☆要らなくなったもの-1

 私たちの周囲にはかつて大事に使っていたのに、今や要らなくなったものがいっぱいありますね。PC機器ではフロッピディスク、文房具では万年筆・・・・
万年筆は中学や高校への進学祝いの定番でもらって、ほんとにうれしかった。さらさらと、鉛筆とは違った滑らかさに満足!なくさないよう机の奥の定位置にしまっておいたもの。胸ポケットに挿すこと自体がステータスアップでした。万年筆とは誰の訳語か知りませんが、
fountain pen よりずっといい言葉です。自転車と並んで非常にすぐれた日本語で、もはや訳語ではない。
 その万年筆が使われなくなったのは、ボールペンに負けたからでしょうか?値段だけでなく、重ねて書くカーボン紙のためには万年筆は不便ということがあったのでしょうね。「そんなもの知らんワ」という若者もいます。

このシリーズでは辞書、ハンコ、などを取り上げていきます。

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☆偉大なるエイプリルフール

天文学というより科学史上で有名なエイプリルフールはいわゆるビッグバン説の提唱です。宇宙はある時大爆発で始まり、その組成物質は初めの数分間で出来上がった、宇宙はその後、膨張冷却して現在では絶対温度で数度(~マイナス270度)になっているはず、という説が1948年4月1日に、アルファ、ベーテ、ガモフの共同論文で、発表されました。初めの2人は付き合いで名を連ねていますが、実際はガモフのアイデアです。この説は3人の名前をとってα-β-γ理論と呼ばれました。しかし評判は悪くホイルという物理学者は「こりゃまるでビッグバンだ」と冷やかしたそうで・・・。
ところがガモフの死後、宇宙の温度が測定され(2.7度)、α-β-γ理論は発展し、ビッグバン説は今日では宇宙開闢の定説となっています。
 ガモフにしてみれば、ダメならエイプリルフールでしたというつもりだったとか、ウソから出たマコトというやつですね。このくらいスケールの大きなエイプリルフールをぶちあげたいもの。

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☆非常識とパイオニアスピリット 再1

常識とは18歳までに獲得した偏見の塊である
とはアインシュタインの言葉で気に入っています。光は直進するもので曲がるなんていうのは非常識である、まぁ一般常識ではそうでしょうが、常識のレベルが低いだけのこと。
地動説も進化論も提案されたときには非常識極まりないものでした。地球が動くとか人と猿が同じ先祖なんて到底受け入れられるものではありませんでした。時代が下がってからも分子原子なんか見えないものを前提にした仮説は無意味だと言われていました。
いや別に当時の常識を責めているのではありません、常識とはそのくらいのレベルだということですね。そんな研究がなんの役に立つのかという問も大抵の場合同じ愚問です。
 これらの理論に基づくさまざまな技術の製品を現在われわれは享受しています。あなたの周辺のカーナビ、パソコン、デジカメ,、エトセトラ。
パイオニアは世に受け入れられず、迫害に遭うことは仕方ないのかも。

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☆ガリレオ噺1

 これは不連続連載です。
現在天文MLではガリレオの話題でいっぱいです。
今日はガリレオの命日(1642年)だったそうで、昨日は木星の衛星を発見した日(1610年)だったそうです。世界天文年の根拠は「ガリレオが望遠鏡で星空を眺めてから400年」ですが1609年のいつかはわかりません。
 それにしても1608年にオランダのメガネ屋さんが望遠鏡を作って特許申請したが、却下されたので、独占制作されなくて、ガリレオも自作できた・・・というのがこの偉大な発見につながったという話は面白い。

今夜行われたY先生の copyleft の講義を聞いて思いついたことです。

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☆ガリレオ

 今朝の読売朝刊によると
ローマ法王ベネディクト16世は21日、バチカン(法王庁)での礼拝で、17世紀の天文学者ガリレオ・ガリレイの地動説について、「自然の法則は神の業に対する理解を促した」と述べ、同法王としては初めてガリレオの研究を公式に認めた。
そうです。
ヨハネパウロ2世は1992年にガリレオに謝罪していますが、今の法王はなかなか認めなかったそうです。それにしても、世界天文年スタートの10日前になってやっととは・・・

バチカンも動いた!ガリレオ地動説、法王が公式に認める : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

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☆サイクロイドと東大寺

cycloid

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 この図は600km離れた2点をサイクロイドトンネルを通れば10分で到着するが、191kmの深さが要ることを表しています。これじゃ先のブログのとおりやっぱりサイクロイド曲線なんか役に立たないと思う人もあるでしょうが、さにあらず。東大寺をはじめ多くの古寺の屋根の形はサイクロイドなのです。図の右、A点の左右の形がそうです。屋根に降った雨水が最も早く流出するために考え出されたそうで、1300年前の日本の宮大工は経験的にこの曲線を知っていた!京都の神社寺院も注意して見てください。きっと見つかるはずです。すでにChappyさんの写真にあるかも。

cycloid3d

これはにgnuplotよるサイクロイド3Dです。
  set urange[-pi:pi]
  splot (u-sin(u)),v,-1+cos(u) with pm3d

 ちなみに中世西欧の建物の曲線はほとんど円弧でこんな複雑なものはないそうです。

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☆夢のサイクロイドトンネル 

 東京ー大阪をサイクロイドトンネルを通っていけば d=600kmとして所要時間√(2πd/g)に代入すると?
 1)10分
 2)30分
 3)60分
正解は1),わずか10分でつきます。ただし、着いたらすぐにトンネルから脱出しないと、再び大阪に戻り、未来永劫、往復することになります。エネルギーは不要、アクセルもブレーキもなし。摩擦がなければ重力だけで永久運動するという夢のようなエンジンです。各都市をこれで結べばどこに行っても忘れ物があればすぐに取りに帰れますね。
 しかし・・・最深部は地表から約250km、というのが困ったなぁ。また出発時にはほぼフリーフォールですから、乗客の体は浮き上がってしまう。到着時はその逆でものすごい減速に耐えねばなりませんけどね。なお最大速度は秒速1.4kmです。 

  このサイクロイドを地下トンネルではなく、地上にジェットコースターとして応用したらどうでしょうか?・・・それに乗るためのタワーの高さは何と250km,エベレストの30倍 こわっ。

 やっぱ夢か!

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☆サイエンスクイズ3

cycloid

地球の中心を通る永久往復振動で、その速度は
  1)中心で最も速い
  2)中心で最も遅い
  3)地表で最も遅い
1)も3)も正解、要するにバネですから。
 
 ところで新幹線ができたころ東京ー大阪の所要時間は4時間くらい、今やのぞみは2時間半で走ります。リニアモーターができれば1時間くらい。ではその先は・・・・?
実はエネルギー0でチョー高速に走る方法があります。それは重力を利用、いわば巨大なジェットコースターです。重力が一定な場で2点を最短時間で結ぶ軌跡は何か?この問題はすでに300年前に解かれていて、答はサイクロイドという曲線です(赤)。決して直線(青)ではない。なんでもスイスのベルヌーイという数学者が全ヨーロッパの数学者に期限付きで問題を出して、4人の著名な数学者が正解を送ったそうです。そのうち1通の手紙には差出人の名がないけど、その道の人なら誰もが知っている紋章がついていた。それはニュートン、勤務(当時彼はケンブリッジ大学教授と造幣局長官を兼務)から帰宅して1晩で解いたそうです。ここらはアヤシイ、伝説でしょう、きっと。ともあれベルヌーイの挑戦をまともに受けて立ったわけ、さすがですね。

 サイクロイドに沿っていけば距離 d ほど離れた2点の所要時間は√(2πd/g)となり、直線に沿うより短時間なんです。では東京ー大阪の所要時間は?
 1)10分
 2)30分
 3)60分

このプログラム1晩で作ったけど見にくいなぁ。原点は大阪、A点が東京です。サイクロイドカーブは地下を通るトンネルで、最も深いところで約250km。

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☆サイエンスクイズ2

 地球の中心で引力は?
  1)∞
  2)有限最大
  3)ゼロ
正解は2)ではなくて3)です。表面から中心に向かうほど、引力は大きくなりそうですが、実は「地球からの引力はその内側にある質量に比例し、中心からの距離の2乗に反比例」します。内側にある質量とは、ほぼ中心からの距離の3乗に比例と思えばいいから、結局引力は中心からの距離に比例します。中心に行くほど引力は弱くなり、中心ではゼロ。これはバネの振動と同じで、中心を通り過ぎたボールは摩擦がない限り、永久に往復振動しますが、その速度は?
  1)中心で最も速い
  2)中心で最も遅い
  3)地表で最も遅い

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☆非常識とパイオニアスピリット

 その代表はガリレオダーウィンでしょう。この大地が動くなんて、人間とサルが同起源なんて、非常識きわまるとさんざん非難を受けたことは周知のとおり。先日TVでそんな人がもう一人いたことを知りました。上記のお二人ほど有名ではないが、ウェゲナー、大陸移動説を唱えた人です。地図をみれば南米とアフリカの海岸線はよく似ていて、両大陸はかつては続いていたと想像できますが、大陸がうごくなんてそんな非常識な!と相手にされなかった。認められたのは死後で,高校教科書に載ったのはほんの20年くらい前,今や定説です。
 生前、バカにされながら新境地を拓いたこの人たち、まさにパイオニアですね。
そこでアインシュタインの言葉を思い出しました。

常識とは18才までに蓄えられた偏見の塊です (正確でないかも)

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