森と文明の物語―環境考古学は語る (ちくま新書)
お正月休みの読書感想文です。13年前の本で、環境問題の提示としては先駆けでしょう。世界中のほとんどの文明は森林を切り開いて(破壊して)生まれ、滅んでいった。今は砂漠と化した中東地方はかつてはレバノン杉が生い茂っていたそうです。ヨーロッパでは森は狼や悪魔や棲家で征服すべきものと考えられてきた。アメリカ開拓もその勢いで行われた。そういえば中国の黄河流域もそうです。
森を大切に守り、自然と共生を習慣にしてきた日本(1万年前から引継がれている文化)は例外だそうです。筆者は植物学者らしく客観的なデータが示されています。細部の賛否はともあれ、文化・歴史を新しい視点から眺めているので面白かった。
カオス
Cosmos(調和 宇宙)の逆はChaosですが,それは単なる無秩序でも混沌でもありません。その中には法則性が存在しさらに芸術性も潜んでいます。次の漸化式に初期値 x1,y1を与え繰り返し計算しプロットすると美しいCGを描くことができます。
x2=y1+a*x1+b+c/(1+x1^2)
y2=a*x1
図は a=-0.99 b=-4.8 c=4.5 200,000回繰り返し の場合
a,b,c の値をわずかに変えただけで全く違った図形になります。
参照ページ
謹賀新年
火星のクレーターに宮本先生にちなみMiyamotoと命名
火星の大型クレーター(直径160km)にMiyamotoの名がつけられました。名前の由来は、もちろん京都大学教授・花山天文台長・日本天文学会理事長・国際月面学会会長・ 京都コンピュータ学院名誉学院長などを務められた宮本正太郎(1912-1992)博士にちなむものです。京都コンピュータ学院では宮本先生の没後1年に論文を100編集積した「宮本正太郎論文集」を出版しましたが、今回の命名申請ではこの本がレファレンスになっています。画像はUSGS(= United States Geological Survey)の地図の一部です。
赤い砂漠の中にあるこの盆地を望遠鏡で探してみたいですね。
もっと詳しく
アストロアーツ12/25
朝日12/25
京都12/30
クリスマスの星
今日はクリスマスイブ、おまけに休日だから楽しくお過ごしでしょう。ところでクリスマスとはイエスキリストの誕生日のはずですね。その根拠は新約聖書マタイ伝に大きな明るい星が現れたと書かれていることによります。急に星が出現することってあるの?・・・あるんです。その候補星は昔から山ほどあり、諸説飛び交っています。聖書の記載をそのまま信じて、約2000年前の天文現象を計算してみると、BC2年8月24日の日の出前に起こった水星・火星・木星の近接会合(図)が最ももっともらしい・・・これはcastor説です。もしそうならクリスマスは残暑厳しいころで、ホワイトクリスマス、イルミネーション、サンタがそりでというイメージが壊れてしまうのはイヤですね。
参照サイト
kcg.edu創立45周年記念校友会企画
意外な外来語
辞書に載っている言葉の大多数は外来語です。最も多いのは当然中国語、漢字の言葉はほとんどそうですね。馬も紙も、実物と言葉が一緒に入って来ました。
カステラ・・・ポルトガル語 元は城
ばってら・・・ポルトガル語 元はボート
いくら・・・ロシア語 すしや丼は和食ですが
サボテン・・・何語でしたっけ?、サスペンダーさん
すばる・・・・これはれっきとしたやまと言葉、 Subaruと書くとハワイにある国立天文台の望遠鏡になります。
アルコール、アルデヒド、アルジェブラ(代数)などアルで始まる言葉はアラビア語。アルゴリズムはアラビア語というより、アラビアの数学者アル=フワーリズミーから来たもの。アルタイル、アルコル、アルデバランなど星の名前にはアラビア語から派生してラテン語化したものがたくさんあります。゙
名訳 誤訳
いい言葉といえば自転車、もちろんbicycleの訳語ですが、この英語を直訳すると二輪車ですね。自ら転がす車とはそのものピッタリで、原語よりよほどいい。同じくfountain penの訳語である万年筆。誰か知りませんが、よくぞ作ったものです。宇宙はuniverseの訳語ではなく、もともと古代中国にあった言葉で時間空間すべてという意味です。神の創造物ということではなく、むしろ相対論で言う時空に近い。
数学では実数・虚数という言葉がありますが、虚数とはまずい訳です。imaginary number とは虚偽の数・虚しい数ではなく、想像上の数ということなのに。。。関数という言葉もよくない、そんな数があるみたいです。function とは機能・作用ということですね。しかし今さら2次関数・三角関数という言葉を変えるわけにはいきません。幕末から明治にかけて夥しい新語ができますが当たり外れもかなり多いようです。
地球とはいい言葉
地球とは実にいい言葉です。英語のEarth、ドイツ語のErde、フランス、イタリア、スペインなど南欧語のTerraはみんな「土地」を表し「球」 の意味はありません。「地球」という言葉は、これらに比べると新しいですが、いつころどこで作られたのかは不明です。17世紀初、中国(明)へ来た漢字を知っている宣教師が、という説もありますが、最有力説は江戸時代に長崎の通訳がオランダ語を翻訳するとき作ったと言うものです。それ以前、日本人は何と言う言葉を使っていたかは知りませんが、その言葉は忘れられました。そして「地球」を流行らせたのは幕末の志士だそうです。「地球を見に行く」というのが開明的な志士の理想だった、高杉晋作も海外文化に憧れていたようです(司馬遼太郎の何かに書いてあった)。今で言う「世界」と同じ意味です。
パイオニア・スピリットとフロンティア・スピリット
この2つの言葉はよく混同されます。パイオニア【pioneer】とは草分け、先達、先覚者、先駆者であって開拓者としても地理的開拓ではなく新分野の開拓などの場合に使われる。一方フロンティア‐スピリット【frontier spirit】とは文字通りの開拓者精神で、米国の西部開拓者たちの精神を指すことが多いですね。剛健・忍耐しかし闘争性・利己性なども含まれています(以上大辞泉)。
パイオニアは常に新分野を開拓しなければパイオニアではなくなってしまいます。西部開拓は過去形でもいいが、パイオニアは「パイオニアであった」ではだめ,これからもそうあり続けねばならないなのです。
