☆武器なき兵士~陰陽師


 京都は都としては最適の地形だそうです。北に行くほど高く(北上南下)、大きくもなく小さくもない川が流れ、火山・台風・洪水などの天災はなく(地震はありますが)、この平坦な盆地に数十万人が収容できます。1200年前こんな地は他になかった。

 中国やヨーロッパの都には堅固な城壁があります。そして精鋭の近衛兵が守っています。王宮皇帝の守備兵と言えばエリートですね。ところがこれらが存在しない唯一(かどうかは知りませんが)の例外が平安京です。三方を山(低い!)に囲まれているとはいえ、入り込む道はいくらでもあります。また近衛兵はどう見ても強そうにはないし、左大将、右大将はとうてい武人とは言えません。

 平安時代は内乱も外寇もなく、さらに事実上死刑も廃止されていた(最高刑は流罪で、切腹・打ち首は武士の世になってからです)ほど平和だったから武力での守備は不要だったのでしょう。でも誰がが守っていたはずですがそれは誰?

 雲上人にとって坂東や西国から外敵が侵入して来るなんて想定外、それよりも怖いのは流刑地で死んだかつてのライバルの怨念が都に戻って来ること、それを退散させるのは加持祈祷、したがって必要なのは祈祷僧や陰陽師ということなのでしょう。目に見えない呪力の砦を都の周囲に張りめぐらして平安京を守っていた武器なき兵士・・・それは陰陽師だったのです。その役割は明治初まで続きます。

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