カワサキ空冷Zのカスタム日記 Z1R,Z2,Z1000R

空冷 カワサキ Z1,Z2,Z1000R,水冷GPZ900Rニンジャのカスタム@京都コンピュータ学院自動車制御学科

タイヤ交換 Z

カワサキZ2のタイヤとベアリングを交換した。

Z タイヤ交換

家には大昔から使っているトラッドなタイヤレバーしかないので,恥ずかしながらイマドキのタイヤレバーを使ったことがなかった。鋳物ではないプレスのそれは,チューブレスタイヤのことしか考えてないものであった。それをチューブタイヤに使ってはいけないのであった。伝統的なタイヤレバーの感覚で同じように使っても,チューブを噛み千切るのである。なんとまあ・・。新品チューブがパッチ付き。
タイヤレバーは廉い工具で,一度買うと,まず壊れることもないのだが,しっかりとした良いものを入手したい。特に,チューブタイヤには,伝統的な鋳物のものが良い。グリップにビニールやゴムを巻いてあるようなプレス製のものはチューブレス専用にすべきである。

カワサキ エリミネーターのフレームを剥離しながら盛り上がっている3人。剥離剤は強アルカリ性なので,皮膚に着くと火傷する。ゴム手袋をして完全防備で挑むのだが,旧い塗装がペラペラ剥がれてきて鉄の地肌が見えてくると楽しいものだ。

剥離

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Kawasaki Z1 1973

空冷 カワサキ Z1,Z2,Z1000R,水冷GPZ900Rニンジャのカスタム@京都コンピュータ学院自動車制御学科

Kawasaki Z1 1973

ホンダCB750に先行されて遅れを取ったが,その頑強なエンジンで世界を席巻した日本のオートバイ技術の結晶,カワサキZ1。写真は1973年モデル,初期型の後半の,ノンレストア,オリジナルの個体である。ワイヤーの取り回しや冷却フィンの仕上げなどに注目されたい。

68年にホンダCB750が発売された。当時としてはウインカーやミラーがメーカーデリバリーの段階から装着されていたのは「贅沢」だったという。そして,4本マフラーと750cc,すなわち「ナナハン」という,オートバイの頂点とそのアイコンはホンダが先行した。

同様に750ccで新規製品を開発していたカワサキは,先行されたホンダを凌駕すべく,900ccのエンジンを開発し,さらに流麗なデザインでZ1を登場させる。ホンダの四本マフラー,MVなどのツインカムエンジン,それぞれ見るとすでに先行例があり,技術的にはさして奇を衒うものもなく,メカニズム的にはむしろオーソドックスな手法のバイクではあった。そして,震動の出るフレームやプアなブレーキという欠点があったものの,過剰品質と後年言われるようになった丈夫なエンジンによって,カワサキ Z1は,世界一のオートバイとして君臨したのである。

Z1 エンジン

オートバイは全体の中でエンジンの占める割合が高い。エンジンがすべてと言って過言ではない。エンジンさえ良ければ,フレームの補強や足回りの補強などで,あとはなんとか対応できてしまう。したがって,それなりの改良を施せば,現代の道路事情で必要十分に高性能な乗り物になってしまう。

カワサキ空冷インラインフォアのエンジンは,丈夫でよくできているエンジンであり,かつ,独特の和音を発するところに,魅力がある。これを現代の技術で再現することは,大いなる目標だと思う。

近年のスポーツカーもオートバイでも,エンジンは滑らか過ぎて電気モーターのようで,各種機能は高度化され,運転が未熟な人でも,各種電子制御のおかげでとてつもないスピードで走ることが可能になっている。「速度が高いことが楽しさである」と,業界でもマーケットでも,誤解されているように思う。現行ポルシェやフェラーリ,アストンマーチン,ブガッティ,などは,すでに300kmカーである。カワサキもZX12Rあたりから300kmバイクを生産している。
法律上,世界中で違法行為とならずに300kmの世界に行けるのはドイツのアウトバーンくらいだが,いくら違法ではないといっても,コケたら即死のスピードである。

人間が制御できる法定速度内で,安全に楽しい車やバイクの必要性は,これからの話だが,カワサキ空冷Zには,今すでに,それがある。法定速度で十分楽しめることの大切さを再確認したい。

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飲み会 カワサキ空冷Zの授業で

空冷 カワサキ Z1,Z2,Z1000R,のカスタム@京都コンピュータ学院自動車制御学科

カワサキ Z

空冷Z Z1000R Z2 Z1

カワサキ Z2

カワサキ空冷Zの授業,自動二輪特論,今年度のクラスで飲み会。
駅前のホテルの屋上のビアガーデン。夜になると寒かった。

今年度は女子学生が二人も入ってくれた。うち一人は,最近のスクーターのカスタムをしたいとのこと。面白そうだから,それもすっか,てなもんで。最近の大型スクーターに空冷Zのエンジンを搭載したら,楽しいかも。さすがにフルカバードだと苦しいから,ニンジャエンジンにしようかとか,雑談しながらビールで乾杯。(未成年とバイクで来た人と,飲めない人はウーロン茶です,念のため。)

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日本の技術、これからの日本。

空冷 カワサキ Z1,Z2,Z1000R,水冷GPZ900Rニンジャのカスタム@京都コンピュータ学院自動車制御学科

日本は、「その技術がなくては人間社会が成立しないような技術」をたくさん持っている。自動車産業にかかわる技術などもさることながら、近年多くなってきたのはIT・コンピュータに関連する技術であり、世界中ですでに使われている。

最近、テレビで中国の評論家が、「廉価の中国製品が世界中に販売されていて、中国がなくては日本社会は成り立たない」とか言っていたが、上述の日本の技術と意味が違うことに気づいてもらいたい。発展途上国における低賃金労働力によって生産される製品が流通するのは「それが廉価である」という理由以外にない。社会構造や経済構造の変革を伴えば、そういった廉価製品がなくても社会は成立するのである。

他方、それがなくては社会が成立しない技術は、列挙しだすとキリがないのだが、治水・灌漑に関する技術から土木・建築、工業、農業・漁業、食料品生産関連技術など、自動車や鉄道の各種技術といった交通システム、人の健康に関する医学や食品流通の技術などもある。

それら多くの最新技術には、日本が深くかかわっている。ネットで調べれば、日本独自のそういった技術は枚挙に暇がない。特に、トヨタが世界の自動車メーカートップクラスに君臨していることもあって、自動車関連の日本の技術は、今、加速して展開し始めている。

そして、その世界に誇るべき技術立国日本において、若者の理工系嫌いが加速し、特にIT・コンピュータ関連の技術者の人材難はきわめて深刻なものとなって久しい。

技術は、前にも書いたように、社会性を伴って進化発展するので、理詰めの数値だけで普及するものではなく、そこに政治力や経済力が伴って、初めて社会性を帯びる。わが国の技術系人材の供給も、技術の普及に関連する、ひとつの政治問題なのだ。

これをお読みの全国のお父さん、バイク好きの大人の皆さん、20歳前後の若者でなくとも、転職を考えている人でもかまわないので、KCGに進学するように薦めてください。
これからの日本は、ITで技術立国していかなくては立ち行かなくなります。
業界の老舗であるKCGには、学生さん一人当たりに大して例年70社以上からの求人が来ます。日本中のコンピュータ関連業界に先輩たちが働いています。
自動車やオートバイのIT化で、関係業界は今、盛り上がっているのです。そして、カワサキ空冷Zの「味わい」の高度技術化を実現してもらいたいですね。

ハイブリッドなど環境や安全への対応が急速に発展しつつありますが、今後、自動車やバイクは、実用の移動の道具と、遊びの道具に二分化されていくでしょう。
そして、次には、自動車制御・CarITにおいて、人間感性を追及する時代が来ること必定です。そこに、カワサキ空冷Zやキャブ時代のフェラーリを勉強しておく意味があるのです!!カワサキ空冷の味わいの分かる関係者をCar IT業界に送り出しましょう。

そうでないと、我々が困る。次に乗るバイクが無いから。(笑)


30年前の空冷Zの時代と同じコンセプトのバイクを創ってもらいたい。
空冷エンジンのようにあちこちにマージンが大きくて、それによる振動が人間感性に響くような和音やリズムやメロディを発すること。それでいて、排ガスがクリーンでありながら、音質を阻害しないマフラーを装着し、見た目は金属の輝きが大半を占め、プラスティックが極力すくないこと。
黒金色とクロームメッキ(下地に銅をかけてあって黒っぽく光るクロームメッキ)と、アルミ合金の磨き上げが輝いていること。(ABS樹脂に蒸着メッキは不可)
そこらを叩いても、べコンとかボコンとかプラスティックの音を出さずに、ガチンゴキーンと金属の音と触感があること。
金属でありながら柔らかみや温かみを感じるデザインで、かっこいいこと。
スポークがキラキラ輝いて美しいフロント19インチでリア18インチで細いタイヤでスレンダーでもグリップが良いこと。
眺めているだけで惚れ惚れしてしまうこと。
それに乗って、どこまでも行ってしまいたくなるような美女であること。
etc. 

そういったことを、最新の技術で実現するのは、不可能ではないと想うんだがな・・・。

人間は技術にとらわれてはいけない。技術をモノにして、駆使できるようにならないといけない。コンピュータに代表される最新技術は、進化発展は早すぎるので、人間の掣肘の下にはまだなっていないのだ。本学では、そういったことのできる技術者を育成したいと願う。だからこそ、感性の乗り物として評価の高いカワサキ空冷Zの研究を行うのである。しかし、新規の学生さんに入学してもらうには、皆さんのご協力が必要不可欠である。

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京都コンピュータ学院自動車制御学科の2年課程から、情報工学科4年課程(大卒と同等)、そして京都情報大学院大学の修士号取得まで、技術を中心にビジネス力までを育成します。

カワサキ空冷の味を分かる人(分かりたい人)は、京都コンピュータ学院に、入学してください。生涯後悔はさせません。

日本のオートバイ生産技術は世界一であり、これを誇りに想います。次の時代は、IT制御による感性部分がテーマです。

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フロントフォーク カワサキZ1Z2,Z750Four,Z1000R

空冷 カワサキ Z1,Z2,Z1000R,水冷GPZ900Rニンジャのカスタム@京都コンピュータ学院自動車制御学科

Z2 フロントフォーク

左から,Z1/Z2,Z750D-1,Z1000R2,それぞれのフロントフォーク。

左2セットのZ系のフロントフォークは,インナーチューブ径が36mm,アクセルシャフトの芯から有効長トップ端まで約77.5cm,アクセルシャフト径は17mm,アクセルシャフトのクランプ部分の径は24mmである。
対するJ系は,それぞれ38mm,芯からトップまで約81cm,アクセルシャフト径15mm, クランプ部分の径22mm。
【双方フロントハブ部分の内幅は変わらない。つまり,Z系とJ系では,シャフトの直径さえ変えれば(ホイールのベアリング部分のカラーを入れ替えれば),入れ替えることが可能である。また,PMCから17mmシャフト用の22mmクランプ部分のナットが発売されている。(PMC品番#74-471)】

フォークは乗車時には沈む。バネの強さやヘタリ具合によってその度合いも変化するから,長さの違いは一概に比較できないが,こうして並べてみると一見してわかるのは,ボトムケースの長さ(深さ)の違いである。

当時は,すこし長くして,それでも足らなくてまた長くして,と繰り返していたのであろう。
長いほうが強いというのは,後年振り返って眺めてみると,当たり前だと感じることなのだが,そうそう簡単には改良できないところに工業製品の難しさがある。
フォークのボトムケースの鋳型を変更するだけでも,設備投資が必要だし,生産工場のラインも変化する。ある程度コストが消化されるようにならない限り,改良もままならない。

しかし,それが,本当の意味での,「技術の進化」なのである。単に理屈上良いと解っていても,それだけではなくて,コストやマーケットの状況に応じて,技術研究の結果が応用され,製品が進化していく。決して数値上の理屈だけではなく,様々なファクターとともに,技術は普及するのだ。
こういった「技術の社会性」という総合的な観点から見れば,さらに,先人の努力に敬服するばかりである。

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カワサキZの講義,始りました。

空冷 カワサキ Z1,Z2,Z1000R,水冷GPZ900Rニンジャのカスタム@京都コンピュータ学院自動車制御学科

KAWASAKI Z2

写真は,今年度の教材とするニンジャGPZ900Rとエリミネーター,etc.
GPZ900Rの前のオーナーは,KCGの卒業生。先輩,ご提供ありがとうございます。

初回の講義は概要説明と多少の準備で無事終了。今年中に大型を取得するという女子学生が参加してくれた。嬉しいね。

まずは夏までにエリミネーターとニンジャで基本的なところを勉強して,それから他に展開していこうということになったが,実はニンジャ系エンジンもかなり奥が深いことは皆さんご存知の通り。あまり深く突っ込まずに,ライトカスタムか軽くレストア程度に留めておく予定。

その一方で,大学院生2名も参加しているので,彼らが中心になって空冷Zを手がけていく。こちらは,主に土曜日に行う。土曜日は実は別の四輪のプロジェクト(昔のポルシェでカフェレーサーを製作し,草レースに出ようという計画)も発足するので,土曜日のキャンパスは,車・バイク好きのサロンみたいにしたいと思っている。
学外の社会人の皆さんも,よろしかったらご参加いただきたいところである。空冷Zとポルシェの旧いので草レース。(ご興味があれば「通報する」でご連絡先明記の上,お問い合わせください。)

昨年度に完成した車両を持って,夏までにはサーキットに行こうと思っている。
さらに,昨年度の受講生が自分の空冷Z系を持ち込むという話も出ている。これはGPZ400の逆車である。ニンジャを買うと言っている学生もいる。街乗りにはセローの廉いのをゲットするのだとか。

Ninja Kawasaki Z2

うちの学生さんは,若いのにエンスーが多い。車やバイクが好きで,かつIT分野で生きていこうとする,極めて現実的であり,そして広い世界を知ろうとする人たちである。凡百の新車に惑わされること無く,歴史を超える名車,クラッシックに興味がある人が多いようだ。

ちなみに,英語のクラッシック(Classic)という言葉は,日本では誤解されている向きもあるが,単に「旧い」,「古い」という意味ではない。「旧くても歴史を超え,時を超える価値を持っているもの」という意味である。従って,今年発売されたものでも,それが歴史を超えて賞賛され続けるならば,今年の発売時からクラッシックというのである。「コカコーラクラッシック」という商品も,「古い味」というような意味ではなく,「歴史を超えるコカコーラ」,という意味である。

空冷ZもニンジャGPZ900Rも,世界に冠たるジャパンクラッシックなのだ。凡百の高性能な新車が集結し居並んでも,その地位に揺らぎはない。

クラッシックのわかる学生さんたち。もちろん,空冷Zやニンジャの価値も理解してくれている。
偉いね。

ちなみに,京都コンピュータ学院自動車制御学科,昨年度も就職は100%,全員が,自動車関係のIT企業。全国のバイク好き車好きのお父さん,お子様が同じようにバイク・車好きならば,ぜひこちらへ。自動車整備士関係の一般的な生涯賃金を遥か上回るのは無論,一般の工学系大学よりも採用条件の良い求人が殺到しています。
KCGの求人件数は,例年,学生数の70倍以上です。KCGの卒業生で,日本のCarITの分野が埋め尽くされていきます。世界最初のCarITの学科です。

ポールポジション,KCG!

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第二年度開講にあたって 自動二輪特論I(通称Z学)

空冷 カワサキ Z1,Z2,Z1000R,水冷GPZ900Rニンジャのカスタム@京都コンピュータ学院自動車制御学科

本日から,今年度の自動二輪特論(通称Z学)が開講する。通年授業であるということもあって,諸般の事情から,連休明けから開講することにしている。二年目の開講にあたって,以下に一文を。

コンピュータの進化発展はあまりにも急速で,数年前には不可能だったことがすぐに可能になる。しかし,まだまだ不可能なことも多い。

人類学者のエドワード・T・ホールは,人類は,肉体あるいは肉体の機能の「延長物」を作り出すことにより進化してきたという。
皮膚の延長物としての,衣服や靴,手袋や帽子,手の延長物としての,刃物,金槌,移動のために足の延長物としての自転車,自動車,声の延長物としての電話,電信,眼の延長物としての眼鏡,望遠鏡,さらには延長物の延長物(他人が操作するから)として,飛行機,船,建築物,などが彼の言う人類の進化の結果である。それら延長物は,裸体の人間が持っている機能をはるかに超える性能を有している。

そして人類が最後に発明したのは,頭脳の延長物としてのコンピュータである。記憶容量や計算速度の機能は,頭脳の延長物としてのコンピュータが,人間の持つ機能をほぼ超えている。しかし,まだまだ人間の能力に至っていないところも多い。
通信関係はいわば神経の延長物であるのだが,情報を送るための速度や伝送容量は,頭脳の処理速度に比べて非常に遅く伝達できる情報量も少ない。さらには,判断力や反射的な行動力については,人間が持っている頭脳の機能に比べると,コンピュータはそのイメージに比しても,まだまだ遅れている。開発が急がれている分野である。

ホールの言う「延長物」とは,広義での「道具」のことである。人間が発明した道具(延長物)には,数々の名作がある。

細かい作業をしている人は,ピンセットの良し悪しをご存知だろう。ピンセットには,先まできちんと力が入るピンセットとそうでないものがある。当然良いものは高価だが,安物の数百倍は作業しやすい。良いものは,ピンセットの先まで自分の神経が届くものである。

料理家は包丁を大切にするが,良い刃物は,自分がイメージしたとおりに対象を切ることができる。これもまるで切先にまで自分の神経が生えていくような気持ちになるのだろう。

ペンの良し悪しで仕事の効率も変わる。良いペンで書くと,書きやすいだけではなく,「気持ち良く」書けるものだから,気持ちよく書きながら考えることに集中できる。パソコンの時代になってからは,タッチの良いキーボードとマウスを使用すると,作業効率がかなり違う。キーボードやマウスの存在を忘れるような高品質のものだと,作業もはかどる。

音楽家は,自分が狙った音やメロディを奏でるために,意のままになる楽器を求める。ピアノは鍵盤を叩くのだが,弦を直接叩いているように感じられるようになるだろうし,バイオリンは弦が震え,その振動を意思でコントロールするときに木箱が共鳴して音色を出すところまで,自分の神経が行き届いていくのだろう。

ペンやキーボードやマウスに,自分の神経が生えていって,操作することを意識せずに使えるとき,つまり,道具が意識の対象ではなくて,その先にある目的が意識の対象となったとき,人は,延長物としての道具を使いこなし,人間肉体の機能を超えるのである。

その道で評価されるような良い道具は,操作している人間をさらなる高度な領域へと導く。例えば,楽器に関する様々な逸話に明らかなように,良い楽器には,その楽器が意思を持って動き始めたように,操作する人間が楽器に引っ張られて,操り手の人間が,その操作に夢中になってしまうこともある。

そして,移動のための道具であるが,自転車もオートバイも自動車も,道具としての良し悪しにかなりの差異がある。上述の様々な例えの中で,楽器が人間を操り始める例を挙げたが,乗り物には,そういった次元がある。つまり,それに乗って移動するだけではなく,それを操作しているうちに,自分自身が機械に引っ張られて,運転していること自体が目的化するのだ。

これには,音が大きく関与していると思われる。道具の発する音色によって人間感性が掻き立てられて,さらなる高度なところを希求せざるを得なくなる。本稿でエグゾーストノートについてカテゴリーを設けているのは,この根拠があるからだ。

そこで,空冷インラインフォアの集合管。あるいは,ポルシェサウンドやフェラーリミュージック。あるいはハーレー三拍子やドカティの太鼓のリズムと音色。これら名車と言われる車やバイクには,すべてに「音の評価」が付随している。筆者は,それら「音の評価」を得ている乗り物には,すべて乗ってみたが,一番面白いと思うのは,カワサキ空冷インラインフォアの集合管であると思う。

そして,コンピュータ,ITは,まだ,その感性の領域をマスターするに至っていない。80年代は,自動車に,90年代はオートバイに,コンピュータ制御が目覚しい発展を遂げたが,この感性の領域には至っておらず,いわば未熟な制御技術が旧来の職人技術で仕上げられてきた自動車やオートバイを凌駕していったために,感性面は無視されるか二の次にされた。環境問題による排ガス制御によるマフラーの音色の変化も,そのひとつである。21世紀になってやっと,ポルシェやフェラーリあたりからコンピュータ制御で人間の感性をコントロールしようとする試みが始められているようだが,まだまだ,結果としての製品が昔の職人の手作業を超えているとは,言いがたい。

バイオリンの名器ストラディバリウスやガルネリウスを超えるシンセサイザーが出ていないように,生のスタィンウェイのピアノが高価なCDプレーヤーに遥か勝るように,オートバイにおいても,カワサキ空冷インラインフォアの集合管の音色を超えるものは,生まれていない。

延長物の目的である機能を満たした上で,さらに人間の感性を引き出すような道具のことであるが,これらは,今後のコンピュータ・IT,自動制御の研究対象である。

ここに,本学がカワサキ空冷Zを研究する根拠のひとつがある,と強調しておこう。

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海と空が輝く日

空冷 カワサキ Z1,Z2,Z1000R,水冷GPZ900Rニンジャのカスタム@京都コンピュータ学院自動車制御学科学校とか組織教育という仕事に従事していると、複数の異質の人々の相手をしたり、書類の作成をしたりする。しかも管理職や経営職になると、さらに異質の業務を同時並行して処理しなくてはならなくなる。仕事に集中はできても、集中した仕事はしにくくなる。論文を書くことは言わずもがな、オートバイの分解整備のようなネジを締めるということの集積で出来上がる仕事など、「一点集中してする仕事」はしにくい。落ち着いてできなくなるのである。「分散し思考が展開していくこと」と、「集中して思考の淵に沈んでいくこと」の違いである。

したがって、日常の仕事に埋没しているときは、論文も書けないし、バイクの整備もできない。走りに出ても、集中して運転できなくなることさえある。

人間、バランスが大事だといわれるが、分散展開処理と集中埋没処理とのバランスは、いまだにうまく取れないでいる。

何か仕事が一段落して、その日はゆっくりと寝る事ができて、次の日が休日で、よほどでないと仕事上は何も起こりえないと予測できるとき、やっと走りに行こうと思えるのだ。

そんなときは、年間数回ほどしかないのだが、海や山を見に出かけるようにしている。ゴールデンウィークの晴れた半日は、そのような日であった。海も空も輝いていた。それをいつも忘れないでおこうと想う。

京都情報大学院大学の広報イメージも海と空である。こちらは集中して勉強し、世界を相手にグローバルにITで展開していくことを期している。自分自身もそうなりたいものだ。

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青い空,いつもの海

空冷 カワサキ Z1,Z2,Z1000R,水冷GPZ900Rニンジャのカスタム@京都コンピュータ学院自動車制御学科

Z1100R kawasaki

ゴールデンウィークの小浜の海

京都市内から北上すると,80km弱で日本海に至る。午前中で往復できる距離なので,早朝京都を発って小浜に至り,ブランチをとって帰ってくるのはいつものコース。早朝でなくては気持ちよく走れない。

今年度は,メリーさんのエリミネーターをレストアして,真夏用に水冷ニンジャもちょいカスタムする予定。その一方で,保守本流空冷Zを手がける。初期型Z2のレストアもはじめているので,あちこち分散しすぎている嫌いがあるが,要領良く段取り良く進めたいと願う。

GPZ1100FやZポリスをベースにしたツアラーも考えている。インジェクションとIT制御についても色々検討中であるが,どの車種でどの仕様のエンジンでするのか決定に至っていない。Z1000Rなどの電気式メーターについては,ノウハウができつつあるのだが,エンジン制御はまだまだである。
今年度中に,点火制御だけはマスターしたいとは思うのだが,その制御の対象であるエンジンの仕上げ方が,まだまだ勉強不足だ。
それに,見えない電子回路よりも,どうしても見える金属地肌のことに興味が行ってしまう。とことんIT制御化するなら,ガンダム世代のニンジャのほうが似合うような気もする。全部デジタルなニンジャというのも面白いと思う。空冷Zは人間味がありすぎて,サイボーグ化するにはちょい気が引ける。

カスタムの面倒なところは,パーツをひとつ交換すると,それに連動してあちこちミスマッチが生じることである。実際にやってみると,適当にくっつけて走ることはできても,バランス良く纏め上げて高性能にするのは至難の業であるのがよく解る。

特に,マン・マシーンインターフェースの部分は,ライダーの体格や好みがあるので,一人ひとり違う。さらに,その好みも,運転が上達すれば変化するし,しばらく乗らないでいると変化する。様々な要求に従って変化させることができればよいのだが,ハンドルバーひとつとっても,交換するのは結構面倒な仕事だ。

Z1 Z2 Z1000R

自分にとってどのポジションが最上なのか,どんなエンジン特性が必要なのか,まだ見つけられずにいる。最近悩んでいるのはステップの位置とペダルの角度,そしてクラッチのタッチである。全体的なデザインを仕上げるのはまだまだ先になりそうだ。

空冷Zやニンジャについてはある程度のセオリーが確立しているのだが,見栄えの好みでひとつ変わったことをするだけで,あちこちに問題が出てくるものだ。走っていると,見栄えの好みよりも性能が大事だということが良くわかる。しかし,止まって眺めてみると,見栄えも大事なような気になる。

だいたい,一週間にせいぜい4~5時間しか取れないから,その間を,写真のような光景に浸りに行くか,カスタムを考えながら作業するかどちらかなのだが,今は天気が良いと走りに行きたくなる季節である。

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ライムグリーン中毒②

空冷 カワサキ Z1,Z2,Z1000R,水冷GPZ900Rニンジャのカスタム@京都コンピュータ学院自動車制御学科

日本の道に一番合っているライディングポジションは,実際のところ,いわゆる「殿様乗り」なのではないかと思う。

殿様乗りとは,70年代に生まれた言葉で,白バイみたいなライディングポジションのことを言う。
背はあくまでも垂直であり,足はステップに立った後にそのまま腰を下ろした位置,腕と手を自然に前に出したところにハンドルグリップがある。裃を着て軽く正座しているか中腰になっているような姿勢だから,そういう命名になったのだろう。法定速度域までなら,体が垂直に立っていてもさほど問題はない。ホンダのCB750もカワサキのZ2も,ノーマルは,その「殿様乗り」のポジションである。

バイクライディングの姿勢には,前傾から後傾まで,色々ある。バイクにまたがっている姿を横からみたときに,戦闘的に前につんのめっているレーサーレプリカのような前傾姿勢,後ろにふんぞり返った,ハーレーのような後傾姿勢。当然,それぞれに理由がある。

カワサキでは,ニンジャGPZ900Rから,本気の前傾が始まった。直前のGPZ750,GPZ1100Fは,前傾ではあるけれども,まだ,ハンドルが高いしステップも前よりである。
大型スーパースポーツは,カワサキでは,ZX-10,ZZR1100へと進化するにつれ,前傾のレーシングポジションが当たり前になっていった。
しかし,京都の北山を走っていると,GPZ900Rのニンジャ以降のポジションは疲れるのだ。あれは,高速道路でオーバー100kmで風圧を受けていると,ちょうど前傾の体重の寄り方と風圧が均衡して,手や腕に負担がかからなくなる。しかし,中低速の山間ワィンディングでは,よほどかっ飛ばない限りは,しんどくて辛い。この前のめりのポジションは,かっ飛ぶときには操作性が良いし,そのポジションになると気合も入って,それなりに良いのだが,気合なんて,せいぜい1時間維持できたら限界だから,それ以上になると忍耐になる。

他方,ハーレーのチョッパーのような万歳ご開帳系の後ろにふんぞり返ったポジションは,コーナーに突っ込んでいくとか,コーナーからの脱出で加速する,などという曲芸師みたいな真似をするポジションではない。高速道路で直進しているときは確かに楽チンなんだが,いざ曲がろうと思うと,実は結構,苦労する。実際,あまり上手ではないハーレー乗りのコーナーリングは,普通に流れている乗用車より遅い場合がある。つまり,コーナーリングを楽しむポジションではないのである。これはこれで,結構疲れる原因になったりする。

70年代にZ2などでかっ飛ばしていた走り屋系は,セパハンとバックステップに付け替えていた。当時,バックステップは,セパレートハンドルとセットで装着されるべきものであって,セパハン,バックステップにすると,操作性が向上して,見た感じでは,殿様乗りの姿勢ではなくなったのである。
しかしその後,道交法でセパハンが禁止されて,バックステップだけが残った。人々は,コンチハンに付け替えて,バックステップを付けた。
バックステップで後ろ上方に足を移動すると,横から見ているとまるできちんと正座しているように見える。しかしハンドルはコンチであるから,正座しながら上半身は,ボクシングのファイティングポーズをとっているようにも見える。この時代のZ2などの走り屋系カスタムが,独特の,「コンチハンで正座」という姿勢を生んだのだと言えると思う。これが,Z2を初めとする,当時の走り屋系ライディングスタイルの王道となっていったのではないだろうか。

そして,その後の,ゼファーなどのネイキッドバイクも,80年代中期以降からのレーサーレプリカの,ちょっとユルイ目くらいの前傾である。これは,峠ではそこそこ良いと思うのだが,高速道路の直進ではすこししんどい。それで,よく観察してみると,多くのバイクのステップの後ろ加減,上加減が,まさに,本来はセパハンでちょうど良いのではないかと思える位置にある。
それでつまり,最近のネイキッドは,セパハンが禁止されてバックステップだけが生き残った,70年代後半の流行を引きずっているだけのようにも思えてきたのだ。本当に,コンチハン+バックステップが乗りやすいのかどうか,疑問が生じた。

そこで,ローソンレプリカであるが,これは基本は,殿様乗りのポジションである。ハンドルもコンチというよりはアップである。しかし,タンクの後部までシートが這い上がっているために,ここを山の頂として支点にして,腰を左右に移動できるようになっている。つまり,殿様乗りプラス,ちょいレーサーレプリカ体重移動式とでもいうべきか。コーナーで腰を左右に落として走るレーサーレプリカと同様の姿勢で,ハンドルが上がっておりステップが前寄りであるから,横から見ると,乗車姿勢は,レーサーのそれを,腰を中心にして,そのまますこし後ろに時計回りに15度~20度くらい,回転移動したような,姿勢である。

これが実は,普通に流しているときは殿様乗りで楽であり,攻めるときには体重移動もできて,スポーツしやすいということに気づいた。基本的に殿様乗りができるということは,ひざに負担が来ない。ただ座っているだけであるのだが,いざコーナーをクリアしていこうというときは,レーサーレプリカよろしく,ハンドルとシートの前部とで,コーナーリングの内側に尻を落とすという重心移動もやりやすい。

レーサーレプリカの姿勢のまま,重心点を中心に後ろに20度?ほど回転した姿勢というのは,万歳ご開帳系の後ろのめりとは意味が違う。じつはこれはかなり良いポジションなのではないかと思っている。

コーナーに突っ込んでいくのを卒業する年齢になったら,万歳ご開帳系のチョッパーをカワサキ空冷エンジンで作って,直進だけのんびり走ろうと企てている。アメリカという,ほとんど直進しかないような道路事情でこそ,ちょうど良いポジションなのだが,日本の道路でも,あの乗り方にふさわしい「精神の落ち着き方」もあるとは思う。コーナーでも体重移動なんてほとんどせずに,ゆっくりと,遠いところへ。

しかし,ライムグリーンの中毒症状の出ている間は,腰を左右に落とせるポジショニングができないと駄目なのである。コーナーリングとは,体重移動のために腰を左右に落とすものであり,ステップに踏ん張ってヒンズースクワットをするスポーツであって,コーナーを脱出するときは全開するしかないのである。自己満足的な曲芸の一種であるが,満面の笑みはフルフェイスヘルメットで隠しながら,日毎走り回るのである。

ライムグリーン中毒とは,色によって気分が高揚するという問題にとどまらず,走り方の問題にも展開し,生き方の問題にもなるんだよ~。

ところで,来週から,カワサキ空冷をテーマにした例の授業が始まる。あまり準備もできていないので,週末はそれに費やす予定である。

京都コンピュータ学院自動車制御学科


京都コンピュータ学院
京都情報大学院大学

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