カワサキZ1000R1,Z1000R2,Z1100R,ローソンレプリカの生産台数

Z1000R1

 カワサキ ローソンレプリカとは,広義では,カワサキZ1000R1,Z1000R2,Z1100Rの三機種を言う。狭義では,Z1000R1だけを指す場合があり,さらなる狭義では,Z1000R1のうち,米国向けのものだけを本当のローソンレプリカだという説もあるが,フレーム番号が異なるだけで,エンジン等の仕様は変わらない。いくらエディ・ローソンのイメージでマーケティングをしたとは言え,そこまで絞るのはどうかと思われる。そもそも,ローソンレプリカと言っても,カラーリングなどのイメージだけであって,サーキットレーサーとストリート仕様とではかなり違う。サーキット仕様として30台程度が発売されたS1は,エディ・ローソンの特別仕様を参考に製作されたから,「本当のレプリカ」と言うなら,S1だろう。

 「カワサキの記録によると,Z1000Rは,R1,R2を合わせて合計6260台が生産され, R2の米国向けが約1000台,欧/豪州向けが約4300台,Z1100Rの生産台数は約1300台」,という記載がバイカーズステーション 2000年3月号にある。これによると,R1は900台程度となる。また,ビッグバイク・クルージンNo.40には,R1が900台,R2が5300台,S1が30台とある。
 
 Z1000R1は,米国内向けに,エディ・ローソンのサインを入れたステッカーがタンク上面に貼られている。エディ・ローソンがカワサキからヤマハに移籍したことに伴い,ローソンのサインを消して,広告イメージも変更したのがR2である。バイク自体は,カムのプロフィールとスピードメーターが電気式から機械式に変更された程度で,乗り味は変わらない。いずれにもKERKER(カーカー)のマフラーが標準装備される。

 Z1100Rについては,①豪州仕様(南アフリカ,イタリアを含む),②ヨーロッパ一般仕様(イギリス,フランス含む),③ドイツ仕様(スウェーデン含む),④ノルウェー仕様,⑤スイス,⑥カリフォルニア仕様,⑦カナダ仕様,の各種がある。この商品化は,インジェクション化されたGPZ1100の,キャブ仕様のデマンドがヨーロッパからあったからだそうだ。エンジンがハイパワーであり,フロントホイールが18インチ化されているので,こちらは乗り味が異なる。マフラーは二本出しが標準となる。

 R1とR2のエンジンはカムのプロフィールが多少異なる程度でほぼ同じであり,1100Rは空冷最強と言われるGPZ1100Rと同型のエンジンが搭載されている。エンジンで大分類すると,R1,R2とZ1100Rの2類になろう。

 さて,謎は,Z1000R1の,アメリカ国内向けと南ア向けの生産台数である。R1は合計で約900台が,カナダ,米国,南アに輸出されたが,カナダ・米国向けはKZ1000R1とされ,南ア(ヨーロッパ)向けは,「KZ」がナチスを連想することから,単にZ1000R1とされた。即ち,フレーム番号の表示,型式名が異なるのである。
 エディ・ローソン人気により,カナダ・米国向けの台数のほうが圧倒的に多かったであろうことは容易に想像できるので,南ア向けのZ1000R1が,ローソンレプリカの中で,車名もそのままZ1000Rであり,最もレアなモデルということだろうか。生産台数が少ない空冷Zには,国内向けのZ750A4やZ750FXなどがあるが,これらは2~3千台は生産されている。警察の白バイ仕様などの特殊な顧客向けを除くと,一般に販売された空冷Zの中では,「Z1000R1の南ア向け」が,最も生産台数が少ないということになる。

写真は希少な南ア向けのカワサキZ1000R1である。タンク横のKERKERのステッカーは後付。マフラーはKERKERの市販後期型に交換してある。また,南アフリカ向けは,サイドカバーに金色のシリアルナンバープレートが貼り付けられていた。それらの点で,原型を留めるものではないが,貴重な標本として,京都コンピュータ学院京都駅前校舎西館に展示されている。学生が勝手に分解組立したりしているんだが・・・,まあ大目に見ておきたい。

参考文献;
(1)バイカーズステーション 2000年3月号  遊風社
(2)ビッグバイク・クルージンNo.40,スタジオ タック クリエイティブ,平成10年9月発行

★★★★★
文中間違いや誤解があればご教授くださると幸甚です。

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