☆浦嶋物語-2

 『万葉集』巻九には高橋虫麻呂作の「詠水江浦嶋子一首」として、浦島太郎の原型というべき長歌が載っています。後半はほぼ同じですが助けた亀に連れられて行ったのではありません。

水の江の浦の嶋子がで海神(わたつみ)の娘(亀姫)と結婚し常世にある海神の宮で暮らすこと3年、帰ってから土産にもらった玉手箱をあけると、彼は白髪の老人の様になり、ついには息絶えてしまった。

また『日本書紀』には出発は「雄略天皇二十二年秋七月」のことと書かれていますが,その記述は非常に短く,詳しくは別巻(ことまき)でということで終わっています。重要なのはその別巻(参考文献)である『丹後風土記』で随分詳しく書かれています。やはり後半はほぼ同じですが、主な相違点は

・主人公は丹後の国,与謝の郡,日置の里,筒川の村に「筒川の嶼子(しまこ)」別名「水江の浦の嶼子」という容姿端麗で優雅な男で、その地の有力者の息子であること
・亀姫が彼に一目ぼれして五色の大亀となって近づき、彼にモーレツに求愛し,海の彼方にある蓬山(とこよ)の国へ誘うこと
・彼女の実家は大宮殿で、迎えた「7人の童は昴星で,8人の童は畢星」であること
・お爺さんになった彼は首をめぐらしてたたずみ,涙にむせび,うろうろ歩き回るばかりだった・・・で終わっていること。

これがオリジナルです。はたしてどう解釈すべきでしょうか?その謎を解いていきましょう。

comments