後,文化変容を経て,異なる料理となっている。
韓式・韓流?の海苔巻は,「のりまき」,と訳されているが,まず,ごはんは酢飯ではなく,たんなる白飯である。
海苔は,韓国海苔にごま油を塗って巻くのだが,塩気もすこし強い。
写真のように,茹でた人参,玉子焼き,三つ葉のような野菜,そしてカニカマ。
黄色いたくあん(沢庵漬)が入っているのがミソである。これは必ず,入る。沢庵は,日本から韓国に伝えられたものだ。
あとは,大根の塩漬けみたいなのと,なんだったのか忘れたが,早い話が,色々な具材を,沢庵の塩気と海苔に塗ったごま油と塩気で食べる,おにぎりみたいなものなのだ。
これはこれで,とても美味い。

ソウルの空港のカフェで買って,帰国便の中で食べたもの。家庭でも簡単に作れるので,ぜひともどうぞ。

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美味い酒 北海 熊古露里


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美味い酒 北海 熊古露里

熊ころり 北海道の日本酒

数年前までは,北海道でしかゲットできなかったのだが,最近は,お取り寄せもできるようになっている。ネットで買って,こればかり飲んでいる。

超辛口男酒 北海 熊古露里(くまころり)
・・・と瓶のラベルに書いてある。

クリアで嫌味が一切ない。北海道の真冬の空気のようだ。
一升瓶で2000円弱なので,さほど高いわけでもない。

越乃寒梅も好きだが,あれよりもクリアかな。新潟の酒は米の味が強く出ているのだが,米の有名産地ではないところの酒は,米が前面に出てこないから,かえってあっさりしているように思う。

また,アミノ酸の甘みの強い京都の伏見の酒に比べると,対象をなしているのだが,北海道の塩鮭をなめながらこれを飲むと,あとはなにもいらない。

少し冷やして。

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年越し蕎麦

年越し蕎麦

何故蕎麦で年越しなのかよくわからないのだが,今年は鶏南蛮を作った。

トビウオの干したもの=アゴ出汁
鰹節
昆布
醤油

砂糖少々

それだけで出汁を造る。みりんは入れない。

蕎麦は,比叡の蕎麦。

地鶏のモモ少々。
あとは九条葱。

黒七味を少々。

腹を満たして,年明けに臨む。

嗚呼,また年が明ける。

{link=http://www.youtube.com/watch?v=FQ8_SUeNk7s}{/link}

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六月は新生姜と山椒の季節

鮨,寿司,うまいすし,ラーメン,うどん,そば,美味いもの,グルメ@京都情報大学院大学

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六月は新生姜と山椒の季節

山椒

六月,スーパーに行くと,新生姜と山椒の実が売られている。
新生姜は薄くスライスして,塩でもんで,酢につけておくと,一年くらいは持つ。砂糖は入れず,塩と酢だけで漬ける。そうするとさわやかに辛く,まさに薬味として機能するからだ。砂糖を入れると料理の味を殺してしまうので,入れるとしてもほんの一つまみに留めておく。これはかの吉野鮨の大将に教えてもらったレシピなのだが,寿司の付け合せは勿論,カレーの薬味として,これほど合うものは無い。美味いカレーにこの生姜を合わせると,また新しい次元に行けるのだ。いわゆる紅ショウガの代わりにも,もちろんベターである。毎年,新生姜が出ると,大量に漬け込んで,冷蔵庫に常備しておくようにしている。

同じ頃には山椒も出てくるので,同様に大量に買い込んで,佃煮にする。
山椒は小粒でピリリと辛いと言うが,このように新鮮な緑の山椒は,一粒で汗が流れるくらい辛い。

これも砂糖は一切,入れない。みりんも入れない。塩と醤油と酒だけで,昆布とともに煮ふくめる。昆布は北海道のものを,ミキサーで粉砕して,混ぜ込んで煮る。そうすると,見た目には緑色の残る山椒だけの佃煮に見えるのだが,食べてみると昆布が効いている,というところが我流である。

これはご飯のお伴にも良いし,冷奴の薬味にも良いし,サラダのドレッシング(つまり,酢)にも合う。味噌汁やうどん,蕎麦,鍋物に入れても美味いのは当然だ。意外だが,とんかつソースやお好み焼き,焼きそばにも合う。

生姜も山椒も,それぞれヒリヒリと辛いけれども,それを食して汗して身体の発汗性を高め,己を夏仕様にセッティングしなおして,明日に挑むわけだ。

どちらも六月の梅雨の中で,次の一年分を仕込む。酢生姜は冷蔵庫で保存し,山椒煮は小分けして冷凍しておく。

京都の,否,日本の,伝統的な食材,保存香辛料である。

写真のように,ほんの少し盛る程度で,一人前以上。体を活性化するためのブースターである。

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バルサミコのダイエットステーキ/家庭でイタリアン

バルサミコのダイエットステーキ

いくらダイエットだからといっても,タンパク質は食べた方が良いし,肉も食べた方が良い。そこで,最近凝っているチキンやポークのステーキを紹介したい。牛肉よりは胃に軽いし,胸肉やフィレを使うと脂肪分も少ない。そして,なによりも,簡単である。

一応,イタリアンである,と思う。

肉は,鶏肉の胸肉でもいいし,もも肉の開きでもいい。豚肉もイケるから,とんかつ用のロースや肩ロースでもいい。

材料
鶏肉 胸肉300g程度,ももの開きならば一枚。豚肉だととんかつ用のロースや肩ロースを二枚分くらい。

塩 にんにく ブラックペッパー バジル
バルサミコ酢
ローリエ(月桂樹の葉5枚程度)
オリーブオイル

鶏肉でも豚肉でも良いが,塩と胡椒をふりかける。鶏の胸とか豚のフィレを使うときは,すこし塩を強いめにしておく。

肉300gに対してニンニクひとかけらをスライスする。それを,フライパンで,ローリエとともに,オリーブオイルで軽く炒める。

オイルにニンニクやローレルの香りが移ったら,塩コショウをした肉を入れる。しばらく片面を焼く間に,ニンニクスライスやローレルが焼きすぎにならないように,肉の上に移す。

肉を反転させる。そのときも,ニンニクやローレルが焦げないように,肉の上に乗せる。

バルサミコ酢を振り掛ける。量はお好みで。
バジルもふりかける。好きなだけ。
酢の揮発成分が飛んでいくように,蓋はしない。

しばらく加熱して,肉に火が通ったらできあがり。バルサミコの甘みが残り,実に美味いステーキになる。
材料に凝る必要もないし,簡単なので,各家庭の味を追求していただきたい。

なぜ最近凝っているかというと,焼き方で美味さがかなり変わるからだ。肉質はジューシーでしっとりと,表皮はカリッと焼きあげるのがコツといえばコツ。塩と胡椒と酢の割合で,微妙に味わいが変わる。かといって,失敗してもまずくはない。



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新生姜

新生姜

新生姜

スーパーに新生姜が出ていた。
写真のパックで300円弱。
新生姜は,いわゆる土生姜(ヒネ生姜)よりも,さっぱりしている。

新生姜が出ると,できるだけ多く買ってきて,酢漬けにする。
薄くスライスして,塩でもんで,塩を流さずにタッパーなどに入れ,そのまま酢をかけて,冷蔵庫で保存する。一年以上持つ(たぶん)。
カレーの付け合せにはこれが一番だし,他の料理の付け合せにしても良い。

あるいは,薄くスライスしたものを砂糖で煮て,砂糖漬けにしても良い。

そのままラップで包んで,冷蔵庫に保存すると,使うときに凍ったままおろせばよいだけだ。

「新生姜は,大きいから使いきれない」,などと思わずに,出たときに一年分,買い込んでおいて,さまざまな方法で保存しておけば良いというわけだ。

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鯉の丸揚げ甘酢がけ

鮨,寿司,うまいすし,ラーメン,うどん,そば,美味いもの,グルメ@京都情報大学院大学

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鯉の丸揚げ甘酢がけ

鯉の丸揚げ

昔から中華料理の華のひとつとして,日本でも有名な鯉の丸揚げである。
甘酢をかけてある。

鯉は淡水魚の中でも非常に強い魚で,少々の環境汚染でも生きているし,水から揚げてしばらくしても生きている。養殖池の管理が悪くても元気に育つから,いい加減な養殖が一般化したのだろう。また,川で釣れた天然ものでも,川がすでに汚染されていることが多いから,大抵の淡水魚は臭い。それで,鯉は臭い,という思い込みが蔓延したのだろう。

鯉であろうと鰻であろうと,綺麗な水で育てると,臭みもなく美味い魚になる。中華料理で鯉が有名なのは,昔は,どこの川も汚染は無く綺麗だったから,そのような川で育った鯉が美味かった,ということだろう。

日本でも,変な誤解を解いて,綺麗な水で育成するように養殖環境を整えて,新鮮な鯉の大量生産をしたら良いと思う。冷凍戻しのマグロよりもよほど美味い筈だ。また,養殖環境をきちんと管理すると,寄生虫の心配も無い。刺身や洗いでも安心して食べられるようになる。

写真は中国の大連で食べたものだが,臭みが一切無くて,本当に美味かった。

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経済的晩飯 もやし

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株価が8000円台になり,1ドルが80円台になった。

リーマンショック以来,もやしが流行っているという話を何度か聞いた。美味い食べ方は何種類もあるが,簡単なのを・・。

①中華風モヤシ炒め
中華材料の問屋に売っている鶏がらスープの素。化学調味料の入っていないのがあるから,できればそれが良い。
ニンニクと胡椒と,モヤシ。醤油と酒少々。できれば本葛,なければ片栗粉少々。

油を熱し,ニンニクを炒める。モヤシを入れて炒める。酒を振り入れる。醤油をたらす。水分が出てきているはずなので,その水分で水溶き葛か片栗粉を入れて,からめる。とろ~りとしたスープがモヤシを別の一体に成す。

②モヤシの洋風炒め
肉を焼いた後のフライパンを洗わずに,そのまま使う。肉の油脂を利活用する。
ニンニクを追加して炒め,そこに塩コショウを追加する。
あればバルサミコ(ワインビネガー)かワインを入れる。牛脂とワインビネガーが混ざると,甘くねっとりと美味い。

③モヤシ飯
モヤシを,米粒の長さくらいに切る。それを炒める。水分が出てくるので,出てきた水分は別に取り置く。
冷や飯を,ニンニクを効かせて,炒める。
ある程度炒めたら,モヤシと混ぜる。
モヤシと飯の比率は半々くらいでも良いと思う。
味付けは,中華材料の鶏がらスープ,ブイヨン,バター,なんでも良い。その日の気分で決める。これはイケル!と思ったら,別に取り分けたスープにも醤油を入れ,それなりに仕立て上げる。

④モヤシのカレー炒め
レトルトのカレーでもいいし,昨夜の残りのカレールウでも良い。モヤシを油で炒めて,それを混ぜる。

色々,試していただいたら・・。

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グルメの経済効率 その2

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グルメの経済効率 その2

日常,家庭で経済的に美味いものを食べるための方法論は,百家争鳴だ。筆者の方法論を少し書いておく。

近所のスーパーで売られている味噌,醤油は防腐剤のたっぷり入ったものが高価である。醤油や味噌は,醸造元や製造元から直販の,廉くて美味いものを買うようにする。酢も醸造元から大びんで買うと廉い。通販してくれるところを押さえておく。

香辛料はスーパーで買うと凄まじく高い。15g程度の小瓶で数百円から,エスニック系のスパイスだと1000円近くするものもある。従い,調味料,香辛料の類は,できるだけ業務用を卸問屋で買う。最近はネット通販で業務用を買うことができるので楽になった。
家庭ではあまり消費しないからといって,小分けしたものにするから高くなる。例えば,ブラックペッパー・ホワイトペッパーは,500gくらい入った業務用だと1200円くらいで買える。これを,親戚と分けたりすると安上がりだ。
カレーに使用するクミンやカルダモンなどになると小瓶が凄く高いので,絶対,業務用を買うようにする。この手の香辛料は小分けにして冷凍しておけばよい。

蕎麦,うどん,素麺などの常備乾麺も,最近は美味いところのを通販で買うことが多くなったのだが,これも業務用だと安上がりだ。

インスタントラーメンは最近はあまり食べないが,カップめんよりもパックの方がきちんと料理すると美味く仕上がるので,パックを複数ブランドで常備していた。インスタントラーメンは,異なるブランドを混ぜると,結構美味くなったりして,楽しめる。

常備食材については,食べたいものを優先せずに,そのとき廉いものを優先して買うのは当然だろう。定番は,もやし,ネギ,ニンニク,豆腐,玉子くらいか。最近は菌床栽培の茸が廉いのでありがたい。ジャガイモと玉ねぎも,廉いときには多い目に仕入れる。他にはキャベツやきゅうりも普通の値段かそれ以下のときには常備野菜になる。

京都や滋賀では,少し郊外に出ると,農家が野菜を直販している。そういうのは新鮮で廉いから,休みのときにはできるだけ買いに出るようにしている。

牛肉は国産の霜降りよりも,オーストラリアやアメリカの赤身が好きなので安上がりだ。グラム100円程度だろう。国産でも赤身のモモ肉にすると廉いし脂肪も少ない。シチュー・カレー用というような赤味の硬い肉で,その日の見切り品で半額とかいう少々古いドドメ色のを選ぶと,丁度熟成が進んでいて,たいへん美味い。サイコロステーキにするには,これが一番だ。

鶏肉はせせりという首の肉が一番美味くて,日本では一番廉い部位になる。広東とかガーナなどに行くと,首の肉が一番高いのだそうだ。農家の庭で走り回っている鶏が一番美味いのだが,せせりはブロイラーでも結構いける。軟骨と並んで,美味いのに廉い部位である。

豚肉はバラの塊を買って家で切ると,中身がフレッシュで良い。豚肉は生姜と醤油と酒だけで生姜焼きにすることが多い。豚足は廉くてコラーゲンが多いので,健康のために月に一回は食べている。煮て脂肪を落として,酒と醤油とニンニクとショウガで味付けすると,しばらくは持つ。

多くは冷凍になるが羊肉も廉くて美味いので時々食べている。いずれの肉も,塩コショウとニンニクだけで網焼きにすることが多い。そして塩焼きの肉の付け合わせには,もやしを山盛り炒めて添える。化学調味料の入っていない鳥がらスープの素などで炒めると,奥深い味わいの付け合わせになる。

肉は数日に一回くらいしか食べない。たんぱく質を欲するときは,コレステロールを気にせず玉子焼きを食べることが多い。目玉焼きや出汁巻きにしている。これらについては,うんちくがあるので,また別稿で。

京都では魚が不味いので,街中ではまず買うことはない。そのかわり,海辺の卸商や大阪の卸商の近くまで出かけたときには,必ず魚を買って帰る。そういった卸商では,閉店間際になると,天然のヒラマサの80cm大のが2000円とかになる。ヒラマサ,ブリ,カンパチなどの大型の青ものは,冷蔵庫でしばらく寝かした方が美味くなるので,こういうのを一本買ってきたら,しばらくは持つ。タイやサバなども切り身ではなく,丸ごと買う。いずれも頭から骨まできちんと料理して食べてしまう。

京都のスーパーで買う唯一の魚が,サンマであり,魚は,サンマが一番の好物だ。今年はサンマは不漁で高いが,サンマだけは冷凍戻しでもヒラキでもそれなりに食べている。一本100円から150円くらいか。

イワシの丸干や塩鮭などは,乾物卸商で扱っているところがある。そういうのは,順番に買って食べて,これは美味い!と思ったら,そこから買うようになる。そうなると,スーパーに並んでいるものは絶対買わなくなる。卸値と送料とあわせても,スーパーの値段の方が高い。

だいたい,日常はあまり凝ったものは食べない。そうしておくと,ここぞというときに凝った料理の美味さが強調されるからでもあるが,中途半端に凝ったところで,たいした感動は無いからだ。

歳のせいもあって,素材の味を楽しむためにも,あまり面倒で中途半端な味付けなど無い方が良いと思うようになってきた。健康のことも気遣って,素材は廉くて美味いものを選ぶようにして,できるだけシンプルな料理にしている。

そして,鮨だけは,絶対に家で再現できないから,四季折々年に4回,独りで鮨屋で大枚を支払う。つまり,その4日間のための罪滅ぼしに,日常をシンプルに過ごしているということでもある・・。

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グルメの経済効率

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グルメの経済効率

こういうブログを書いていると,「食にずいぶんな金を使っているだろう」とか,「贅沢だ」とか,挙句には,「色々なものを食べてお金持ね~」などと嫉妬と揶揄の入り混じったような,わけのわからない羨望を浴びたりするので,念の為,書いておく。

結論から言うと,「美味い物を食べるには金が必要だ」,「お金があると美食できる」などと思っている人々は,さらには,「金が無いから美味いものを食べることができない」などと信じている人々は,いくら経済的に恵まれても,一生,美味い物を食べることはできない。

美味いものは,値段とあまり関係が無い。第一に,味覚は,幼いころから学習した結果と,その場と言う環境と,身体の状態(空腹かどうか,健康か否か,等)の関数である。そして第二に,「高い店だから美味い」とは限らないし,「廉い店が不味い」わけではない。つまり,美味い物を食べることや,美味い物を知ることと,その対価や当人の経済力とは,全くの無関係ではないけれども,実はあまり関係が無いのである。

大事な事は,「知識と情報を得ながら」,「五感を開いて認識しながら」,「考えながら」,「想い出しながら」」「どのような機会であろうと食に対する情熱を絶やさず」,「より美味いものを目指す向上心」を持って,食に対峙しようとする日常の態度である。

筆者が美食と経済効率を考え始めたのは中学の頃だった。在日の親友がラーメンの食べ歩きを教えてくれて,彼とともに自転車に乗って美味いと言われているラーメン屋を行脚しはじめたのである。ラーメンは庶民の食べ物であり,屋台のそれはいわばどん底の食べ物と言っても良かろう。多くの店を食べ歩きながら,その味の違いを知り,その奥底に潜む味のバランスを考え始めたのだった。

そして,家にある,ずっと廉いインスタントラーメンと比較しながら,どうしてあの屋台のラーメンはあんなに美味いのか,事あるごとに考えていた。腹が減ると,家の冷蔵庫にある残りものを,どのようにして食べれば美味いのか考えながら,インスタントラーメンにも胡椒やネギやニンニクを入れたりして,少しでも美味く食べようと努力を重ねた。つまり,中学の頃から,美味いものを食べるためにはどうしたら良いのか,「考え」始め,「行動」し始めたのだった。

きっかけはもう少し遡る。小学校の中ごろに,親戚に飯盒炊爨に連れて行かれた。今で言うと,野外のバーベキューみたいなもんだ。叔母が飯盒で飯を炊き,そこにレトルトのボンカレーを混ぜ入れた。カレーというものはメシとルウを別々に盛るものだと思い込んでいた小学生の筆者は,その混ぜメシを観たとたんに嫌がった。それを叔母に,「こういうところで食べるとなんでも美味しいのだ」とたしなめられたのだった。

そして,実際に食べてみると,それはとても美味かったのである。そのとき,食物は,環境と腹のすき具合によって左右されるものだと思い知ったのだった。見た目と実際の違いもそのとき理解した。味覚は複数の変数を持つ関数だということが,朧げながらわかったのだったと思う。

その後,中学生のときに,家には誰もいなくて,冷蔵庫には素材以外は食べるものが無く,台所にパンの切れ端だけがあった。昼下がりに,そのパンの切れ端だけを何もつけずに食べながら,ただのパンだけでもこんなに美味いのかと感じ入ったことがあった。そのとき,小学生のときの飯盒のカレーを思い出したのだった。

高校を卒業する頃から,当時は数少なかったグルメ本を読み始めた。当時,街の本屋に普通に並んでいるグルメ関係の本は,立ち読みで,ほぼすべて読んだと思う。開高健の「最後の晩餐」や,例の作者の「美味礼讃」など有名作品は,古書で買ってきて何度も読み返した。

書物から得る知識と,実際に食べてみる目前の食物との乖離を考え始めたのはその頃だ。もちろん,幼少のころから学習した結果である自分自身の味覚の嗜好性・志向性も考え始めた。素材の違いと料理手腕の違い,それらにどのようなバリエーションがあるのかも考察の対象になった。

そして,古今東西あれこれの文章に書かれている夫々の食物を,実際に可能な限り自分で食べてみようとした。スーパーに並んでいるのを見つけたときや,なにかのきっかけで産地にいったとき。あるものを食べたら,書かれた文章を思い出し,その違いや本質を考えたのだった。

若ければ誰もが知るように,「腹が減っていたらなんでも美味い」ということや,「腹が満ち足りても美味いと感じるもの」,さらには,「腹が満ち足りているときに,さらに食べたいと思うもの」と,「本当に美味いから食べたいと思うもの」との違いなど,書物を読みながら,あれこれ食べながら常に考えた。

つまり,喰らうことへの情熱が人一倍あったのだろう。友人のものの食べ方を観ていると,単に腹が満ち足りることが美味いということなのだろうな,と思われることが多々あった。また,友人といっしょに別の日に何か同じ料理を食べたときに,「先日のアレと,今日のコレとどちらが美味いか」という議論をしたことも何度もあった。

そういったことを話し合った中では,どちらも美味い,としか答えない,あのときは腹が減っていたから美味かったと言う,こちらの方が美味いと言うが,なにが違うか説明できない,等々,様々な回答があったが,名著に書かれているような,明確な分析の議論にならないのが大半だったのである。そういった多くの人たちは,舌に記憶が残っていない,あるいはそれほど大事に考えていないのだということがわかってきたのだった。

その頃食べたものは,屋台のラーメンやインスタントラーメン,居酒屋の焼き鳥と肉屋で買ってきて自分で焼いた焼き鳥の比較などであり,決して高いものではなかった。その他には,海岸の魚や山地の果物などは,たまたまその地に行ったときには,必ず,美味そうなものや店を探し,語られ書かれているものや店を選んで食べた。海鮮ものは,自分で釣るか,海辺の卸問屋で買うくらいだったが,それが家の近所のスーパーで売られているものとどのように違うのか,常に比較分析していた。

そうして,食べて考えて,舌に残る記憶と比較しているうちに,なにかひとつを食べたら,舌にその味の記憶が焼きつく度合いがだんだん強くなっていったように思う。この味を忘れずにおこうと思う意思や,この味には何が含まれているのか分析しようとする態度,そして,記憶を辿りながら面前の味と比較することなど,それらはその気にならない限り,無頓着に終わってしまう行為だが,その気になってそうして食べていると,味覚は鮮やかに記憶に残るようになってきたのだ。

一方で,書物やテレビなどから得た情報で,それを食べたいと思うことは,当然よくある話だ。そこで,例えばテレビを観てある食物の情報を得た後,近所のスーパーで買ってきた類似物を食べると大抵の場合は失望するものだ。マグロを食べたいと想い,スーパーで買ってきたマグロを食べること,ラーメンと食べたいと思い,カップラーメンを食べること,それらは類似の行為ではあるが,本質的に,徹底的に異なることだということが解ってきた。

そうすると,店に行くより廉いカップラーメンならばまだしも,スーパーに並ぶマグロの冷凍戻しや寿司の贋作に大枚払うことが愚かであることくらいは解ってくる。贋作の寿司に500円払うくらいなら,キャベツを刻んで喰って腹を満たせばそれで良いかという気になってくる。そして実際,一皿100円の冷凍戻しマグロを数十回食べることと,一口数千円のマグロの鮨を一回だけ食べることと,どちらが本当の満足を齎すのかを比較したら,普段一皿100円の贋作の鮨を20回~40回食べると,美味い鮨屋で一口数千円の本物のマグロと同値段だということくらい解ってくる。

20回~40回,失望を繰り返すよりも,たった一回の満足の方が良いに決まっている。そういった贋作による失望の度合いや回数と,本物によるたった一度の満足度の度合いの関数を認識すると,当然のことながら経済効率は上がる。

なんであれ,本物の美味いものに出会うためには,努力を惜しまないことだ。旅行に出かけて,途中に美味いものがあるということを知ったら,到着時間を遅らせてでもそれを食べに行く。出張の途中で,これは食べておきたいと思うものがあれば,訪問先で出された昼食を半分以上残してでも,それを食べに行く。そういうことを繰り返していると,全国,全世界の名品の産地で,極上とまでは行かなくとも,それなりの一品を食べることができるようになってくるものだ。

海外旅行に出かけても,その地で一番美味いと言われるものを食べるように努力する。「そうでないものは食べない」という意思があると,結構美味いものにありつけるものだ。現地の多くの人と食べ物のことを語り,美味いもの,美味い店を教えてもらう。教えてもらった限りは,それを食べる。

どこかに出かけるときは,その日そのとき,その地でなにを食べるのか,あらかじめ調べて,考えておく。とにかく,事前調査なしに食べるということをしないようにすると,かなり食生活は変わってくるのだ。また,関東に出かけていながら,関西の食べ物を欲しない。アメリカで日本食を食べようとしない,などという心掛けも大事なことだ。今いる此処で,一番美味いものを食べるようにする。

そういうことを繰り返していると,「経済力があれば,美味い物を食べることができる」などというのは,ただ単に,愚かな想いこみであることくらいはわかってくる。
座っていて高い金額を払う準備だけがあっても,美味い物は簡単に目前には出てこないし,高い店が即ち美味い訳では絶対にない。無一文では何も買えないが,いくら金があっても知識なしに美味いものを食べられるわけではないのだ。

書物やテレビで得た情報に影響され感化されて,近所のスーパーで似たようなものを買ってきても,それらは決して同じものではないし同じレベルの美味さではない。

高いマグロを食べる金がないからといって,スーパーに並んでいる冷凍戻しのマグロを買ったところで,それはタダの「偽物喰いの銭失い」以外の何物でもないのである。

グルメで大事なのは,偽物に惑わされない意識と,本物に対峙した時に分析しようという意識,即ち,本物を見極めて本物を楽しもうという人生態度だと思う。それは金で買うことのできない,自分自身の努力なのだ。

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