最高エネルギー宇宙線、地球に近いブラックホールから飛来というニュースが出ていました。えぇ~なんやろと思いよく読んでみると実はその飛来方向は特に強い電波などを放射している「活動銀河」に近いことが確認されたという。観測された最も近い飛来源は、ケンタウルス座にある銀河「NGC5128」だった。NGC5128は50年前からとかく天文屋の噂に上る銀河で、強力な電波・X線を発しここ100万年間に何回か爆発を起こしている(もちろん現場を見たのではないが)銀河です。南半球にあるので日本からは見えないが、見えたらきっとボクも観測しています。その銀河の中心にあるブラックホールによって加速されたということがこの記事の結論でしたが、銀河中心のブラックホールなんて今やあってアタリマエです。
正確にはブラックホールから飛来ではなく活動銀河の中心から飛来とすべきですが、これじゃニュースバリューが落ちるのかな。
YahooNews
「星々」カテゴリーアーカイブ
星の終末と私たちの前世
(http://www.nasa.gov/multimedia/imagegallery/image_feature_314.html)
みずがめ座のらせん状星雲とよばれる有名な星雲です。中心星からガスが噴出しているように見えますが、実際そのとおりで、星の終末の姿です。太陽も50億年後にはこうなるでしょう。膨れ上がった赤い表面からガスが流出して、星間空間に広がっていきます。拡散したガスは数万年後にはわれわれの眼には見えなくなってしまい、銀河の中を漂いながら、いつかどこかで、収縮し次世代の星を作ります。ということはわが太陽もかつてどこかの星から噴出したガスから作られたのです。地球も地球上の生物もみなそうです。人は死んでお星様になるというのは逆で、実は私たちは前世にはどこかの星にいたのです。
ーーーなんてことをある講演会で話したら、終わってから真剣な眼差しで質問に来られたおじいさんがいました。いやいやいや、もののたとえは慎重に話すべきですね。
今夜は見えぬホームズ
皆々さま、11月祭おつかれさまでした。来年は45周年ですからこのイベントももっと盛り上げないと、ですね。11月祭中は夜もいいお天気でしたが、今夜また曇ってしまいホームズ彗星は見えません。彗星観望は最良は夜明け前で、次いで日没後というのがフツーです。真夜中に彗星が見えること自体珍しいことです。今、彗星は太陽と反対側にあり、尾は太陽と反対側にかなびきますから、最も見えにくい状態です。すなわち今は彗星を正面(頭)から見ているわけですね。今後、尾が見えてくるかもしれませんが、次第に暗くなっていくでしょう。ただしサイズはまだまだ大きくなるそうです。あと2週間くらいは見えるでしょうから、この際ぜひご覧ください。
ホームズ彗星の位置
プロフィールの画像を小惑星軌道からオリオン星雲に変えました
今夜のホームズ
見上げてごらん、首は痛いが。
ただ今ほぼ天頂に見えます。おとといより少し広がって「星」でないことは裸眼でもわかる。滋賀の星友さんからもらった画像(原画は上記の4倍)では尾がないだけで,彗星らしくなっています。双眼鏡では芯らしきものが見えますが,あれは核でしょう。その正体は雪の塊。11月祭のプラネタリウムで「今夜は見えるでしょう」と言ったのでホンマに見えてホッ!明日のセリフは「見えた見たぞ」。
なお東の空に昇ってきたすごく赤い星は火星です。来月中旬に最も接近します。
最新画像
ついに見たぞホームズ君
今ホームズ彗星が見えています。裸眼でもわかりますから、スグに外へ。
双眼鏡では球状星団のように見えます。天頂近くでボーとしてますが、詳しい星図は下記にあります。
星図,
ホームズ彗星40万倍の大増光
ホームズ彗星は
ホームズ彗星大増光
ホームズ彗星が大増光したことが話題になっています。今月23日に17等前後だったものが,25日には2.8等級となって,わずか2日ほどの間に14等級(40万倍)も増光したということです。現在ペルセウス座にあり,晴れたら肉眼でも見えるはずですが,あいにくと今夜も雨ですね。
一口に40万倍というが,要するに缶コーヒーの値段がマンションの値段まで釣り上がったということです。原因不明のバーストで一時的に明るくなった、多分1週間か10日でまた元の暗さに戻るでしょう。この彗星は19世紀末にも同じようなことを起こした前歴があり、彗星のバーストはそんなに珍しいことではありません。やっぱ宇宙は広いわ、人間社会では考えられないことが起こるもんです。
鹿児島せんだい宇宙館
へびつかい座
太陽・惑星が天空上を通る道を黄道といい,そこのある星座を黄道12星座といいますが、正確には13個あります。13番目はさそり座といて座の間にあるへびつかい座です。と言ってもインドの蛇使いとは全く違い,実は医者の元祖アスクレピウスの姿です。
彼はアポロンの子で,実は生まれる前に一度死んでいるのです。母はアポロンの何番目かの妻コロニスですが,アポロンは彼女の不貞を許すことが出来ず,弓で射殺してしまいます。ところがアポロンはコロニスのおなかの中の子だけは助けたいと思い ケンタウロス族の賢人ケイロン(いて座)に託しました。ケイロンはその胎児を蘇生させ,養育し,そして学問特に医術を授けました。アスクレピウスは長じてギリシア随一の名医になります。彼に治せない病はなく,戦いで怪我をした勇者や瀕死の病人をたくさん救いました。ところがやがてこの名医は死者をも蘇らせる治療をするようになりました。これは自然の摂理に反することで,人間がしてはならないことだったのです。死者が来なくなった死の国の王ハデスは激怒し,ゼウスに訴えます。ゼウスもアスクレピウスを許しておくわけにはいかず,彼の頭上に雷を落して命を奪ってしまいます。さすがの名医も自分自身を治すことはできませんでした。
なんだか現代科学の不安を象徴しているような話ですね。
なお,これまでの星座絵は数年前の鴨川校の卒業生からもらったものですが,今回のは今年4月に亡くなられたH.N.先生に描いてもらったものです。
ふたご座5-castorの正体
ここでいよいよcastorの正体についてお話しすることになりました。カストルを望遠鏡で眺めてみると2つの2等星A,Bに分れて見えます。この2星よりやや離れて赤い9等星があり,これもカストルのメンバーでCと呼ばれています。CはA,Bの重心の周りをゆっくりと公転しています。ところがこのA,B,Cの3星それぞれがまた連星,すなわちカストルは六重連星,双子ならぬ六つ子なのです。これは現在知られているあまたの星々の中で最も複雑なシステムです。
一般に2個の星は安定した公転運動を続けますが,数個の集団は不安定なもので(人間社会と似てますね),いつかは解散してバラバラになっていく運命にあります。現在のグループメンバーとしての姿はかれらの生涯の一断面に過ぎないのでしょうか? いや,カストルの星々の配置や運動は基本的には2個の星から成る普通の連星の場合と同じで,それぞれが勝手に動いているわけではありません。かれらの社会は安定なペア単位より成り立っていて結束は堅いようです。
六重連星カストルの運動はシミュレーションのいいネタです。ワタクシメもその複雑ながらの規則性が気に入ってトライしたことがありましたが,ヘタな2Dがやっとでした。残ったのはメルアドとニックネーム。KCGで少なくとも2人の先生が3DCGを作られています、そのお一人はオブジェさん,もう一人はHNさん,・・・
ふたご座4
ふたご座にも超新星爆発の跡があります。カストルの足元には淡いくらげ星雲があります(現在このあたりに見える赤い星は火星です)。また1972年ポルックスの足元に全天で2番目に明るいγ線天体が発見され,ジェミンガと名付けられました。ジェミンガまでの距離は約300光年で,これはこれまで知られているうちで最も近いしたがって最も明るい超新星です。かに星雲(おうし座)の超新星は昼間でも見えたと言われていますが,この超新星はそれどころではなく,その1000倍すなわち満月くらいに輝いたはず。爆発は約30万年前と推定され,当時マンモスやサーベルタイガーと共存していたなんとか原人は数ケ月にわたって夜の暗さを忘れてしまったでしょう。
