☆ 昔、地球は暑かった?寒かった?(4)

 小氷期の前には中世温暖期があります。約1000年前のこと,バイキングが活躍してグリーンランドを発見しました。そこは緑の大地で,彼らはさらにカナダまで渡ったそうです。しかし入植者たちは次の小氷期のため撤退全滅してしまいました。日本では平安時代の後半から鎌倉初期ですが、暑かったという証拠は見つかっていないそうで、ひょっとすると北大西洋あたりのローカルな現象かもしれません。この温暖期には世界的な戦争や大帝国がないのは,食料が充足してそんな必要がなかったからかも?
 その前,4世紀~8世紀ころ寒冷期があり、その時は北ユーラシア全体で民族大移動が起こっています。匈奴が西へ移り、それに追われてフン族がさらにゲルマン諸族がローマ領内へ侵入しついにはローマ帝国が滅びてしまう。これ、元はといえば寒さのせいです。
 でも最大規模の民族大移動、世界帝国の出現は13世紀のモンゴルですが、そのころモンゴルの草原・ゴビ砂漠は寒かったのかどうかは知りません。

 以下次項

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昔、地球は暑かった?寒かった?(2)

 地球温暖化が問題になったのは1990年代になってからで、70年代にはむしろ寒冷化の議論がなされていました。最後の氷河期が終わった12000年前から現代まで、気温の大きな変化としては、約7000年前に高温のピークがありその後は徐々に温度は下がっています。もちろん小規模な変動はたくさんあります。その中で温暖期には人間の活動が盛んで、文明が発達するといわれていましたが、そうでもないようです。四大文明の発生期や西欧人が世界の海へ繰り出していく時期はむしろ寒冷期です。
 またアフリカで発生した人類が、アメリカ大陸まで行けたのは、明らかに当時は陸続きだったからで、海面が低かった氷河時代のことです。まさかアメリカ大陸まで海を泳いで行ったわけではないですね。これは数万年前のことで、日本列島へ来たのはもう少し前の寒冷期らしい。最後の氷河期が終わってからは海面が上がり孤立しますから、船が発明されるまで渡来はないはず。

 われわれの先祖は寒さをどのように克服して来たのは次項で

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昔、地球は暑かった?寒かった?(1)

 去年の今頃40度を越す猛暑だったのと,その後天津でヒマだったのがきっかけで,長期的地球の気温変化に関心をもち,いろいろ調べています。生命が生まれて30億年あまり,何回も絶滅の危機に見舞われました。地球全面が氷雪に覆われたこともあり,小惑星の落下で天下無敵の恐竜があっけなく全滅したこともあります。人類も何種類かいたのに,数万年前にはホモサピエンス以外はすべて滅びました。
 数千年前サハラ砂漠には川や沼がありカバが住んでいました。一方,北ヨーロッパは寒くて人が住めるところではありませんでした。1000年前グリーンランドは緑の島でした。ナポレオンの時代は寒冷期だったので、ロシア遠征は失敗でした。
 人類の歴史を動かしているのは神、天才、英雄たちの力でも、経済生産の力でもなく、気候の変化が最重要という説が有力になりつつあります。そしてこの源は地球の軌道変動、太陽活動、さらに銀河宇宙線・・・と話は広がります。

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戸塚洋二博士ご逝去

ニュートリノ研究の第一人者、戸塚洋二博士が亡くなられた。ノーベル物理学賞受賞の最有力者だったのに残念。故人には与えられません。「ニュートリノに質量があることを突き止めたことは素粒子物理学における一大発見とされている。」と言われても??、物に質量があることは当たり前やんかと思いますよね。ところが質量がなぜ生じたのかが難問らしい。ニュートリノ、それは摩訶不思議な粒子(?)ですが、質量はあった。
  質量ゼロのもの・・・・それは光デス。

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地球温暖化

 現在、花山星空ネットワーク(天文普及ボランティア)の定期発行(でもないが)小冊子の編集人をやっています。先日、依頼していた原稿が届きました、それは地球温暖化の原因は太陽活動かもという説を紹介した内容です。もちろん二酸化炭素説が多数派ですが、これにはまだ反対論もあって定説とはいえないそうです。反対論者の中にはオーロラ研究で世界的権威であるred先生(daさんご存知ですね)をはじめ、国内外の有名人が多いことにはビックリしました。ここでは紹介しきれませんので、この冊子が月末にできたら、ご一読を。
 いずれにせよ、省エネは必要です。石油は2050年までもたないでしょう。40年前からあと40年と言われてきたけど、この40年間に新油田がみつかった。しかしそろそろホントにあと40年という時期です。

 昨年の夏、天津からこれについていろいろ書きました。
今年は暑かった
6000年前海面は
氷河時代にも

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講演会

kyuhaku

[2008年春季企画展]京の宇宙学 より

今日は京大博物館へ講演会に行ってきました。現在ここで京の宇宙学-千年の伝統と京大が拓く探査の未来-という展示が行われています。このポスター、daさんはご存知、というのも失礼かも、ですよね。講演タイトルは「超新星と京都1000年の散歩」、講演者のK先生は著名な物理学者ですが、歴史が大好きという文理両道の方で、ワタクシメとも多少(というより僅少)の知り合い。星の爆発・ブラックホールと平家物語・藤原定家の歌が一緒に出てきて面白かった。出席者は例にもれず、マジョリティは60代男性です。このころの講演会には若者が少ないのがややサビシイ。
KCGの秋の天文WSでは講演会+PC実習会+観望会(望遠鏡 or プラネ)をやる予定です。お楽しみに

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お正月の読書感想文その2

見えないもので宇宙を観る―宇宙と物質の神秘に迫る〈1〉 (学術選書)

 私たちは大昔から星空を眺めてきて、望遠鏡という強力な道具を手に入れてから今年でちょうど400年です。それによって宇宙の認識は大きく変わりましたが,限られた波長域でしか理解していませんでした。ところが1960年代後半からX線や赤外線は宇宙の活動や太古の姿を生き生きと明らかにしてくれました。見えるはずがないといわれたラックホールが見えたり,逆に見えたものが虚像だったり・・・宇宙の広さは私たちの固定観念を打破してくれました。
この本は3人の先端宇宙物理学研究者の講演をもとにしてまとめられています。物理を学んでいる人,学んだ人,また学んだけど忘れた人にもオススメです。
ケド難しい

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森と文明

森と文明の物語―環境考古学は語る (ちくま新書)
 お正月休みの読書感想文です。13年前の本で、環境問題の提示としては先駆けでしょう。世界中のほとんどの文明は森林を切り開いて(破壊して)生まれ、滅んでいった。今は砂漠と化した中東地方はかつてはレバノン杉が生い茂っていたそうです。ヨーロッパでは森は狼や悪魔や棲家で征服すべきものと考えられてきた。アメリカ開拓もその勢いで行われた。そういえば中国の黄河流域もそうです。
 森を大切に守り、自然と共生を習慣にしてきた日本(1万年前から引継がれている文化)は例外だそうです。筆者は植物学者らしく客観的なデータが示されています。細部の賛否はともあれ、文化・歴史を新しい視点から眺めているので面白かった。 

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天文教育研究会近畿支部集会に

本日、大阪市立科学館で行われた天文教育研究会近畿支部集会に行って来ました。この研究会の会誌の編集委員としてまた、自分の関わった活動についても報告してきました。もちろん11月17日の天文ワークショップについても。下記の写真もスライドに入れて。来年は誘致しようかな、45周年記念行事の一環としてさまざまな学会・研究会・カンファランス・フォーラムなどを共催で行いましょう。
天文WS

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殷周の物語

王家の風日 (文春文庫)
 だいぶ前に読んだ本ですが、実に面白かった。中国史上で典型的な暴君と言われる受王(紂王)を生き生きと描いています。ただし主人公はその叔父で高潔な箕子です。彼は殷が滅びてからは朝鮮に逃れたそうです。紀元前11世紀の話で,ボクはその年代特定を天文記録から試みています。
今朝の読売のコラムに紂王の象牙の箸という贅沢な話が載っていてこの本を想いだしました。詳しくは11月祭で

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